MIDIエフェクトを搭載したPro Tools 2024.3 〜Dolby Atmosワークフローも強化

Pro Tools 2024.3 header

 AvidのDAWソフト、Pro Toolsの最新版となるPro Tools 2024.3がリリースされた。サブスクリプションが有効なユーザー、またはサポート&アップグレードが有効な永続ライセンスのユーザーは無償でダウンロードが可能。無償版Pro Tools Introもアップデートの対象となる。また、このバージョンからMacではmacOS 14 Sonomaがサポートされる。

MIDIエフェクトプラグインと強化されたシグナルフロー

Pro Tools MIDI Plugin Slot

 Pro Tools 2024.3では、新たにMIDIエフェクトプラグインが追加。従来のオーディオ/インストゥルメントと同様に、インストゥルメントトラックのスロットにインサートできる。Avid純正MIDIプラグインとして、Note Stack、Velocity Control、Pitch Controlが付属する。

1つのノートから和音を生成できるNote Stack

1つのノートから和音を生成できるNote Stack

 Pro Tools Intro以外ではサードパーティ製のMIDIプラグインにも対応し、Audiomodern Riffer 3、Modalics EON-Arp、PitchInnovations Groove ShaperのAAX版がPro Tools 2024.3のインストーラーにバンドルされる。

リフを生成するスマートシーケンサーAudiomodern Riffer 3。左上のロゴ右にPro Toolsのアイコンがあることから、製品版とは異なりAAX限定のものがPro Toolsのインストーラーに同梱されている

リフを生成するスマートシーケンサーAudiomodern Riffer 3

Modalics EON-Arp。AAX版がPro Toolsインストーラーに同梱されている

アルペジエイター/ステップシーケンサーのModalics EON-Arp

拍を分割してスタッター的な効果を得るPitchInnovations Groove Shaper。AAX限定のLITE版

拍を分割してスタッター的な効果を得るPitchInnovations Groove Shaper

 また、Pro Tools MIDI環境が拡張され、同じトラック内、トラック間、さらにはプラグイン間でのMIDIルーティングが可能となった。

Pro ToolsとSibelius間でのMIDIコピー&ペースト

 Pro Tools 2024.3では、楽譜作成ソフトSibeliusとの間でMIDIのコピー&ペーストが可能に。Pro Toolsからはクリップ内のタイミングや位置、クリップ全体の連続コントローラーデータなど、関連するすべてのMIDI情報とともにSibeliusにペーストできる。逆に、Sibeliusのパッセージ選択やコンダクタートラック全体を、すべての関連データとともにコピーし、Pro Toolsに直接ペーストすることも可能となっている。

Pro Tools Sketchとの連携機能とループ追加

 ループベースの付属ツールであるPro Tools Sketchと、編集ウィンドウの連携が強化。編集ウィンドウのインストゥルメントトラックからPro Tools Sketchへクリップをドラッグ&ドロップすると、SynthCell/PlayCellの設定やミキサーの音量などが反映される。また、Pro Tools Sketchのオーディオトラックへドラッグ&ドロップすれば、自動的にオーディオクリップへと変換。Pro Toolsセッションフォルダーへ保存する際に便利な、ピン留め機能も追加された。

 同時にiPad用無償アプリのPro Tools Sketchでは、Loopmastersから提供されたコンテンツをダウンロード可能に。より多くのループ素材を制作で使えるようになった。

ARA&クリップエフェクトが独立ウィンドウに展開

Pro-Tools-2024.3-ARA-Melodyne-detachable-tab

 ARAウィンドウやクリップエフェクトウィンドウが、独立して表示可能に。ARAウィンドウはサイズの調整が可能で、セッションに表示サイズを保存できる。

Dolby Atmosライブ・リレンダリング機能強化

 Pro Tools 2023.12でDolby Atmos Rendererが内蔵されたが(Studio/Ultimate)、Pro Tools 2024.3では、バイノーラル、2.0、5.1、7.1、5.1.2、5.1.4、7.1.4、9.1.6(Ultimate) のライブ・リレンダリングが可能に。同時ライブ・リレンダリングに制限数はなくなり、例えば2.0、5.1、7.1、7.1.4、バイノーラルのミックスを一度にPro Tools上のトラックへ出力することが可能となった(処理能力に依存)。

 ライブ・リレンダリングは遅延補正が有効で、部分的なリレンダリングにも対応。ステムの作成もより効率的に行える。

 また、Apple空間オーディオ向けのモニタリングも、Audiomovers Binaural Renderer For Apple MusicやEMBODY Immerse Virtual Studioのような対応するサードパーティ製プラグインにライブ・リレンダリングすることで簡単に行えるようになった。

 

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