注目の製品をピックアップし、Rock oNのショップ・スタッフとその製品を扱うメーカーや輸入代理店に話を聞くRock oN Monthly Recommend。今回は5月にリリースを予定している、Positive Gridが展開するギター・アンプ、Sparkシリーズの新製品=Spark GOをピックアップ。その詳細についてメディア・インテグレーションの原健人氏と、Rock oNの天野玲央氏から話を聞いた。
Photo:Takashi Yashima
Spark GO
ギター/ベース用のアンプ、Spark GO。スマートフォン向けのSparkシリーズ専用アプリとBluetooth接続により連動し、アンプ・シミュレーター・ソフトを使った音色の切り替えや作成に対応する。音色のプリセットは4つまで本体に保存できる。リチウム・バッテリー内蔵で、最大8時間連続で使用可能。上の写真は原寸大で、外形寸法は125(W)×85(H)×45(D)mm(ストラップ除く)、重量は346gとコンパクトな設計だ。
●まずはSparkシリーズについて教えてください。
原 Sparkは、アメリカに拠点を置くPositive Gridがリリースするギター・アンプ・シリーズです。同社は真空管などのパーツ単位から研究してアンプのモデリングを行っているメーカーで、2011年にリリースしたスマートフォン向けのアプリ、JamUpを皮切りに、Bias Amp、Bias FXといったプラグイン・ソフトを開発してきました。その技術を生かして自宅用のギター・アンプとして2020年に発表したのが、40Wのアンプを搭載するSparkです。2022年に10Wの小型モデルSpark MINIをリリースし、さらに小型化した5WモデルがSpark GOで、5月に発売を予定しています。
●Spark GOは重量346gと、かなりコンパクトなサイズです。
原 “ギター・アンプがある場所に行くのではなく、アンプを手元に持ってくる”というのがSpark GOのテーマなんです。アンプを持って、どこへでも行こうという意図から“GO”という名称が付けられています。
天野 すごく小さくて軽いので、本体横のストラップにギターのストラップを通すと腰元にセッティングできます。そのまま移動することもできて楽しいですよ。
●本体にはどういった機能が備わっているのでしょうか?
原 フォーン端子のギター入力があり、その周囲に備えるボリューム・ノブで入力音量を調節可能です。ステレオ・ミニ端子のヘッドフォン出力もあるので、モニターとしてだけでなく、PAにつないでライブ演奏することもできます。Bluetooth接続にも対応しており、Bluetoothスピーカーとして用いたり、バックグラウンド再生しながらの演奏も可能です。なお、スピーカーはモノラル再生ですが、ヘッドフォン出力からはステレオで再生されます。
●スピーカー構成は?
天野 2インチのフルレンジ・スピーカーと、パッシブ・ラジエーターが搭載されています。密閉型ではあるのですが、バスレフのように空気を逃がして低音を稼ぐのではなく、本体を積極的に鳴らして低域のレンジを広げるというものですね。
原 実はSpark GOの本体裏側の材質がゴムで、振動板のようになっています。普通に立てて聴いてももちろんいいのですが、裏側を下にして机に寝かせることで、机自体が響いて迫力のあるサウンドになります。
●実際にギターを演奏した際の音量はいかがでしたか?
天野 ギターの入力ボリュームを最大にしてみたところでは、Spark MINIの半分くらいかな?という印象です。ただ自宅で練習するには十分な音量だと思いますね。音楽再生時はより大きな音量でした。ヘッドフォン接続であればSpark、Spark MINIと同様の音量感も得られますよ。
●バッテリー駆動時間は最大8時間となっています。
天野 音量を中以下にしていれば、8時間連続で使用できます。8時間ずっと弾いている人もあまりいないかと思うので、携帯電話と同じように就寝時に充電すれば、翌日問題なく使えるかと。本体側面のUSB-C端子から充電可能です。
●Sparkシリーズの特徴として、無償でダウンロードできる専用のスマートフォン用アプリとBluetooth接続して連動できるというところがあると思います。アプリからはどういったコントロールが可能なのでしょうか?
