Part4で紹介するのは、今回最も回答が多かったレコーディング現場での定番システム。1991年の登場以来ソフトウェアとハードウェアによる複合的なレコーディング·システムとして現在も進化を続けている、AVID(DIGIDESIGN) Pro Toolsです。
SUGIZO
【Profile】作曲家/ギタリスト/バイオリニスト/音楽プロデューサー。LUNA SEA、X JAPANのメンバーとして世界規模で活動。ソロでは独自のエレクトロニック・ミュージックを追求し、映画や舞台のサウンド・トラックを数多く手掛ける。
Recent work
『愛と調和』SUGIZO(SEPHIROT)
~サンレコ読者へのメッセージ~
40周年!! 素晴らしい!!! 本当におめでとうございます!!!! サンレコを約30年間愛読させてもらい、長きにわたり大いに学ばせてもらってきました。心から感謝しています。50周年も期待しています!!!!!
AVID Pro Tools(1991年)
レコーディング現場のあり方、方式、取り組み方、かかわり方など、スタジオ・ワークのあらゆる事象を良くも悪くも変えてしまいました。今や完全にスタンダード。Pro Toolsを使用していないスタジオを探す方が難しいです。僕らはそのイノベーションの恩恵のもと、音楽を生み続けることができています。
KREVA
【Profile】2004年『音色』でソロ・メジャー・デビュー。作詞、作曲、トラック・メイク、ラップ、プロデュースまで、すべて自身で行う日本の音楽界最重要人物の一人。2021年9月8日、ニュー・アルバム『LOOP END / LOOP START』を配信リリース。
Recent work
『LOOP END / LOOP START』KREVA(ビクター)
~サンレコ読者へのメッセージ~
皆でいつまでも良い音を追求しましょう! 祝40周年!
AVID Pro Tools(1991年)
自分が初めてレコーディングしたころ(25年前くらい)はまだすべてのスタジオにPro Toolsがあるという時代ではなかったので、パンチ・インに全神経を注ぐアシスタントの方の姿がまだありました(笑)。ライブ用のトラックやアカペラなどの制作も格段にしやすくなったのではないでしょうか。
NAOKI(LOVE PSYCHEDELICO)
【Profile】2000年にLOVE PSYCHEDELICOとしてデビュー。The BawdiesやOKAMOTO'Sなどのプロデュースや、TOHOシネマズの音響監修など多方面で活躍する。昨年開催の20周年記念ライブ『LIVE THE GREATEST HITS 2020』がBlu-ray&DVDで発売中。
Recent work
『LIVE THE GREATEST HITS 2020』LOVE PSYCHEDELICO(ビクター)Blu-ray&DVD
~サンレコ読者へのメッセージ~
現代はテクノロジーの進化により、読者の皆さん一人一人が表現者になりうる新しい時代だと感じています。僕も皆さんと同じフィールドで、同じように考え、悩み、新しい作品を生み出そうと日々過ごしています。読者の皆さんの中からたくさんの新しい音楽が生み出される日が来るのを楽しみに待っています。
AVID Pro Tools(1991年)
レコーディング史には、真空管マイクロフォンの登場やモノラルからステレオへの移行など、ターニング・ポイントは幾つもあると思いますが、中でもPro Toolsの登場はレコード制作の発想を根本的に変えるほど大きな歴史的転換を音楽界にもたらしたと思います。デジタル・レコーディング最大の特徴である非破壊編集はダビングの繰り返しによる音質劣化を無くすだけではなく、アレンジを模索しながら録音とミックスも同時進行していくという新しい制作スタイルを可能にしました。現代の音楽作品の大半がクリックで管理されていることや、生演奏ではない、いわゆる宅録的なサウンドが増えたことも、Pro Toolsの普及による現象と言えます。
反面、サウンド・メイキングの明確なビジョンを立てずに“とりあえず平均的に録っておく”という方法論が可能になったことで、録音時のマイキングの積極的な創意工夫などが重要視されない場面も増え、エフェクトに頼る事後処理が当たり前となりサウンドが没個性的になる傾向も増えてきました。メリット/デメリット含め、制作環境や作業工程、作風などすべてにおいてPro Toolsは音楽史における大きな分岐点になったと思います。
本項で紹介したサウンド&レコーディング・マガジン誌面はバックナンバー(会員限定)でお読みいただけます。