【もうすぐフジロック!】サンレコ的注目アーティスト&フジロック参加の心得

フジロック2024ラインナップ

本誌編集部員の注目アーティスト&参加に向けた心得を伝授!

今年も7月26日(金)〜28日(日)の3日間開催される『FUJI ROCK FESTIVAL』。国内外からさまざまなアーティストが参加し、音楽好きにとって忘れられないイベントとして語り継がれていくことでしょう。当記事では本誌編集部員の5名が、出演アーティストの中から1組をピックアップして注目ポイントを紹介します。さらには、ほぼ毎年参加している本誌前編集長に、必要な持ち物や準備しておくことなど、フジロック参加に際しての心得を聞きました。毎年行っている方も、初めての方やお久しぶりの方もぜひ参考にしてください!

エリカ・デ・カシエール <7月26日(金)RED MARQUEE 14:30〜>

 『FUJI ROCK FESTIVAL '24』唯一の屋内ステージで、オールナイトの演目も披露されるRED MARQUEE。若い頃はここで夜通し、はしゃいだなあ……と遠い目になるどころか、瞠目レベルの布陣が今年も出演! 中でもエリカ・デ・カシエールが楽しみです。

 彼女はデンマークのシンガー・ソングライター/サウンド・プロデューサーで、筆者は4ADからリリースされたアルバム『Sensational』(2021年)を聴いて好きになりました。特に「Busy」という曲はよく聴き返していて、ジョニー・マーばりの“歌いまくるギター”と2ステップを組み合わせたようなオケが常に新鮮。同じく4ADからの『Still』(2024年)も傑作です。先行曲として「Lucky」を聴いたときの清々しさは忘れられません。ツヤのあるピアノもさることながら、サブベースとキックがぶつかるときのひずみが超美味なんですよね。彼女は今回、どのような機材セットで、どのようなサウンドを聴かせてくれるのでしょう? ワクワクが止まりません!(本誌編集長/辻太一)

森 大翔 <7月28日(日)RED MARQUEE 10:20〜>

 “若者たちはギター・ソロをスキップする”と話題になる昨今の音楽シーン。そんな時代において、真っ向から歌とギター・プレイで勝負をしているのが森 大翔です。アーニー・ボール主催のギター・コンテスト“Young Guitarist of the Year 2019”で見事に優勝を飾ったのが16歳のとき。そのままテクニカルなギタリストとして成長するのかと思いきや、なんとシンガー・ソングライターとしてシングル『日日』(2021年)でデビューしたのには驚きました。21歳という若さですが、世代を越えて愛されるメロディを作り出すアーティストであり、まだリリースしたアルバムは1枚ながら優れたソング・ライティング力をすでに感じます。

 フジロックで期待したいのは、彼のキラー・チューン「剣とパレット」。ヴァースのグルーヴィーなカッティングと、クラップや複数のスネアを使い分けるダンサブルなドラム、サビ前でのディープなリバーブ演出でのオチ、サビでのストリングスを交えた王道ポップ・サウンドと、“やっぱり盛り上がる曲はこうだよね”が詰め込まれた楽曲です。もちろん、間奏のギター・ソロも一品。L/Rで重ねたキレのあるカッティング・ソロ、なめらかなひずみサウンドでキメるアウト・フレーズ、そして後半のメロディアスかつテクニカルな速弾き……。この曲を聴けば、スキップどころか“次のギター・ソロはまだか!”と、間奏が楽しみで仕方がなくなる体になること間違いなし。(編集部/今井悠介)

Lucky Kilimanjaro <7月26日(金)WHITE STAGE 12:40〜>

 “世界中の毎日をおどらせる”Lucky Kilimanjaroが、この夏、苗場の地に降り立ちます。楽曲を聴いているうちに、自然と身体の芯から動き出したくなる彼らのダンス・ミュージック。時として中毒性も感じさせるそのビートの威力は、ライブ会場で体感することで十二分に発揮されること請け合いです。

 Lucky Kilimanjaroのライブが魅力的である理由の一つに、バンド・サウンドならではの“生感”と、シームレスに楽曲同士が連なっていくDJミックスのような“連続性”の融合が挙げられます。特に注目してほしいのが、音源作品とはひと味違うライブ・アレンジです。4つ打ちの打ち込みトラックが、ギター、ベース、シンセ、ドラム、パーカッションのグルーヴィーな演奏でより生き生きと表現される楽曲も多く、じわじわと、そして確実に客席が熱気の渦に包み込まれていくのが肌で感じられるでしょう。

 Lucky Kilimanjaroが登場するのは、屋外ならではの開放感と、木々に囲まれた自然のルーム感を併せ持つWHITE STAGE。彼らの「Burning Friday Night」を「週休8日」くらい取る勢いで楽しみに行ってはいかがでしょうか?(編集部/飯田花名子)

クラフトワーク <7月27日(土)GREEN STAGE 21:10〜>

 1970~80年代のジャーマン・ロック・シーンを支えたエンジニア、コニー・プランクがエンジニアリングを務め、欧米の音楽チャートに電子音楽を初めてチャートインさせたと言われる名盤『アウトバーン』からちょうど40年。クラフトワークが5年ぶりに来日します。中心人物のラルフ・ヒュッターは御年77歳で、2020年に長年の相棒であるフローリアン・シュナイダーが残念ながら亡くなってしまいましたが、5月にはハリウッドで過去作を振り返る10日間9公演のライブを行うなど、現在進行形で精力的に活動しています。

