現代の音楽制作に欠かせないツールとなったヘッドホン/イヤホン。「制作の大半をヘッドホンでこなす」と言うクリエイターやエンジニアが増えており、それに呼応するように各メーカーからも魅力的な製品が登場している。映画『白鍵と黒鍵の間に』で音楽を担当したことも話題となった、ジャズ・ピアニストの魚返明未。彼が自宅用、外出先用で使っているヘッドホンはどちらもSENNHEISERのモデル。その魅力を語っていただいた。
SENNHEISER HD 598
HD500シリーズの最上位機種として2010年に登場したオープン型モデル。アイボリーのボディとブラウンのベロア生地イヤー・パッドが高級感を演出している。人間工学に基づいた独自技術E.A.R.による設計もポイント。
【SPECIFICATION】
●型式:オープン・ダイナミック型 ●インピーダンス:50Ω ●周波数特性:12Hz~38.5kHz ●重量:約246g(ケーブル除く)
生活に音楽を取り込める柔らかな響き
SENNHEISER HD 598は2013年くらいに手に入れました。大学の入学祝いとして、“これから音楽を頑張っていこう”という気持ちも込め、音に向き合える良いヘッドホンが欲しかったんです。HD 598は全体的に柔らかな印象です。イヤー・パッドの着け心地もですが、音も柔らかで。作曲時に使う譜面ソフトウェアは、内蔵音源の音が少し硬くて耳に痛い場合が多く、長時間の作業が辛くなることもありました。HD 598では、その響き方がソフトになるのが良い点です。オープン型なので空間を含めた鳴り方がして、音楽を聴くときにも活用しています。
外出時はワイヤレスのMomentum 4 Wirelessを使っています。海外へ行く際の飛行機内で使おうと、ノイズ・キャンセリング機能が付いているヘッドホンを探していたんです。他社製も幾つか聴き比べましたが、ほかのモデルは音が鮮明に描写されすぎたりして好みではなく、全体像を捉えやすいMomentum 4 Wirelessがしっくりきました。ノイズ・キャンセリング機能も高性能で、ノイズが多い飛行機内でもピアノの細かいピアニッシモまで聴き取ることができて、音楽を聴くことが楽しくなりましたね。どちらのヘッドホンも、“生活の中に音楽を取り込む”というような感覚を求めている人に向いたモデルだと感じます。
魚返明未
1991年生まれ、東京藝術大学作曲科出身のジャズ・ピアニスト。ソロやデュオ、トリオなどさまざまな形態で活躍するほか、映画音楽の作曲も行っている。今年4月には、高橋陸(b)と中村海斗(ds)が参加した3rd『照らす』をリリースした。
Recent Work
『照らす』
魚返明未
(リボーンウッド)