5年ほど前に8040Bを使い始めてからはずっとこれです
とにかく聴いていて気持ちが良いんですよね
40年の歴史を誇る、フィンランドのモニター・スピーカー・メーカー、GENELEC。現在のスタジオ・モニターでは主流となったアクティブ式のパイオニアと知られる同社は、コンパクトなデスクトップ機からスタジオ用ラージ機までを手掛け、世界中のエンジニアやクリエイターから厚い信頼を寄せられている。この連載では、そんなGENELECモニターを愛用するクリエイターを訪ね、制作のパートナーとしてのモニターを語ってもらう。今回は1990年代から活躍を続けるDJ BAKUの自宅スタジオに伺った。
小さい音量でもローの感じがよく分かる
DJ BAKUの制作スペースは、木造の自宅2階にある6畳ほどの空間。部屋のサイズに対して目立つのは、窓際に置かれたGENELEC 8040Bの大きさだ。聞けば自身で選んで購入したわけではなく、以前の事務所から引き継いだものだという。
「当時の予算内で一番良いモニター・スピーカーを買いたいということで、このモデルに決まった覚えがあります。この部屋では、以前はYAMAHA NS-10Mを使ったこともありましたが、ミックス・エンジニアっぽいというか、低域が分かるようなスピーカーではありませんでした。そのほか、あるスピーカーを長く借りていた時期もあってそれも良かったんですが、5年ほど前に8040Bを使い始めてからはずっとこれです。とにかく聴いていて気持ちが良いんですよね。気分がいいから、好きでずっと使っている。ほかのものにしようとも思わないです」
DJ BAKUの言う“気持ちの良さ”に大きく貢献しているのは、8040Bの低域再生能力にある。連載のこれまでの回で多くのクリエイターが語ってきたように、GENELECのモニターは小さな音量でモニターしても、低域の解像度が高い。DJ BAKUも、ほかの部屋に音漏れしない程度の小音量でモニターしているそうだ。
「小さい音量でもローの感じがよく分かる。ヘッドフォンも併用しますが、それはサブウーファーでないと分からないようなボトム・エンドと、ヘッドフォンでどう聴こえるかの確認だけです。最近、ミックスはエンジニアのLAKOBAさん(小林裕人氏)に依頼することが多いのですが、ミックス後のファイルでどう変わったのかは、ここで8040Bで聴かないと分からないですね。僕にとっては気持ち良く作業できるのが一番ですが、そうしたファイルのやり取りで、僕が作ったトラックが音質的に問題となったことも無いです」
リファレンスとなる最新トラックとの聴き比べにも
DJ BAKU自身が手掛けるトラックも、近年のシーンにアジャストする形で変わってきているという。
「嗜好がちょっと変わったというか。例えばルディメンタル×メジャー・レイザー「レット・ミー・リヴ」みたいな、まさに今のシーンに合った音を作りたいと思っていて。そんな今っぽい感じの音を出したいときは、8040Bで今作っているトラックと最近のベース・ミュージックと聴き比べたりとかもしますね。もちろんDJの練習をするときのモニターとしても、8040Bを使っています」
そのほか、Netflixで映画を見るときなども、8040Bで音を聴いているとのこと。まさにDJ BAKUにとってのリファレンスと言える存在だ。
「実は今、映画音楽のオファーを受けているんです。監督が音にこだわりのある方で、“この作品を参考として見ておいてください”とE-Mailが来たりする。その映画を8040Bで聴くと、どういうところがかっこ良いかよく分かるんですよね」
DJ BAKU使用モデル
8040B
オープン・プライス
(ダーク・グレー:市場予想価格128,000円前後/1基、ホワイト:市場予想価格137,000円前後/1基))
6.5インチ・ウーファーと1インチ・メタル・ドーム・ツィーターを搭載、90W+90Wバイアンプ仕様の2ウェイ・モデル。周波数特性は41Hz〜25kHz(−6dB)。リスニング・ポイントを広げるDCW、設置場所の振動を回避するIso-Podなど、GENELECの基本技術を凝縮した製品だ
Creator of This Month
DJ BAKU
1978年東京生まれのDJ/トラックメイカー/プロデューサー/ターンテーブリスト。ソロ名義での作品のほか、他のアーティストとのコラボ、リミックス、CM音楽、映画音楽などを手掛ける。現在は、都市型音楽フェスKAIKOOを復活すべく尽力中。
http://djbakutokyo.com/
■GENELEC製品に関する問合せ:ジェネレックジャパン https://www.genelec.jp/