 前回の来日では3D映像を使用していましたが、何と言っても今回はGREEN STAGE!  美しい映像とともに重厚なシンセの音が広大な自然の中に響きわたることを想像すると、今から楽しみで仕方ありません。もし彼らの音楽を聴いたことがないという方は、まず1978年の『人間解体(ザ・マン・マシーン)』で予習してみてください。40年近く前に、これほど太くて温かなサウンドが凝縮されているということに、きっと驚くと思います。(編集部/鳥居智)

in the blue shirt <7月26日(金)GAN-BAN SQUARE 24:30〜>

 昨年、4年ぶりに復活した『GAN-BAN SQUARE』。名物の苗場食堂などがある場内最大のホスピタリティ・エリア、“OASIS”の一角に位置し、DJアクトをメインに深夜を盛り上げるステージです。石野卓球や菊地成孔、E.O.Uなど、幅広いアーティストが並ぶ今年のラインナップの中で私が注目したいのが、京都を拠点に活動する音楽家、in the blue shirt。直近では、アニメ『怪獣8号』のサウンドトラックへの参加や、中嶋イッキュウ(tricot、ジェニーハイ)のソロ・アルバムへのトラック提供に加え、自身の新譜『Convex Mirror e.p.』を4月にリリースするなど、精力的な活動を行っています。

 伝家の宝刀とも言えるエモーショナルなボーカル・チョップや、シンセなどをメインに奏でられるメランコリックなメロディなどが空間系エフェクトと共に絡み合う彼のライブ・セットは、見るたびにいつも心を打たれます……。そして、Jポップ、ロック、チルウェーブ、ハウスなどの多様なルーツが垣間見えるDJセットも彼の見逃せない魅力の一つ。現場ならではの未発表のブート・リミックスが聴けるのも楽しいです。

 披露されるのがライブ・セットにせよ、DJセットにせよ、彼のステージを見たあなたはきっと“音楽が好きで良かった……”と思うはず! 26日の深夜はぜひGAN-BAN SQUAREに足を運んでみてください。(編集部/梶正樹)

備えあれば憂いなし! フジロック参加の心得

椅子と雨具とスマホは必須

 まず持ち物として、折りたたみ椅子、レインギア、さらに電子決済が可能なスマホは最重要と言えます(もちろんチケットも)。椅子は折りたたみ式限定です(組み立て式はNG)。こまめに座って体力を保存しましょう。

 雨はごくまれに降らないこともありますが、基本降るものと思っていてください。会場内で傘の使用はNGなのでレインギアは必須です。また炎天下が続くと砂ぼこりが舞うこともあるので、マスクを持参するのもよいかもしれません。

 山にはいろいろな生き物がいます。刺されたり噛まれたりしないためには、肌の露出は控え、地面に直接座らないようにしましょう。

 もし、何か忘れ物をした場合は場外のコンビニへ。バス乗り場からリストバンド交換所へ向かう途中にあり、テントや長靴、ポンチョなども販売しています。

暑さも寒さも楽しめる服装で

 服装は、炎天下&どしゃぶりの両方に対応できるものにしましょう。ただし正解はありません。昼は30℃以上、夜は20℃未満になり雨が降っていなくても寒いこともあります。日焼け止めと帽子もあったほうがよいです。私はカイロも持っていきます。

 レインギアはレインスーツ派とポンチョ派に大別されますが、レインスーツを来ている方が多いです。レインスーツは防水性が高く、夜は上着になります。デメリットは着るのが面倒なことですね。ポンチョはその点さっと着られて、安価なものが多いです。足元や腕がぬれやすく、スースーするのがデメリットと言えるでしょう。

 靴はウォーキング・シューズ派が多数。私は長靴と併用しています。雨が降ると足元が泥だらけになるので、スニーカーやサンダルは避けましょう。また長靴にはちょっと高価な中敷きを入れると疲労を軽減できるのでお勧めです。

とにかく歩く!

 ステージ間を行き来すると、1日中たくさん歩きます(アップダウンあり)。以下に私的観測による所要時間を記載します。もちろん混雑具合によっては変化するので、あくまでも目安として、スケジュール組立ての参考にしてください。水分補給も忘れずに。

  • バス乗り場から入場ゲートまで:20分
  • 入場ゲートからGREEN STAGEの入口辺り:5分
  • 入場ゲートからRED MARQUEE入口:10分
  • GREEN STAGE横断:5分(激混みすると20〜30分くらいかかる場合も)
  • GREEN STAGE横断したところからところ天国:15分(途中にKids Land)
  • ところ天国からWHITE STAGE:3分
    ※WHITE STAGE入口からFIELD OF HEAVEN&Orange Cafeへ直通のボードウォークコースあり(途中に木道亭)。アップダウンを避けられるのと、一方通行なので、混んでいるときは多少の時間短縮になります。
  • WHITE STAGE入口からFIELD OF HEAVEN:15分
  • WHITE STAGE入口からOrange Cafe:20分
    ※WHITE STAGE入口からGREEN STAGEへのボードウォークコースあり。一方通行なので、混んでいるときは歩きやすいです。
  • WHITE STAGE入口からGREEN STAGEへ:15分
  • WHITE STAGE横断:5分
  • WHITE STAGE横断したところからGypsy Avalon:5分
  • Gypsy AvalonからFIELD OF HEAVEN:5分
  • FIELD OF HEAVEN横断:5分
  • FIELD OF HEAVENからOrange Cafe:3分

 フジロックを100%堪能するためには、入念な準備とゆったりとした気持ちが大切です。年に一度の非日常な3日間を楽しみましょう!

FUJI ROCK FESTIVAL '24

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