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YAMAHA HS5 〜【ペアで約5万円以下】宅録/DTMに最適なモニター・スピーカー9モデルをレビュー

YAMAHA HS5 〜【ペアで約5万円以下】宅録/DTMに最適なモニター・スピーカー9モデルをレビュー

宅録やDTMに最適なペアで約5万円以下のモニター・スピーカー全9モデルを、音楽クリエイター/ギタリストのShin SakiuraとエンジニアのSUI氏が徹底レビュー! ここでは、YAMAHA HS5を紹介します。

立ち上がりの良さを特徴とする高域と低ひずみ&制動感を重視した低域

YAMAHA HS5 フロント
YAMAHA HS5 リア
YAMAHA HS5|製品価格:オープン・プライス(市場予想価格:17,600円前後/1台)

 ウーファーに45W、ツィーターに25Wのパワー・アンプを搭載。ツィーターは音の立ち上がりに優れ、ウーファーはひずみが少なく制動感のある低域を再生するという。スピーカーの筐体は不要な共振を抑制する作り。MDF素材で、木造建築で用いられる強度に優れた三方留め構造で組み上げられている。背面には、壁際に設置した際に強調されやすい帯域を調整するスイッチや、高域の補正をするスイッチを装備。バスレフ・ポートは流体音制御技術によりポート周辺の空気の渦を抑え、可聴帯域のノイズを低減させているという。

 Point 

  • ウーファー口径:5インチ
  • 入力端子:XLR、TRSフォーン
  • その他:設置環境に合わせた緻密な補正セッティングが可能

SPECIFICATIONS
●形式:2ウェイ・アクティブ・スピーカー ●スピーカー構成:5インチ径ウーファー+1インチ径ドーム・ツィーター ●周波数特性:54Hz~30kHz(-10dB) ●外形寸法:170(W)×285(H)×222(D)mm ●重量:5.3kg/1台

音作りの課題を見つけやすい端正なサウンド 〜Shin Sakiura

 HS5を含むHSシリーズのスピーカーは、韓国やアメリカといった海外の音楽クリエイターやプロデューサーも多く使っているイメージがあります。実際にHS5を試してみたところ、高解像度な中高域、ナチュラルな低域、そして高い空間再現力と、文句なしのスピーカーでした。音の重心が若干高い印象ですが、全体的なバランスは非常に良いです。

 すごいと思ったのは、ホワイト・ノイズやシンバルの空気感がリアルに分かること。また、今自分が制作している楽曲を聴いてみたところ、ローエンドの処理やドラムの作り込みなどにおける課題点を瞬時に発見できました。こういったことから、HS5は楽曲における未熟な部分を見つけるのに向いているスピーカーだと思います。そして、AかBか迷ったときのジャッジも明確にできるでしょう。

 スピーカー自体による色付けはあっさり。そういう意味でも、HS5は作曲からミックスまで幅広い用途で使えると思います。もし、もっと低域が欲しいと感じる人は、HSシリーズにラインナップされたサブウーファーのHS8Sがあるので、組み合わせて使用するのもいいでしょう。

特に良いのは空間の再現力。奥行きや広がりがよく分かる 〜SUI

 HS5は、YAMAHAのモニター・スピーカーの中では派手な方で、今っぽい音がします。作曲家やビート・メイカー、エンジニアを目指すビギナーにとっては“音楽制作を楽しむこと”も大切ですので、そういった意味でもHS5はお薦めです。特に良いと思った点は、空間の表現力。各定位に配置した楽器同士の奥行き感や、リバーブ成分の広がり具合がとても見えやすいです。

 リア・パネルには、500Hz付近から下を0/−2/−4dBの3段階で調整できるROOM CONTROLスイッチや、2kHz付近から上を±2dBすることができるHIGH TRIMスイッチを備えているため、部屋鳴りに合わせてスピーカーの出音を調整可能です。よって、ユーザーの耳次第ではさらにHS5のサウンドを追い込むことができます。

 小音量で鳴らしたときでも、定位感や周波数帯域のバランスが変わらないのも特筆すべきポイント。また大音量で鳴らしても、内蔵アンプによる色付け感はありません。HS5はモニター・スピーカーとして優秀です。コスト・パフォーマンスに優れているところも見逃せません!

レビュワー紹介

Shin Sakiura

Shin Sakiura
東京を拠点に活動する音楽クリエイター/プロデューサー/ギタリスト。2015年より個人名義でオリジナル楽曲の制作を開始。バンド・サウンドからヒップホップ、R&B、エレクトロまで広い音楽性を持ち、自身の作品制作のほか、SIRUPやアイナ・ジ・エンドなどの楽曲制作や海外アーティストとのコラボと活動は多方面にわたる。ギター、ベース、サンプラーなどさまざまな楽器を駆使したライブ・パフォーマンスも注目を集めている。

 Recent Work 

『WILD CHILD feat. brb.』
Shin Sakiura
(PARK)


SUI

SUI
エンジニアのほか、リミックス・ワークも手掛ける音楽クリエイターとしても活動。ギターやベースなどの演奏からプログラミングまでを一人でこなすマルチプレイヤーでもあり、その柔軟なプロダクション・スタイルはメジャー/インディーズ問わず定評がある。近年では作曲家として劇伴音楽にも携わり、ますますその活動の場を広げている。セミナー講師としては自身の技術を惜しみなく講義することも多く、業界内での信頼も厚い。

 Recent Work 

『WATW “ing”』(『Honey, You!』収録)
WATWING
(トイズファクトリー)
※作編曲/エンジニアリング

試聴環境

 今回試聴を行った場所は、多目的スペースである御茶ノ水RITTOR BASEだ。スタジオ内には、一般的な部屋を想定して6畳ほどの空間を用意。そこに簡易デスクとスピーカー・スタンドを設け、モニター・スピーカーを配置した。ここで2人のレビュワーに、リファレンスとなる楽曲を再生したりDAWを立ち上げて作業したりして、全9モデルのスピーカーの性能をチェックしていただいた。

御茶ノ水RITTOR BASE内に作られた、6畳ほどの試聴スペース。L/Rのスピーカーとリスニング・ポジションが正三角形になるように配置している。スピーカーはやや内側に向け、ツィーターは耳の高さになるようスピーカーごとに座椅子の高さを調整する

御茶ノ水RITTOR BASE内に作られた、6畳ほどの試聴スペース。L/Rのスピーカーとリスニング・ポジションが正三角形になるように配置している。スピーカーはやや内側に向け、ツィーターは耳の高さになるようスピーカーごとに座椅子の高さを調整する

製品情報

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