ピッチ・シフト(オート・チューン)やボコーダー、デジタル・クワイアなど、プラグインを使ったボーカル・エフェクトの作り方を紹介する本特集。ここでは、プラグインだけでなく、ボイス・チェンジャーでも見かけるフォルマントの作り方を、サウンド・プロデューサー/DJのMKが解説します。
耳を引く不思議なボーカル・エフェクト
プラグインだけでなく、ボイス・チェンジャーでも見かける“フォルマント”。分かりやすく言うと、フォルマントとは言葉を発したときに生まれる複数の周波数ピークのことです。周波数の低いものから“第1フォルマント”(F1)、“第2フォルマント”(F2)と呼ばれ、これらの組み合わせによってさまざまな母音が生成されます。またこれらを調整(シフト)することで、男性/女性/子ども/老人といった声や可愛い声にすることも可能です。このフォルマントをいじれるプラグインを使って、耳を引く不思議なボーカル・エフェクトの作り方をレクチャーしていきたいと思います!
参考音源
POINT:フォルマント・オートメーションを自由に描く
近年はWAVES Vocal BenderやZYNAPTIQ Morph 2、SOUNDTOYS Little AlterBoyなど、さまざまなメーカーからピッチ/フォルマント処理に特化した製品が発売されています。IMAGE-LINE FL Studioのチャンネル標準搭載型ソフト・サンプラー“Channel Sampler”にも、フォルマント機能が追加されました。使用するものは、探せばフリーのVSTプラグインなどもあるので、フォルマント機能が付いたものであれば問題ありません。まずはボーカル・トラックに挿し、フォルマントのパラメーターにオートメーションを設定。そして、ボーカルを聴きながら心地良いタイミングでフォルマントのパラメーターを描いてみましょう。じわじわと値を変えたり、歌詞に合わせて変化を付けたり、いろいろ試してみると面白いと思います。
+αのテクニックとして、素のボーカル・トラックにフォルマント処理をしたトラックをレイヤーしたり、ダブラーやコーラス・エフェクトをかけて重ねたりするのもお勧め。フォルマント・チェンジャーは参考音源のようにボーカルにかけっぱなしにしたり、部分的な飛び道具としても使えたりと汎用性が高いエフェクトです。イメージに合った使い方を研究してみてください!
完成したフォルマント・チェンジャーを聴いてみる
MK
【Profile】プログレッシブ・ハウス/フューチャー・ハウス/トランスなどを手掛けてきたサウンド・プロデューサー/DJ。オランダの名門レーベルArmada Musicから楽曲をリリースするほか、Jポップやゲーム音楽の楽曲提供など多方面に活躍する。別名義のShadwとしても数多くリリースしている。
連動音源提供アーティスト
Yun*chi
【Profile】ポップス/アニメ・ソングからクリエイティブ・シーンまでをつなぐ女性シンガー。TVアニメ『ログ・ホライズン』のエンディング曲「Your song*」や、『うーさーのその日暮らし 夢幻編』主題歌「Lucky Girl*」のほか、タカラトミーのリカちゃんテーマ曲「ゆめみるリカちゃんの歌」の歌唱も担当する。
Musician:砂川 信祐(prog)|Producer:Yun*chi|Engineer:あきお|Studio:studio Mcfly