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「MELDAPRODUCTION MSoundFactory」116種類の楽器/151種類のエフェクトを収録したモジュラー式マルチソフト音源

「MELDAPRODUCTION MSoundFactory」116種類の楽器/151種類のエフェクトを収録したモジュラー式マルチソフト音源

フックアップが運営するオンライン・ストアbeatcloudから、注目のソフトをピックアップする本コーナー。今回レビューするのはMELDAPRODUCTION MSoundFactory。beatcloudの製品Webサイトには“コスパも性能も最強 究極のモジュラー・バーチャル・インストゥルメント”と記載されていますが、実際に複数の音源/エフェクトを搭載するマルチソフト音源です。モジュラー式なので細かい調整も行えます。Mac/Windowsで動作し、AAX/AU/VSTプラグインとして使用可能です。

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各インストゥルメントに最適なパラメーターを配置

 普段DAWでソフト音源を選ぶ際、ピアノやギター、ベース、ドラムといった生楽器系なのか、はたまたシンセやFX系なのか、目的によってチョイスが変わってくるはずだ。しかし、今回ご紹介するMELDAPRODUCTION MSoundFactoryは、ピアノやギター、ベース、ドラム、シンセ、FX、ベル、ブラス、フルート、ストリングスなど、実にさまざまなインストゥルメントを備えている。つまりMSoundFactoryが一つあれば、曲制作に必要な音源のほとんどを賄うことができるかもしれないということだ。しかも、それぞれが専用のソフト音源に匹敵するサウンドと機能を持っているとしたら、どう思うだろうか?

 MSoundFactoryを立ち上げると、画面左上にGenre(ジャンル)/Timbre(音色)/Articulation(演奏技法)/Algorithm(アルゴリズム)というカテゴリーが並び、同左下には楽器別に整理されたツリーと各インストゥルメントの名前が表示される。試しに“Mini mono”をクリックしてみると、同右側にMini monoの画面が登場する(画面①)。

画面① シンセ系インストゥルメントのMini monoを読み込んだところ。MSoundFactoryには116種類のインストゥルメントが収録されており、それぞれの画面デザイン/パラメーター・レイアウトが異なっている。各インストゥルメントには最適なパラメーターが配置されている

画面① シンセ系インストゥルメントのMini monoを読み込んだところ。MSoundFactoryには116種類のインストゥルメントが収録されており、それぞれの画面デザイン/パラメーター・レイアウトが異なっている。各インストゥルメントには最適なパラメーターが配置されている

 MSoundFactoryが収録するインストゥルメントの数は、116種類に及ぶ。それぞれデザインが異なり、パラメーターは各インストゥルメントの特徴を考慮したものが配置されている。

 また各インストゥルメントにはプリセットが用意されており、MSoundFactory自体が抱えるすべてのインストゥルメントのプリセット総数は3,722種類にも上る。これは現時点(2023年9月)での話なので、今後のアップデート次第では増加することが予想されるだろう。つまりMSoundFactoryはソフト音源としては1つだが、116種類のソフト音源が1つに集約されていると解釈してもよいくらいだ。

 ここからは、先ほど読み込んだインストゥルメントのMini monoを例にして解説を進めていこう。Mini monoの画面に搭載された各パラメーターで音色エディットが可能だが、さらに細かなエディットをする場合は、画面最上段にあるEditボタンをクリック。すると画面がエディット・モードに切り替わるので、ここで画面上段にあるGENERATORタブを選択するとGENERATOR画面が出現する(画面②)。

画面② Mini monoにおけるGENERATOR画面左側のモジュール・セクションにて、Oscillatorモジュールを選択したところ。同画面右側には、VOLUMEノブやINIT PHASEノブ、UNISONセクション、PITCHセクション、TRANSFORMセクション、SHAPEセクションが表示されている。SHAPEセクションのNormalモードでは、オシレーターの波形を細かく調整することが可能だ

画面② Mini monoにおけるGENERATOR画面左側のモジュール・セクションにて、Oscillatorモジュールを選択したところ。同画面右側には、VOLUMEノブやINIT PHASEノブ、UNISONセクション、PITCHセクション、TRANSFORMセクション、SHAPEセクションが表示されている。SHAPEセクションのNormalモードでは、オシレーターの波形を細かく調整することが可能だ

 ここでは画面左側にあるルーティング・セクションに注目してほしい。OscillatorやEnvelope、Ratio、Noise、Samplerなど、それぞれ役割を持つ長方形のモジュールがあり、ユーザーは自由にルーティングすることができる。またモジュールのどれか一つをクリックすると、画面右側にその設定パネルが表示される仕組みとなっているのだ。

 例えばOscillatorモジュールの設定パネルを見てみよう。SHAPEセクションのNormalモードではかなり複雑な波形を作成できるうえ、Harmonicsモードではハーモニクスを1〜256バンドまで分割でき、倍音の音量や位相をデザインすることができるという驚異的なものだ(画面③)。

画面③ SHAPEセクションのHarmonicsモードでは、ハーモニクスを1〜256バンドまで分割でき、各倍音の音量や位相を調整することができる

画面③ SHAPEセクションのHarmonicsモードでは、ハーモニクスを1〜256バンドまで分割でき、各倍音の音量や位相を調整することができる

 モジュールの種類についてだが、加算合成、FM、弦の物理モデリング、ウェーブテーブル、サンプラー、グラニュラー・サンプラーなどのほか、レゾネーターやLFO、ユニゾン、ディレイやサチュレーターといったエフェクトまで用意されている。特にウェーブテーブル・モジュールは近年の優れたデジタル・シンセに負けない内容と言えるし、サンプラー・モジュールも細かいキーやベロシティ・スプリットが設定できるので感心した。

