どのモニター・スピーカーで再生しても同じバランスになる
その意味で8331Aは“物差し”だと言えます
今回のテスト・モデル
8331A
オープン・プライス
(ダーク・グレー:市場予想価格278,000円前後+税/1基、ブラック/ホワイト:市場予想価格298,000円前後+税/1基)
同軸ツィーター+ミッドレンジ・ドライバーに、2基の楕円形ウーファーを加えた3ウェイ・ポイントソース構成のThe Onesシリーズのうち、最も小型のモデル。SAMテクノロジーにより設置環境に合わせた自動補正が可能。大型ウェーブガイドの採用でスウィート・スポットの拡大にも成功している
アレンジ完成の状態でバランスとレベルがまとまる
8331Aを預けてから約1カ月。本間はその間、ケーブルを替えるなどいろいろ試してみたそうだ。
「電源ケーブルとライン・ケーブル、そして測定用GLM Kitに接続するLANケーブルもすべてACOUSITIC REVIVEに統一し、117Vに昇圧してみたりもしました。驚いたと同時に納得できたのは、ケーブルの違いがGLMの測定結果として現れていること。今までイメージの世界でしか語れなかったことが、グラフに反映されているんですよ」
そう語る本間はMOTU Digital Performerでアレンジを進め、それをAVID Pro Toolsへ流し込んだものをスタジオに持ち込むスタイルで仕事をしている。そのファイルを開いたエンジニアがこんな指摘をしたそうだ。
「録りのレベルが大き過ぎず小さ過ぎず、すごく良くなったと2回ほど言われました。フェーダーもすべて0dBのままでバランスが取れていて、ダビングしやすいとも言ってもらえました。8331Aのおかげでフラットに聴こえているからでしょうね。何かが足りないように感じたから大きめに入れた、ということがないからだと思います。行った先のモニター・スピーカーは全部違うのに、どのモニター・スピーカーで再生しても同じバランスになる。その意味で8331Aは“物差し”だと言えます」
現代的なスピード感ある音が演奏表現にも影響
本間自身は、8331Aによってどのような違いを感じているのか。あらためてそう尋ねると、こんな答えが帰ってきた。
「スピード感が現代的なので、鍵盤のタッチも変わりますよね。特にエレピやクラビネット。立ち上がりが速い分、デュレーションにも違いが出てきます……以前より鍵盤を押し込まなくなっている感じはありますね」
センター定位の正確さも、本間の気に入っているポイント。「mm単位の世界でセンターが見えるので、それがずれているとしたら自分の耳の調子を疑います」と語る。また、一周り大きな8341Aも気になったものの、再生能力としては8331Aで十分だったともコメントしてくれた。
「低域は8331Aでもよく分かるので、ローエンドの確認以外は、ラージ・モニターの1038Aは鳴らさなくても作業が進められます。ここにラージが無ければ8341Aも選択肢として挙がったかもしれません。でもアレンジ用のモニターとしては、全体が締まった小さなニアフィールドの方が分かりやすいので、8331Aがここにはベストですね」
本間からは、取材後に横置きでのセッティングも試したとの報告ももらった。8331Aのポテンシャルの高さが、彼のそうした興味をそそるのであろう。
GENELEC 8331A 続報
— 本間昭光 Akimitsu Homma (@akimitsuhomma) November 26, 2019
今度は横置きセッティングにしてみました。
当然のように低域の飛び方が変わります。
今日の作業はこれで進めてみます‼️#GENELEC #8331A pic.twitter.com/TYHYwXC8Ky
本間昭光
プロデューサー/作編曲家/ピアニスト/キーボーディスト。いきものがかり、ポルノグラフィティ、鈴木雅之、ももいろクローバーZ、THE BAWDIES、渡辺美里、一青窈、関ジャニ∞、家入レオ、chayなどの作品を手掛けている。テレビ朝日「関ジャム完全燃SHOW」などテレビ出演も多数 |
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