【第4回】ジャケのデザインも音もナイス!ディープすぎるカセットの世界 〜ビーピーエムは、Night Tempo

【第4回】ジャケのデザインも音もナイス!ディープすぎるカセットの世界 〜ビーピーエムは、Night Tempo

今夏は『SUMMER SONIC』に出演し、9月にはオリジナル・アルバム『Neo Standard』を発表するNight Tempoさん。日本の80'sポップスや歌謡曲をリエディットする『Night Tempo presentsザ・昭和グルーヴ』やレトロ・ポップ・ユニットFANCYLABOも好調です。今回は、1980年代のカセット・アルバムとポータブル・カセット・プレーヤーへの愛を熱弁。読んだ後、カセット聴きたくなっちゃう!?

SONY Walkmanをはじめ140台所有

 レコードとカセットの両方でリリースされていた作品があれば、皆さんはどちらを買いますか? 僕はまずカセットの方から購入します。その理由は、ジャケットのデザインが好きだから。カセットのジャケットはレコードのそれよりも小さいので、あまりいろんな要素を入れられません。だからこそ、小さな空間ですべてを表現するために工夫を凝らしていたと思うんです。

 例えば小泉今日子さん『Breezing』(1983年)のカセット・ジャケ。写真や文字が漫然と並んでいるのではなく、全体としてインパクトやまとまりのある“デザイン”になっていますよね。ポスターのようにも見えます。僕は、本作のカセットを3本持っているんです。メインの個体は常に部屋に置いていて、追加で集めたものは倉庫に保管しています。

写真中央に見えるのが、Night Tempo所有の小泉今日子『Breezing』のカセット。アルバム・タイトルのフォント、キョンキョンの服の色と合わせたイエローのテーマ・カラー、情報の整然とした配置など、完成度の高いデザインとなっている

写真中央に見えるのが、Night Tempo所有の小泉今日子『Breezing』のカセット。アルバム・タイトルのフォント、キョンキョンの服の色と合わせたイエローのテーマ・カラー、情報の整然とした配置など、完成度の高いデザインとなっている

 倉庫と言えば、カセットだけでなくSONY Walkmanをはじめとするポータブル・カセット・プレーヤーも100台くらい保管しています。ポータブル・カセット・プレーヤーは全部で140台以上、所有していて、メインで使うものはやはり部屋に置いている。特にお気に入りの10機種ほどは、防水仕様のHDD用ケースに収納しています。もちろん日常的に使っていて、外出先でもカセットを聴いているんです。そもそもカセットって、そういうものですよね。

 ポータブル・カセット・プレーヤーは、個人的にメイド・イン・ジャパンのものがいい。SONY、AIWA、TOSHIBA、VICTORなどです。また、選ぶのはデザインが美しくてかっこいいものが中心。最も好きなのは、SONYが1987年に発売したWM-504です。ボディのフロントが透明で、再生中にカセットが回るのを外から見ることができる。このデザインが気に入っていて、音もなかなか良いと思います。当時のWalkmanは、どれも大体、音が良いですね。同時期に発売されたWM-W800は、カセットが2本入るモデル。カセットからカセットにダビングできるんです。10年くらい前に、新古品を1万円くらいで購入しました。

お気に入りのWalkmanであるSONY WM-504。クリア・ボディで、カセットの回る様を外から眺めることができる

お気に入りのWalkmanであるSONY WM-504。クリア・ボディで、カセットの回る様を外から眺めることができる

カセットが2本入るダブル・カセットのWalkman、WM-W800。新古品で購入したもので、カセットからカセットにダビングできるのが特徴だ

カセットが2本入るダブル・カセットのWalkman、WM-W800。新古品で購入したもので、カセットからカセットにダビングできるのが特徴だ

カセット・プレーヤーの修理も趣味

 僕は元々プログラマー/エンジニアで、カセット・プレーヤーの手入れや修理をするのも趣味なんです。プレーヤーを奇麗にして、クリーンな音で聴くのが楽しくて。中のゴム・ベルト、バッテリー、チップのたぐいなどを交換するのが主な方法で、電気信号系であればテスターでチェックし、ほかの機器(ジャンク品)から取ったものに付け替えたりする。修理して、きちんと動いたら気分が良いんですよ。今回もちゃんと直せた、って。カセット・プレーヤーのほかは、デジタル時計を直すのも趣味ですが、デジタル回路を備える機器はたまに難しいですね。

 さて、最後にカセットのサウンド。日本で作られていたカセットのアルバムは、すごく音が良いです。『Breezing』しかり、角松敏生さんや山下達郎さんのアルバムも、カセットで出ているものは粒ぞろい。特にカセット全盛の時代が終わる頃……1980年代の後期から1990年代初頭の作品には素晴らしいものが多いと思いますし、同じアルバムのCDよりも良い音に聴こえます。とはいえ、カセットに録音されてヘッドで再生される時点で、どれだけ奇麗な録り音も劣化していると言えます。僕は、その劣化した音が好き。レコードも同様に劣化した音ですよね。デジタル音源にEQをかければアナログっぽい音にできますが、物理的なメディアを再生することで、もっと複雑な音になると感じています。プラシーボ効果なのかもしれませんが、そうやって音楽を聴くのが楽しいんですよね。

Night Tempoの新たなオリジナル・アルバム『Neo Standard』は、9月20日にリリースされる。ダンス・ミュージックを基調とするサウンドで、小泉今日子、野宮真貴、土岐麻子ら全10組の女性アーティストが参加

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FANCYLABOの2ndシングル『Trouble Maker』は8月9日に配信開始

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7月19日に配信&7インチ・バイナルにてリリースされた昭和グルーヴ第18弾『早見優 – Night Tempo presents ザ・昭和グルーヴ』

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Night Tempo

Night Tempo
80’sの日本のポップスをダンス・ミュージックに再構築した“フューチャー・ファンク”のシーンから登場した韓国人プロデューサー/DJ。アメリカと日本を中心に活動する。昭和ポップスを現代的にアップデートする『昭和グルーヴ』シリーズを2019年に始動。Wink、杏里、松原みき、秋元薫らの楽曲を素材にこれまで18タイトルを発表し、最新作は早見優。2023年9月にオリジナル曲を収めた2ndアルバム『Neo Standard』をメジャー・リリースする。

祝・日比谷野音100周年 J-WAVE & Night Tempo present ザ・ナイトテン・4

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