●EQにもきちんと追従する自然な音●
番組開始3時間前の15時。江口氏がスタジオにM-5000を搬入し始めた。ブース側のパッチは、同じくチーフテクニカルディレクターの新籾洋介氏が担当。1時間ほどでインプットとモニター回線の準備が出来上がったころ、この日のゲスト、fox capture planがスタジオに到着した。楽器のセットアップとともにマイキングの調整をし、サウンド・チェック〜リハーサルを終えると17時前。そのタイミングでお話を伺った。
「放送用コンソールにはインプット・チャンネルにそれほど余裕が無く、回線数が多くなると別コンソールが必要になります。このスタジオ・ライブはドラムのフル・セットが入ったり、7〜8人編成があったりと大掛かりです。ただセッティングやリハーサルの時間が大変短く、あまり複雑にしてしまうと破たんしてしまうので、クオリティとのバランスを重視しています」
平日は毎日行われる『アフター6ジャンクション』のライブ・ミックスは、江口氏や新籾氏を含む4〜5人が交代で担当。毎日のライブ用として彼らが選んだのがM-5000だった。
「最初は『ニューイヤー駅伝』の中継でM-5000をお借りしてみたんですが、操作が大変シンプルで、また自分の好きなようにインプットやバスの数を決められるのが気に入りました。『アフター6ジャンクション』で日々使っていると、やはり音楽PAのために開発されたコンソールだと感じます。ヘッド・アンプはナチュラルなサウンドで、きちんとEQに追従してくれるので、こちらの思った音になるんです。現在の使い方だと96kHz運用できるチャンネル数ですしね」
●時間のタイトな生放送で生きる便利な機能●
19時にライブがスタート。江口氏のオペレートを見ると、タムのゲートをかけたりと、時間の無い中でセットアップしたとは思えないほど丁寧な音作りがされていた。
「時間に追われているので、似た編成のときの設定をチャンネルごとに呼び出して使っています。ある程度のEQ/コンプ設定がしてあるので、それをアップデートする形です。現在はAM/FM/radikoとさまざまな聴取方法があるので、音楽はFMやradikoを基準に音作りをしています」
演奏終了後は、なんと生放送中のスタジオから楽器やマイクを撤収。M-5000の片付けをしながら江口氏はこう語る。
「M-5000のUSER ASSIGNABLEセクションは自由度が高いと思います。ボタンにはモニター回線のセレクトをアサインしているのですが、演奏者への個別返しの音の確認もしやすく、気に入っています。間違ってメイン・ミックスにミュートをかけてしまうことも防げるので、放送用途として見ると一番重宝している機能です」
実はTBSラジオではM-5000がほかの現場でも引く手あまたの人気ぶり。『アフター6ジャンクション』用に、姉妹機のM-5000Cを導入するプランもあるそうだ。人気ラジオ番組の音へのこだわりを、ぜひOAでチェックしてみよう。
M-5000
O・H・R・C・A(Open High Resolution Configurable Architecture)というコンセプトの下、最大128chのチャンネル・ストリップに、インプット/AUX/サブグループ/MATRIX/ミックス・マイナスなどを自由にアサイン可能。チャンネル・ストリップとは別に、96kHz動作時に最大300入力/296出力を自由にパッチング。伝送や電源の二重化、モジュール式のインターフェース・カードなど、さまざまな現場への対応を可能にしたデジタル・コンソール。
【製品情報】
https://proav.roland.com/jp/products/m-5000/
Presented by ROLAND
https://proav.roland.com/jp/