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UJAM Virtual Guitarist Iron 2 レビュー:ロックなパワー・コードに特化したギター音源

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 UJAM Virtual Guitarist Ironは、Virtual Guitaristシリーズの中でもロックなパワー・コード・フレーズにフォーカスしたギター音源です。今回はバージョン・アップによりさらに表現力が増したVirtual Guitarist Iron 2をレビューしていきましょう!

Iron 2では単音打ち込みも可能に

 Virtual Guitarist Iron 2は、Mac/Windowsに準拠し、AAX/AU2/VSTプラグインとして動作します。初代のIronはさまざまなエディットができるロック向きギター音源で、1,100種類のフレーズを組み合わせることが可能でした。そして今回のアップデートの最大の特徴は、単音またはパワー・コードごとにフレーズを自由に打ち込めるInstrumentモードが搭載されたこと! これにより、さらに柔軟なギター・フレーズの構築が可能になりました。

 

 触り始めてまず感じるのが“プリセットが楽しい”こと。ただプリセットを試していくだけでも“これにはこういうドラムを合わせたいな”“このプリセットからさっきのプリセットにつなぐと良さそうだ”といったインスピレーションがどんどん湧いてきます。ロックを作りたいと思ったら、まずこのIron 2を立ち上げてプリセットを巡るだけで、曲作りの役に立ちそうです。

 

 そして特に驚いたのが、ギターが弾けない人間の鬼門の一つであった音色作りが非常に楽なこと! シンプルな設計で、難しいことは一切ありません。画面上部左側の青いパラメーターは、ギター本体とペダル・エフェクトの設定になっており、ピックアップの位置やチューニングの調整、エフェクターの選択が可能です。一方右側の赤いパラメーターでは、アンプ周りの設定が可能。Driveでひずみの量を調節したり、WidthではギターをL/Rに振る処理も行えます。

 

 それぞれのパラメーターをいじりながら“これはあの曲っぽいな”“ちょっとひずみが強いからDriveを下げようか”などと思っていじっている間に、自分好みの設定が見付かります。一つ一つのパラメーターでの音色変化が明快なので、ギターが弾けない人でも迷うことなく好みの音にたどり着けるでしょう。

多彩なフレーズや奏法を収録

 それではフレーズを組み合わせていくPlayerモードと、今回新たに追加された単音打ち込みが可能なInstrumentモードについてそれぞれ詳しく見ていきましょう。

 

 フレーズの組み合わせをメインとするPlayerモードは、30種類の演奏スタイルと350以上のフレーズを収録しています。画面左側のCommon Phrases/Style Phrasesはフレーズを指定するセクションで、右側のPlay Rangeは音程を決めるセクション。MIDI鍵盤を用いて、左手でフレーズを指定しながら右手で音程を変えて演奏をするのが基本スタイルです。

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Playerモードの画面。左側のCommon Phrases、Style Phrasesでフレーズを、右側のPlay Rangeで音程を指定する

 まずはStyleのプルダウンから好みの演奏スタイルを選択し、その後フレーズを選んでいきます。Common Phrasesには、8分音符や16分音符の刻みといったすべてのプリセットで共通のフレーズを収録。Style Phrasesには、各演奏スタイルに合わせたリフがあり、例えばメタル系の演奏スタイルを選択すると、Style Phrasesにはブリッジ・ミュートをした高速ピッキングのリフなどがアサインされます。

 

 また、Play Range上部にあるMicro Timingをクリックすると、フレーズのスピードやスウィング、演奏のルーズさも設定可能。特にルーズさの設定は、パラメーターを振り切るとリズムが絶妙にヨレて楽しいです。Keyのプルダウンから楽曲のキーを指定して、そのキーに合ったパワー・コードとsus4コードのみを出力するようにすることもできます。

 

 さらに今回のアップデートにより、Playerモードで作成したフレーズを、DAWのトラック上にMIDIファイルとしてドラッグ&ドロップすることができるようになりました。細部をDAW上で編集できるのは便利ですね。

 

 続いて今回のアップデートで搭載された単音演奏機能Instrumentモードについて見ていきましょう。Instrumentモードではフレーズを組み合わせるのではなく、ユーザー自身が内蔵ギターを演奏することが可能。アーティキュレーションを選択する左側のキー・スイッチと、音程を指定する右側のPlay Rangeから成っています。

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Instrumentモードの画面。左側のキー・スイッチでアーティキュレーションを、右側のPlay Rangeで音程を選択する

 キー・スイッチにはダウン・ストロークやアップ・ストローク、ブリッジ・ミュートやゴースト・ノートといったギターでよく使われる奏法が搭載されており、多彩なバッキングを構築することができます。演奏スタイルは一風変わっていて、右側のPlay Rangeで鍵盤を押しっぱなしにしたまま、左側のキー・スイッチでアーティキュレーションを選択して演奏する形になります。最初は慣れませんでしたが、使っているうちに“なるほど! これはいい!”となってきますね。意外と大事なポイントが、ダウン・ストロークとアップ・ストロークが別のキーにアサインされていること。“8分のダウン・フレーズの中に16分のアップ・ストロークを挟み込む”といった使い方も簡単に“らしく”できるようになるので、弾いていてちょっとニヤッとしてしまいました。

 

 また、PlayerモードとInstrumentモードの両者にDrop Dモードが搭載されています。これは、本来開放弦でE(ミ)の音までしか演奏できない6弦を全音低くチューニングすることで、より低く重い演奏を可能にするテクニック。メタラーの方にとってうれしい機能ですね。

 

 ギターのパワー・コード・フレーズにフォーカスしたIron 2。実際使ってみると、ギターが弾けない人に配慮した設計が非常に好印象でした。特に新たに搭載されたInstrumentモードは、僕のようにギターにFコードで挫折した人間にとって非常にうれしい機能です。またギターが弾ける人も、Iron 2を立ち上げてフレーズをいろいろ聴いてみることが、曲の着想を得る手助けになるのではないでしょうか。あなたのロック・サウンドのお供にぜひ使ってみてください!

 

かごめP
【Profile】ボカロPとしての活動のほか、数多くのボーカロイド楽曲のミックスやマスタリング、インターネット配信業務も手掛ける。クリエイター集団VOCALOMAKETSとしても活動。

 

UJAM Virtual Guitarist Iron 2

17,600円

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REQUIREMENTS
▪Mac:macOS 10.14以降(64ビット)
▪Windows:Windows 7以降(64ビット)
▪共通項目:8GB以上のRAM、6.6GB以上のディスク・スペース、AAX/AU2/VST対応のホスト・アプリケーションで動作(64ビット)、1,280×768px以上の解像度

製品情報

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