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ZOOM H4essential レビュー:最高32ビット・フロート/96kHzで録音可能な4trハンディ・レコーダー

ZOOM H4essential レビュー:最高32ビット・フロート/96kHzで録音可能な4trハンディ・レコーダー

 フィールド・ワークから音楽のレコーディング、ポッドキャストや映像用のオーディオ収録まで、さまざまな用途に対応したハンディ・レコーダーZOOM H4essential。今回はこちらの製品をレビューさせていただきます。

最大入力音圧130dB SPLに対応 視認性の高いフルカラーLCD搭載

 H4essentialは、手のひらに乗るコンパクトなサイズ感。最大4chの同時レコーディングに対応し、最高32ビット・フロートで44.1/48/96kHzの録音が可能です。筆者は学生時代に同社のH4Nを使用していたのですが、そのころからなじみ深い、指向角90°のX/Yステレオ・マイクを内蔵します。耐音圧は130dB SPLで、大音量の入力でもひずむことなく収録できるでしょう。風が強い屋外などで必須のローカット・フィルターは、オフ/80/160/240Hzの4段階で設定ができ、内蔵ステレオ・マイクと底面の入力Input1/2に個別のフィルター設定を適応できます。

本体底面。ファンタム電源の供給が可能なロック機能付きマイク/ライン入力(XLR/TRSフォーン・コンボ)×2基を搭載

本体底面。ファンタム電源の供給が可能なロック機能付きマイク/ライン入力(XLR/TRSフォーン・コンボ)×2基を搭載

 フロント・パネルを見ていきましょう。上部の2インチ・フルカラーLCDは、入力音の波形がとても鮮明で、日差しの強い野外でも視認性が高いです。ディスプレイの下部には、ミキサー画面を表示させるMIXERボタン、録音/再生/停止/早戻し/早送りを指示するコントロール・ボタン、内蔵ステレオ・マイクと本体底面に備わる2系統のマイク/ライン入力(XLR/TRSフォーン・コンボ)のオン/オフをそれぞれ切り替えるMIC/トラック・ボタンが並びます。ボタン類はラバー製で、操作時のノイズが軽減される仕様。こういった現場目線での製品設計はうれしいですね。

 本体の左側面のマイク/ライン入力(ステレオ・ミニ)はプラグイン・パワーに対応しており、内蔵のステレオ・マイクと同時には使用できません。

左側面。左からマイク/ライン入力(ステレオ・ミニ)、ヘッドホン/ライン出力(ステレオ・ミニ)、VOLUMEダイヤル、microSDカード・スロットを搭載している

左側面。左からマイク/ライン入力(ステレオ・ミニ)、ヘッドホン/ライン出力(ステレオ・ミニ)、VOLUMEダイヤル、microSDカード・スロットを搭載している

 その隣には外部出力用のヘッドホン/ライン出力(ステレオ・ミニ)、続いて内蔵スピーカーやヘッドホン、外部出力への音量調整をするためのVOLUMEダイヤルが並びます。右側面には各種設定を操作するセレクト・ダイヤルに加えて、ENTERボタン、電源スイッチ、後述するBluetoothアダプターBTA-1(別売り)を接続するREMOTE端子やUSB-C端子が並んでいます。

右側面には、ディスプレイに表示される項目を選択/決定するためのセレクト・ダイヤルとENTERキー、バス・パワー対応かつコンピューターやスマートフォン/タブレットと接続するためのUSB-C端子、BluetoothアダプターBTA-1(別売り)を接続するREMOTE端子、電源スイッチを装備する

右側面には、ディスプレイに表示される項目を選択/決定するためのセレクト・ダイヤルとENTERキー、バス・パワー対応かつコンピューターやスマートフォン/タブレットと接続するためのUSB-C端子、BluetoothアダプターBTA-1(別売り)を接続するREMOTE端子、電源スイッチを装備する

