KASHIF×8030C〜クリエイターが愛用するGENELECモニター

8030Cは僕にとって違和感が無くフラット
自分が一番望んでいる感じの密度があるスピーカーです

40年の歴史を誇る、フィンランドのモニター・スピーカー・メーカー、GENELEC。現在のスタジオ・モニターでは主流となったアクティブ式のパイオニアと知られる同社は、コンパクトなデスクトップ機からスタジオ用ラージ機までを手掛け、世界中のエンジニアやクリエイターから厚い信頼を寄せられている。この連載では、そんなGENELECモニターを愛用するクリエイターを訪ね、制作のパートナーとしてのモニターを語ってもらう。初回となる今月は、ギタリストとして数々のセッションに参加するとともに、トラック・メイカー/ソングライターとしても注目を集めるKASHIFに登場していただく。

自分の名義で作品を出すに当たって8030Cを新調

KASHIFが使う8030Cは、丸みを帯びた形状でフラットな周波数特性と音の回折低減を実現したMDE(Minimum Diffraction Enclosure)と、それと一体化したDCW(Directivity Control Waveguide)、振動伝達を抑制するとともに仰角を±15°で調整できるIso-Podスタンドといった、現在のGENELECモニターのベーシックとも言える技術をコンパクトにまとめたモデル。昨年リリースの1stアルバム『BlueSongs』の制作に合わせて、自身でミックスまで手掛けることを念頭に導入したという。

「それまで15年くらい10cmフルレンジのSONY SMS-1Pを使っていたんですが、いわゆるラジカセ的な位置付けのものでしたので、自分が作るトラックに低音が足りないことが気になっていました。僕は経歴的に、アマチュアの延長のまま最近まで来てしまったので、音へのシビアな追求をそれまでしてこなかったんです。でも自分の名義で作品を作るに当たって、自分でミックスするとなるとそれではいけないんじゃないかと思い、2年ほど前にモニター・スピーカーを新調することにしました。お世話になっているエンジニアの塚田耕司さんが、8030の白いモデルを使っていたこともあって、候補にしたんです」

購入に際しては、同価格帯のモニターとショップで比較試聴もしたそうだ。

「自分のプレイリストを再生してみて、あるモデルは高域が足りない、別のモデルは低域が足りないといったばらつきがある中で、8030Cは僕にとって違和感が無くフラットに感じられました。“ちゃんと中心がある”というか、自分が一番望んでいる感じの密度があった。自分にとって必要なものがそろっているという感じがしたので、これに決めました。デザインや大きさも一番好みでした」

小さな音量でモニターしても低域が分かる解像度

自宅スタジオでは、前述の塚田氏にもセッティングを見てもらい、コンピューターの両サイドに8030Cを設置。実際に作業している音量は、防音していない一般住宅でもドアを閉めれば外に音漏れしない程度が基本だそう。

「GENELECのモニターはリアのDIPスイッチで細かく補正ができますが、僕はフラットな状態で使っています。深夜はもっと音量を下げるのですが、これくらいの小さな音量でも解像度が高くて、ベースなどの低域がちゃんと感じられるのがポイントですね。アルバム制作時のモニターは、この8030Cとヘッドフォンだけでした」

そんなKASHIF、近々作業環境を移すことも計画しているという。

「引越し先も防音がされているわけではないので、今以上に音漏れに気を付けないといけなくなりそうです。その点、小さい音でも解像度が高い8030Cは、新しい環境でも頼りになるだろうと期待しています」

KASHIF 使用モデル

8030c_ver

8030C
オープン・プライス
(ダーク・グレー:市場予想価格76,000円前後/1基、ホワイト:市場予想価格84,000円前後/1基)8000シリーズ5機種のうちちょうど中間のサイズとなるモデル。前身となった8030BよりSPLが4dB上昇し、消費電力がさらに低下している。ユニットは5インチ・ウーファー+3/4インチ・メタル・ドーム・ツィーター。アンプはクラスD50W+50Wのバイアンプ構成を採用する

Creator of This Month

KASHIF

KASHIF
横浜の音楽クルーPan Pacific PlayaやJINTANA&EMERALDSのメンバーとして活躍。一十三十一やスチャダラパー、(((さらうんど)))をギタリスト/ソングライターとして支えてきた。2017年には初のオリジナル・アルバム『BlueSongs』をリリースし話題に
http://stringsburn.com/

■GENELEC製品に関する問合せ:ジェネレックジャパン  https://www.genelec.jp/

2018年7月号

サウンド&レコーディング・マガジン2018年7月号より転載