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絶対やっちゃだめ!グルーヴ作りでハマりがちな罠!? tofubeatsが語るグルーブ改善方法

 プロがあなたの楽曲にコメントやアドバイスをしてくれる、サンレコWeb会員限定企画『Send & Returnラボ』。一流のミュージシャンや音楽クリエイター/エンジニアが会員読者から送られた楽曲を聴き、具体的なコメントやアドバイスなどをお返しいたします。Vol.7では引き続きtofubeatsをゲストに迎え、あなたの楽曲にフィードバックをお戻しします!

今回の応募曲について

  • アーティスト名:TOMO
  • 楽曲タイトル:LEAP
  • 補足コメント:DTMを始めて今年で3年になり、何とか形に出来るようになってきました。来年はさらに自分を進化させたい/飛躍したいという願いをディレイやパンニングを多用し、躍動感を持たせ表現しました。制作の際には特定の音楽ジャンルはあまり意識していません。
  • お悩み:tofubeatsさんが日頃楽曲を組み立てる際、何かコツやセオリーがあればぜひ教えてください。また、この曲に関して気になる点や改善すべきポイントもご指摘いただけると幸いです。地方在住のため、周囲にダンスミュージックやエレクトロニカを趣味としている人がほとんどおらず、完全独学で制作しています。そのため、自分の楽曲の良し悪しに気づくのが難しい状況です。近い将来、楽曲配信を考えているので、ぜひアドバイスをお願いいたします。
  • 試聴音源:下記をクリック↓

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※記事におけるアーティスト名や音源については、“非公開”でも対応可能です。

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AIAIAI TMA-2 Studio

【tofebeatsからの楽曲コメント】

地方在住でも音楽仲間を見つける方法

 今回も楽曲をお送りいただいた皆様、ありがとうございました。今回はTOMOさんの楽曲「LEAP」にフィードバックさせていただきます。まずは本人の補足コメント/お悩みをご確認ください(上記)。

 地方住まいで、身の周りに同じような音楽をやっている方がいない……と昔の自分を思い出すようなコメントも沁みるのですが、まずこの企画『Send & Returnラボ』で取り上げさせていただくので、インターネットを通じて“同門の士”を見つけていただければと思います。私の友人、in the blue shirt君はそういったアマチュア同士が音楽を聴き合わせるイベントもやってますし、ぜひそのようなところの門をたたいてみるのも良いのではないでしょうか。

 音楽活動を続けていく上で、自曲を聴かせられる人がいることや周囲の人とのつながりはモチベーションを保つ上で非常に重要です。案外こういう音楽が好きな人は地方にも存在しているので、自ら発信することでリアルでもつながっていければ良いですね。

 さて、本楽曲についてです。エレクトロニックな落ち着いた雰囲気のダンスミュージックで、ちょっとUKG(UK Garage)っぽい風味を意識されているようにも感じます。また、使っているDAW(Ableton Live)やプラグイン類が似ていることもあってか、自分となじみのある音像な気がします。最終的なレベルやバランスも良い感じで、マスタリングにはLANDRを使用とのことで、そちらも驚きですね。 また、これまでに触れてきた展開の切り替わりや低域の管理などについては“概ね言うことはない”という感じで、クオリティが高い楽曲だと思います。

 というわけで全体の音像についての悩みについては、実際に音源を聴いてみてもそこまであるわけではなさそうです。ただ、“グルーヴ”についてのアドバイスを……ということでございました。実際、今でもそのグルーヴとやらを出すために自分も日々頑張っておりますので、正解に近いものを出せるかはわかりませんがフィードバックしていきましょう。

リズムのズレがグルーヴ感を損なう原因に?

 まず一聴して思ったのは、リズムセクションにおけるタイム感のズレ。グローバルのスウィング設定、もしくはサンプルの頭出しの位置がバラバラなのかな?と思いました。Liveのパラメータで説明しますが、上モノの16分音符で刻むシンセについてはおそらくGroove設定が“None”になっているにも関わらず、バスドラにはかなり“Swing”が掛かっているかと思います。

 一方で引っ張り目のピアノメロディが入ってきたりと、リズムの種類が複数混在している印象を受けました。パッドのような白玉(持続音)のシンセとドラムのグルーヴがすみ分けられているのは良いのですが、刻んでいるリズム同士がズレていると全体的にモタっとした印象を与える場合があります。浮遊感を狙った意図的なズレであれば問題無いのですが、“なんかグルーヴが足りないな”と感じるなら、その辺りが原因ではないかと思います。リズムをずらしたりすることがグルーヴだと思われがちですが、時としてそろえることもグルーヴ感には重要です。“点”のリズムを意識させないと踊れませんからね。あと、そういう意味ではハイハットについてもアタックが弱いか、入りが少し遅い気がしました。

 自分ならドラムのスウィングをもう少し抑えめにし、シンセのリズムをその設定に合わせます。自分の場合、1曲中に3種類以上のGrooveプリセットを使うことは稀だからです。なお、Spliceのサンプル素材には、たまに頭に空白が入っていたりする場合があるため、その処理も忘れずに行うのもポイントでしょう

 加えてフィードバックしたいのは、“タイム感のズレが意図的かどうか”という点。UKGっぽいストレートなグルーヴを想定しているのか、ブレイクスっぽい溜めのあるグルーヴを狙うのか、目標地点を明確に持つことが制作時に役立つと思います

 “制作の際、音楽ジャンルはあまり意識していません”とのことですが、グルーヴのパターンみたいなものは幾つかあると思いますので、一旦ある程度の型を決めた上で、そこから外していく作業が大事なのかなと思いました。

 というわけで、今回はこのような感じでフィードバックとさせていただければと思います。グルーヴ道は遠く長いので一緒に頑張っていきましょう。そして共に音楽をやるご友人ができることを願っております!

今回のゲストアドバイザー:tofubeats

【Profile】1990年生まれの音楽プロデューサー/DJ。2007年頃よりtofubeatsとしての活動をスタート。2013年に「水星 feat.オノマトペ大臣」を収録した自主制作アルバム「lost decade」をリリース。同年、森高千里をゲストボーカルに迎えた「Don't Stop The Music feat.森高千里」でワーナーミュージック・ジャパンからメジャーデビュー。最新作は全編ボーカルに歌声合成ソフトを用いたアルバム「NOBODY」。2024年10月から、5年ぶりの全国<ツアー『tofubeats JAPAN TOUR 2024』を開催中>
https://www.tofubeats.com/gigs
最新リリース:tofubeats『NOBODY』

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