現代の音楽制作に欠かせないツールとなったヘッドホン/イヤホン。「制作の大半をヘッドホンでこなす」と言うクリエイターやエンジニアが増えており、それに呼応するように各メーカーからも魅力的な製品が登場している。 青葉台スタジオ所属のエンジニアとして活動する中村美幸が、エンジニアとして初めて購入し、長らく使い続けているのはDENON AH-D7200だ。
DENON AH-D7200
DENONのヘッドホン開発50周年を記念し、2016年に発売されたプレミアム・モデル。AH-D7000(2006年発売)を元に開発され、現代のヘッドホン・アンプやハイレゾ音源のパフォーマンスを最大限に引き出すように設計されている。
【SPECIFICATION】
●型式:密閉ダイナミック型 ●ドライバー径:50mm ●振動板:フリーエッジ・ナノファイバー・ドライバー ●マグネット:ネオジム ●インピーダンス:25Ω ●感度:105dB/mW ●最大入力:1,800mW
優れた空間表現と解像度の高さ
学生時代はイヤホンのFINAL B3を愛用していて、その音が自分のリファレンスになっていました。それからエンジニアとして仕事をしていく中で、モニター・スピーカーでの作業が中心となっていくんですが、モニター・スピーカーで聴きにくい部分を確認する役回りとしてヘッドホンが必要になったんです。そこで、まずは浦本(雅史)や吉井(雅之)といった先輩エンジニアが使用しているモデルを使ってみてヘッドホンでの試聴に慣れようと。それで購入したのがDENON AH-D7200でした。低域部分やステレオで立てるマイクの位置など、細かな判断を行う場面で活躍しています。
AH-D7200は比較的ナチュラルな傾向の音だと感じます。リバーブなどの空間表現に優れていて、解像度も高いです。ただ、再生機側の性能に影響される部分も大きいと思います。私は普段RUPERT NEVE DESIGNS RNHPを併用していますが、特に相性が良いと思うのはCURRENTのヘッドホン・アンプ。値は張るものの、“こうあるべき”という音でAH-D7200を鳴らしてくれるんです。
このDENONのヘッドホン・シリーズは、ハウジングの素材違いでモデルが展開されています。AH-D7200はウォルナットで、ほかには竹やマホガニー、ゼブラウッドのモデルがあり、それぞれの鳴り方で自分好みのサウンドを選べるのもメリットかもしれません。
中村美幸
明治学院大学卒業後、2019年より青葉台スタジオに所属するレコーディング/ミキシング・エンジニア。BillyrromやQUBIT、安田レイなどのアーティスト作品を手掛けるほか、神山羊やサカナクションのライブ・スタッフも務めている。
Recent Work
『WiND』
Billyrrom
(SPYGLASS AGENT)