単三アルカリ乾電池2本で約9時間の駆動 最大4イン/2アウトのオーディオI/O機能

 本体底面のInput1/2は、ファンタム電源の供給が可能なコンボ・ジャックで、お気に入りのコンデンサー・マイクを内蔵のステレオ・マイクと併用することもできます。Input1/2をリンクさせてステレオ集音することも可能ですし、注目したのはMSモードも搭載されている点。MSマイクをお持ちの方は、ステレオ感の広がりや、サイドのミュートなどの設定を調整しながらレコーディングすることができます。

 バッテリー関連のスペックとしては、単三アルカリ乾電池2本で約9時間の駆動。外付けのUSBモバイル・バッテリーからも給電可能で、長時間の収録でも安心です。記録媒体は最大1TBのmicroSDHC/SDXCカードに対応しているので、収録時間に気を取られることなく録音に臨めます。

 背面に装備された本体内蔵のスピーカーは、録音した音を複数人で確認する際にとても便利です。また、USB-C端子を使用してコンピューターなどと接続すれば、最大4イン/2アウトのオーディオ・インターフェースになり、同時にレコーダーとしても使用可能です。ループバック機能を搭載しているので、ストリーミング収録でも活躍してくれます。

 また、内蔵のステレオ・マイクを使用してアンビエンスをレコーディングしつつ、同時にワイヤレス・ピンマイクで話者のセリフを拾うといった用途や、別売りのBluetoothアダプターBTA-1を装着することで、iOSアプリH4essential Controlを介してスマートフォン上で遠隔操作を行ったり、Bluetoothタイム・コード対応機器とペアリングさせてタイム・コードを同期させたりと、ドキュメンタリー制作のシチュエーションでの活用も期待できます。

 それではここから、実際の使用感についてレビューしていこうと思います。テスト日は風が強かったのですが、別売りのウィンド・スクリーンWSU-1を併用しつつ、内蔵のステレオ・マイクでひずむことなく集音することができました。

 レコーディングの開始や、録音するチャンネルのオン/オフもそれぞれ対応したボタン1つで瞬時に設定できるのはいいですね。録音が始まると表示されている入力音の波形やタイム表示が赤くなったり、外付けのコンデンサー・マイクと併用した際にも大きなディスプレイで計4chの入力がとても見やすく、視覚的に分かりやすい印象でした。

 本体裏にはネジ穴があり、ミニ三脚を装着して床置きや手持ちでの録音を試していきましたが、音源に対してある程度近い距離で録れるクリアで粒立ちの良い音は筆者の好み。MIXERモードでの各チャンネルの音量調整もシンプルかつ分かりやすいです。また、本体の軽さやラバー製のボタン類の操作性の高さが、ハンドリング・ノイズの軽減につながっていて、とてもストレス・フリーに感じました。

 H4essentialは、スタジオからフィールド・ワークまでボーダーレスに、高音質のレコーディングがシンプルな操作で行えるので、ハンディ・レコーダーをお探しの音楽/映像クリエイターにお薦めできる一品と言えるでしょう。

 

佐藤公俊
【Profile】音楽家/サウンド・デザイナー。環境音と電子音を組み合わせたワークスは、パブリック・スペースやWebコンテンツ、ラジオ番組のサウンド・プロデュース、舞台芸術の劇伴など多岐にわたる。

 

 

 

ZOOM H4essential

オープン・プライス

(市場予想価格:24,900円前後)

ZOOM H4essential

SPECIFICATIONS
▪内蔵マイク:X/Yステレオ方式(指向角90°、最大入力音圧130dB SPL) ▪外部入力:マイク/ライン入力(XLR/TRSフォーン・コンボ×2、ステレオ・ミニ×1) ▪出力:ヘッドホン/ライン出力(ステレオ・ミニ)、内蔵スピーカー(モノラル) ▪録音フォーマット:WAV、32ビット・フロート/44.1/48/96kHz、ステレオ/モノラル、BWFおよびiXMLフォーマットに対応 ▪外形寸法:66.9(W)×37.9(H)×155.7(D)mm ▪重量:243g(電池含む)

製品情報

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