 最後はFX画面について(画面④)。画面右上に位置するFXタブをクリックすると、FX画面へ切り替わり、この画面左側のセクションで各エフェクト・モジュールのルーティングが行える。

画面④ Mini monoのFX画面において、Chorusのエフェクト・モジュールを選択したところ。コーラス・スピードやサチュレーション、トレモロなどを細かく設定することができる。また、同左側のモジュール・セクションでは、各エフェクト・モジュールのルーティングや設定が可能。MSoundFactoryは、全部で151種類のエフェクト・モジュールを収録する

画面④ Mini monoのFX画面において、Chorusのエフェクト・モジュールを選択したところ。コーラス・スピードやサチュレーション、トレモロなどを細かく設定することができる。また、同左側のモジュール・セクションでは、各エフェクト・モジュールのルーティングや設定が可能。MSoundFactoryは、全部で151種類のエフェクト・モジュールを収録する

 なおエフェクト・モジュールは全部で151種類を収録。筆者の周りではMELDAPRODUCTIONのプラグイン・エフェクトは定評がある。そのノウハウが生かされているのだろう。もはや同社のエフェクトがMSoundFactoryにバンドルされているような印象を受ける。

ダンス・ミュージックに即戦力となる音源も多数

 ここからは、筆者がMSoundFactoryのインストゥルメントをいろいろ試した中で特に印象に残ったものを紹介しよう。まずはWobble Factory。いわゆるウォブル・ベースに特化したFMシンセ系インストゥルメントで、サブベースも同時に調整できる優れもの。DAWのテンポにあわせて荒々しいウォブル・ベースを鳴らすことができる。

 このほかにもDX PluckやEphem、Lazer Bass、Reese Bass、Supersawなど、ダンス・ミュージックに即戦力となるシンセ系インストゥルメントが数多く用意されている。

 生楽器系では、サンプルを軸としたピアノ系インストゥルメント、Monastery Grandだ(画面⑤)。3つのマイク・ミックスをはじめ、アンビエンスやトーン・カラーを調整できるパラメーターを備えているため積極的な音作りができるだろう。データ容量は3.5GBとなっている。ちなみにピアノ系インストゥルメントには、40GBの容量を持つMeldway Grandも用意されている(必要に応じて個別にダウンロード可)。

画面⑤ ピアノ系インストゥルメントのMonastery Grand。3.5GBの容量を持つ、サンプル・ベースの音源だ。AMBIENCEノブや3種類のマイク・ミックスなどのパラメーターを搭載している

画面⑤ ピアノ系インストゥルメントのMonastery Grand。3.5GBの容量を持つ、サンプル・ベースの音源だ。AMBIENCEノブや3種類のマイク・ミックスなどのパラメーターを搭載している

 キーボード系インストゥルメントには、Electric Piano、Drawbar Organなどがあり、これらはサンプルを使用せず、オシレーターを用いてシンセサイズされている。

 さらに、Taiko DrumやCinematic Percussionなどのパーカッション系インストゥルメントは迫力のあるサウンド。またFM BellsやFM EP、Pluckiano、Pop Cornyなどのインストゥルメンツは音の立ち上がりが極めて速いのが印象に残った。

 MSoundFactoryはサンプルを使用したリアルな表現力と、優れたシンセサイズ能力を持ち合わせたマルチソフト音源だと言えるだろう。高性能なシンセ・エンジン、多種多様なモジュール、扱いやすいルーティング機能、幅広い音作りを実現するモジュラー・エフェクトなどが好印象だった。

 また、高音質かつ力強いシンセ・サウンドはお見事。誰も聴いたことのないサウンドを制作したい人にとっても、MSoundFactoryはお薦めだ。自分でインストゥルメントを構築することができるのもユニーク。オリジナルのパネル(GUI)も、CUSTOM GUI DESIGNERというメニューから作成することができる。

 価格は46,940円と、一つのソフト音源として考えると若干高額な印象だが、多様なモジュール・システムやサンプラー機能、116種類の付属インストゥルメンツ、151種類の内蔵エフェクトなどを鑑みると、決してそんなことはないだろう。

 なお、MSoundFactoryは無償で永久アップデートできるので、今後のインストゥルメンツが追加されたときは無償で手に入れられる。筆者は今から購入しておき、今後のアップデートを楽しみに待ちたい。デモ版もあるので、ぜひbeatcloudのWebサイトをのぞいてみるとよいだろう。

 

MELDAPRODUCTION MSoundFactory

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 Requirements 
■Mac:macOS 10.14以降(64ビット)、AAX/AU/VST/VST3対応のホスト・アプリケーション(64ビット)、INTEL、AMDまたはApple Siliconプロセッサー
■Windows:Windows 8/10/11以降(64ビット)、AAX/VST/VST3対応のホスト・アプリケーション(64ビット)、SSE2をサポートするINTELまたはAMDプロセッサー

 

松前公高

【Profile】EXPOやスペースポンチ、S.S.T.BANDで活動し、これまでにアニメ『キルミーベイベー』、NHK『おしりかじり虫』『大科学実験』の作曲も担当。1台のKORG MS-20を使ったソロ・ライブも行う。

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