“ここが足りない”“ここが膨らんでいる”というのが全然無い
フラットであることは現場の人間にとって一番ありがたいです
今回のテスト・モデル
8331A
オープン・プライス
(ダーク・グレー:市場予想価格278,000円前後+税/1基、ブラック/ホワイト:市場予想価格298,000円前後+税/1基)
同軸ツィーター+ミッドレンジ・ドライバーに、2基の楕円形ウーファーを加えた3ウェイ・ポイントソース構成のThe Onesシリーズのうち、最も小型のモデル。SAMテクノロジーにより設置環境に合わせた自動補正が可能。大型ウェーブガイドの採用でスウィート・スポットの拡大にも成功している
“小さくても分かるスピーカー”が求められる時代
GENELECの大型3ウェイ・モニター、1038A(2003年生産終了)が鎮座する本間のスタジオ。以前はニアフィールド・モニターとして1030Aも使用していたという。
「いろいろなスピーカーを試してきていますが、結局落ち着いたのはGENELEC。それとウッド・コーンとラジカセです。以前はここで1030Aを鳴らしていましたが、今は自宅へ持ち帰って使っています」
このようにGENELECに絶大な信頼を寄せる本間だが、しばらくはニアフィールド・モニター無しで作業していた。
「The Onesにも興味はありました。同軸スピーカーの利点はもちろん分かっていましたが、目で見つめられているような外観に苦手意識があったんです。でも、今使っているスピーカーも10年以上になってきたし、小型で良いスピーカーをもう一度試してみたくなった。もちろんヘッドフォンも併用していますが、リスナーがスマートフォンやパソコンのスピーカーで聴いたりする時代なので、小さくてもちゃんと分かるスピーカーが欲しいなと思っていたんです。そこにこの企画のお話をいただいたので、ぜひ試してみたいと思いました」
ムラが無くしっかりした輪郭と低域
本間のモニター・システムに8331AとGLM Kitを接続し、測定。わずか2回スウィープ音が鳴るだけで、計測と補正が終了する。このスピード感に本間は、いたく感心した様子。動画で撮影し、Twitterに投稿していたほどだ。設定ができたところで、幾つかの楽曲を試聴し、こう語る。
「ムラが無い。それが一番ですね。“ここが足りない”“ここが膨らんでいる”というのが全然無い。フラットであることの素晴らしさ……現場の人間にとってはたまらなくありがたいです。僕らはアレンジにおける音像を周波数で把握することが多いから、ちゃんとフラットなモニターで作業することで、レコーディング・スタジオへ入ったときに“あれ?違うな?”ということが避けられます」
ファースト・インプレッションはかなり好感触の様子。これから1カ月間はアレンジの仕事が多いようで、そこでThe Onesの真価が発揮されるはずだ。
「この大きさのニアフィールド・モニターで輪郭がしっかりしていて、これだけの低域が出るのは驚異的です。“見た目が……”とか、言っていてはダメですね(笑)。最近はライブの現場に入ると、PAシステムが進化を遂げているのを見て、スタジオ機材ももっと進化すべきだと思っていたのですが、The Onesのように進化していたんですね」
本間昭光
プロデューサー/作編曲家/ピアニスト/キーボーディスト。いきものがかり、ポルノグラフィティ、鈴木雅之、ももいろクローバーZ、THE BAWDIES、渡辺美里、一青窈、関ジャニ∞、家入レオ、chayなどの作品を手掛けている。テレビ朝日「関ジャム完全燃SHOW」などテレビ出演も多数 |
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