この特集では、天月-あまつき-をはじめとする数多くのアーティストのミックスを手掛け、自身も動画を投稿するkain氏を迎え、iPhoneでできる“歌ってみた”動画の作成方法について紹介。Step3では、自分の歌を録音するための機材をセッティングします。今回は、iPhoneと直接つなぐことができるUSBマイクのほか、オーディオ・インターフェースやパソコンを使った例も紹介しましょう。
方法その1:iPhone+USBマイク
iPhoneを使って歌声を録音する一番手軽な方法です。
USBマイクは、スマートフォンやパソコンに直接つないで使えるマイクです。USBマイクにヘッドフォンをつなげば、自分の声とカラオケ音源を同時に聴くことが可能です。
用意するもの
- iPhone
- USBマイク(ヘッドフォン端子があるもの)
- USBケーブル(USBマイクに付属している場合が多い)
- ヘッドフォン
- APPLE Lightning to USB 3カメラアダプター
- iPhoneの充電器
1. iPhoneをUSBマイクに接続
まずは、iPhoneをUSBマイクに接続します。iPhoneはLightning端子なので、USBケーブルを直接挿すことができません。APPLE Lightning to USB 3カメラアダプターを使ってUSBケーブルとつなぎ、USBマイクと接続しましょう。USBケーブルは多くの場合、USBマイクに付属しています。
2. iPhoneを充電器に接続
iPhoneを充電器に接続します。USBマイクは電力を消費するので、iPhoneを常に充電して、電源を供給する必要があります。
3. USBマイクにヘッドフォンを接続
最後にUSBマイクにお好きなヘッドフォンを接続します。ヘッドフォン端子の無いUSBマイクの場合、自分の声やカラオケ音源を聴くことができないので注意が必要です。また、お手持ちのヘッドフォンのケーブルの端子とUSBマイクの端子が異なる場合は変換プラグを使用しましょう。
すべて正常に接続できると、多くのUSBマイクはライトが点灯するので確認します。
iPhoneの内蔵マイクじゃダメなの……??
スマートフォンやコンピューターの内蔵マイクは音を拾う範囲がとても広く、余計なノイズや部屋鳴りが録れてしまいます。引っ越したての部屋ってとても音が響きますよね……あれが部屋鳴りです。僕はパソコンの内蔵マイクで録音をしたことがありますが、その際は部屋鳴りを防ぐために毛布をかぶって録音しました(笑)。外部マイクを使用した方が、扱いやすい音を録音できると思います。
方法その2:iPhone+オーディオ・インターフェース+マイク
オーディオ・インターフェースを使用する方法です。オーディオ・インターフェースとは、コンピューターやスマートフォンなどに音を入出力するための機材。方法その1で使用したUSBマイクはiPhoneに直接接続して使えましたが、これはオーディオ・インターフェースが内蔵されていたからなのです。
オーディオ・インターフェースを使うメリットとして、好きなマイクを自由に選べることや、多くの場合エレキギターなどの楽器の接続ができること、端子が多いものであれば同時に複数のマイクや楽器を録音できることなどが挙げられます。必要な機材は増えますが、より自由度の高い録音が可能です。
用意するもの
- iPhone
- オーディオ・インターフェース(“iPhone対応””iOS対応”のもの)
- マイク
- ヘッドフォン
- マイク・ケーブル
- USBケーブル(オーディオ・インターフェースに付属している場合も多い)
- APPLE Lightning to USB 3カメラアダプター
- iPhoneの充電器
- USBハブ(セルフ・パワー・タイプ)
- マイク・スタンド
1. オーディオ・インタフェースをUSBハブに接続
まず、オーディオ・インターフェースをUSBケーブルでUSBハブに接続します。USBケーブルは多くの場合オーディオ・インターフェースに付属しています。
オーディオ・インターフェースに電源の供給元を選択するスイッチがある場合は、設定しておきましょう。ここでの例に使用しているSTEINBERG UR12ではPOWER SOURCEスイッチをUSB2.0にします。
2. USBハブとiPhoneを接続
USBハブとiPhoneをAPPLE Lightning to USB 3カメラアダプターを使って接続します。オーディオ・インターフェースは多くの電力を消費するので、iPhoneは充電したままにしておくのがお勧めです。
正常に接続できれば、多くのオーディオ・インターフェースにおいて、ライトが点灯するので確認しましょう。
3. オーディオ・インターフェースにヘッドフォンを接続
お好きなヘッドフォンをオーディオ・インターフェースに接続します。なお、オーディオ・インターフェースのヘッドフォン端子と、お持ちのヘッドフォンの端子が異なるの場合は変換アダプターが必要です。
4. オーディオ・インターフェースにマイクを接続
マイクをオーディオ・インターフェースに接続するにはケーブルが必要です。マイクにケーブルが付属していない場合は別途購入する必要があります。一般的なマイクの場合は“XLRケーブル”を使います。
ケーブルのほかにマイク・スタンドも必要です。今回はマイクに付属する小型のスタンドを使用したセッティングを紹介しましたが、柔軟に高さを調節したい場合はより背の高いスタンドを用意するのがお勧めです。
コンデンサー・マイクを使用する場合は、ファンタム電源(+48V)をオンにします。ダイナミック・マイクを使用する場合は故障の原因になるのでオフにしておきましょう。
多くのオーディオ・インターフェースの場合、ファンタム電源をオンにするとライトが点灯するので確認しましょう。
オーディオ・インターフェースについてもっと詳しく
オーディオ・インターフェースとは、マイクや楽器の音をパソコンやスマートフォンに取り込み、さらに取り込んだ音を再生できる機材です。マイクや楽器などのアナログ信号をデジタルに変換し、パソコンやスマートフォンで扱えるようにします。
パソコンやスマートフォンにもオーディオ入出力端子は搭載されていますが、音楽制作で扱えるほど十分なクオリティを満たしているものは少ないです。したがって、歌や楽器の録音など音楽制作に適したクオリティで音を入出力できるのが、オーディオ・インターフェースなのです。
方法その3:パソコンを使う
最後にパソコンを使用する方法を簡単に紹介します。先ほど紹介した方法1、方法2は、どちらもスマートフォンをパソコンに置き換えることが可能です。上の写真および下の図は、方法2のスマートフォンをパソコンに置き換えたもの、つまり、パソコン+オーディオ・インターフェースという方法です。
用意するもの
- パソコン
- オーディオ・インターフェース
- マイク
- ヘッドフォン
- マイク・ケーブル
- USBケーブルなど
- マイク・スタンド
パソコンを使用するメリットは、スマートフォンよりも使える音楽制作用ソフトが増え、できることも増えるという点が挙げられます。例えば“歌ってみた”の場合、カラオケ音源のキー変更が必要なことがありますよね。スマートフォンだと難しいですが、パソコンを使うことでできるようになります。もっといろいろ挑戦してみたい!と思ったら、パソコンを導入するのがお勧めです。
続くStep4では、いよいよ歌を録音。ノイズ対策や音割れしない方法などを解説します。
kain
ボーカル/アレンジャー/サウンド・エンジニア。2011年から動画サイトにて動画を投稿し始める。日本武道館、さいたまスーパーアリーナ、代々木第一体育館などで開催されたネット・シーンの音楽フェスに多数参加し、1stアルバム『かえりみち』は、オリコンTop10入りを果たした。2015年以降は編曲やエンジニアとしての活動も始め、ミキシング、編曲などで参加した動画の総再生数は30億回以上。