原 アンプ/エフェクターのシミュレーター・ソフトが入っており、33種類のアンプ、43種類のエフェクターから音色を調節可能です。アプリをつないでリアルタイムに音色を変更できるだけでなく、Spark GO本体に4つまでプリセットを保存できるので、アプリで作成した音色を適宜入れ替えることもできます。ちなみに、本体のプリセット・ボタンを長押しすると、チューナー機能が使えます。
●USB-C端子をコンピューターに接続することでオーディオ・インターフェースとしても活用できますが、アプリで作成した音色も録音できるのでしょうか?
原 そうですね。エフェクトをかけたまま録音もできますし、アンプやエフェクトをすべてオフにすれば、ドライでも収録できます。ベースも当然ですが、インプット・ゲインが付いているのでシンセも問題なく録れます。
天野 音質的に小型のアンプだとどうしても物足りないと思ってしまうこともありますが、箱鳴り感があって力強さもあります。弾いていて楽しく、弾きやすい印象です。
●アプリにはほかにどのような機能がありますか?
原 注目すべき機能として、ToneCloud、Smart Jam、自動コード解析の3つが挙げられます。まずToneCloudは、ユーザー同士でプリセットを共有できるクラウド・システム。アプリで作成したプリセットをアップロードでき、ほかのユーザーが作成したプリセットの試奏やダウンロードもできます。プリセットに“いいね”を付けたり、ダウンロード数が表示されたり、タグ付けやお気に入りユーザーの登録も可能です。
●SNS的な楽しみ方ですね。
原 ギタリストのザック・ワイルド本人が作ったプリセットもありますし、ユーザーがザック・ワイルド風に作ったプリセットも検索できます。一日中遊べるといっても過言でないくらい楽しめますね。
●Smart Jamはどういった機能ですか?
原 用意されているドラマーを選び、コードを鳴らして読み取らせると、そのコードに合わせてアプリがドラムとベースを演奏してくれます。アドリブの練習など、一人でも気軽にセッションが楽しめる、という機能ですね。ベースを抜くことができるので、ベーシストもセッションできます。Quick Jamという、ポップやロックなどのジャンルを選べばすぐにセッションできる機能も搭載しています。キーやコード進行、BPMは自動で作成されますが、カスタムも可能です。
天野 練習しつつも、いいフレーズができたら採用する、というように作曲ツールとしても使えるのではないでしょうか。
●自動コード解析は?
原 アプリ内でYouTubeを流すことができ、その曲のコードを自動で解析してくれる機能です。曲を選択すると、コードと指板図が曲に合わせてリアルタイムに流れてくるので、それを見ながら演奏できます。部分的にループさせたり、再生速度を遅くすることも可能です。
●ギターの練習にはうってつけの機能ですね。
原 さらに面白い点として、“トーン”というToneCloudとリンクした項目があります。YouTube上の曲に合わせて作成したプリセットをアップロードして、“この曲に合いそうなプリセットを作ったよ。みんな使ってみてね”という感じの使い方ですね。もちろんほかのユーザーのプリセットもダウンロードでき、コミュニティとしても楽しめます。これら3つはアプリと連動してできることの中でも面白い機能なので、ぜひ使っていただきたいです。
●そのほか、演奏している模様を動画撮影できるビデオ・キャプチャー機能もあります。
天野 音はスマートフォンのマイクから拾う形にはなりますが、録画の開始前にカウントも付いているので自撮りしやすいのではないでしょうか。スマートフォン1台で再生/録画できるのは、とても便利だと思います。
●最後に、Spark GOはどのようなユーザーにお薦めですか?
原 恐らく、ギタリストなら全員が欲しいと感じるのではないでしょうか。自宅にシステムを整えている方だと音を出すまでに意外と時間がかかるケースもあると思いますが、段階を踏まなくてもすぐに演奏できます。本当に手軽です。
天野 ライブでの楽屋で使うウォーム・アップ用としてもいいです。音作りの選択肢もマルチエフェクターくらいに幅広く、アプリの機能も含めて、ここまでいろいろ兼ね備えたものは今までなかったかなと。Spark GOを実際に手に取って使ってみたら、きっと“おっ!”と感じてもらえると思います。
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