「関ジャム」出演のJUVENILEが解説! トークボックス・サウンドの作り方

「関ジャム」出演のJUVENILEが解説! トークボックス・サウンドの作り方

ピッチ・シフト(オート・チューン)やボコーダー、デジタル・クワイアなど、プラグインを使ったボーカル・エフェクトの作り方を紹介する本特集。ここでは、ボン・ジョヴィ「イッツ・マイ・ライフ」やブルーノ・マーズ「24K・マジック」などで有名なトークボックス・サウンドの作り方を、トークボックス奏者でもある音楽プロデューサーのJUVENILEが解説します。

プラグインでより自由度の高い表現が可能

 トークボックスは楽器から出る音を、チューブを通じて口内で共鳴させるエフェクターの一種。昨年、テレビ朝日「関ジャム 完全燃SHOW」に出演したときはキーボードにつないで演奏しましたが、もともとはギターにつなぐエフェクターだったそうです。有名曲には、ボン・ジョヴィ「イッツ・マイ・ライフ」やブルーノ・マーズ「24K・マジック」などが挙げられます。当初は飛び道具的な使い方でしたが、近年はメインで使われることも増えてきました。

 今回は、トークボックス・サウンドをプラグインで簡単に演出するテクニックをお伝えします。演奏スキルが要るトークボックスですが、プラグインだとあとから音作りができるため、より自由度の高い表現が可能です。

 参考音源 

STEP 1:ボーカルをしっかりトリートメント

 トークボックス・エフェクトをうまく聴かせられるかどうかは、ボーカル・データ(録り音)に左右されます。なので、下ごしらえとしてボーカルに200Hz付近にローカットEQを入れ、3kHz以上を過剰にブーストしましょう。こうすることで余分な低域をカットし、子音を担う高域成分をはっきりと聴かせることができます。必要であれば、軽くコンプをかけて音をまとめておくのもよいでしょう。

STEINBERG CubaseのチャンネルラックのEQ画面。こもった音になるのを防ぐためにローカットを入れたり、中域の気になるポイントをカットしたり、高域をブーストしたりしている

STEINBERG CubaseのチャンネルラックのEQ画面。こもった音になるのを防ぐためにローカットを入れたり、中域の気になるポイントをカットしたり、高域をブーストしたりしている

STEP 2:VocalSynth 2をインサートする

 ボーカル・トラックにIZOTOPE VocalSynth 2をインサートし、画面上部に並ぶ5種類のモジュールの中から“Talkbox”をオンにしましょう。そして、画面最上段の中央にある“モード設定ボタン”(赤枠)をクリックし、“MIDI Mode”を選択します。ここでMIDIトラックを1つ作り、この信号がVocalSynth 2に入力されるように設定しておきましょう。

IZOTOPE VocalSynth 2は、ボーカルを5種類のサウンドに加工できるマルチエフェクト・プラグイン。MIDI ModeではMIDIの設定方法をガイドしてくれる

IZOTOPE VocalSynth 2は、ボーカルを5種類のサウンドに加工できるマルチエフェクト・プラグイン。MIDI ModeではMIDIの設定方法をガイドしてくれる

STEP 3:ピアノロールにMIDIノートを入力

 先ほど作成したMIDIトラックに、メロディを打ち込んでいきましょう。ここでのポイントは、メイン・メロディとその1オクターブ上のメロディをユニゾンで打ち込むこと。こうすることでボーカルに厚みが出せ、音数の多いオケに混ぜたときでも音抜けして聴かせることが可能です。1オクターブ下にメロディを重ねてみてもよいかもしれません。

メイン・メロディとユニゾンするように、1オクターブ上にメロディを入力

メイン・メロディとユニゾンするように、1オクターブ上にメロディを入力

STEP 4:細かいパラメーターで音色を調整する

 最後にTalkboxモジュール内のパラメーターを調整しましょう。Driveの値を大きくすると音が太くなり、Speakerの値を大きくすると歌詞が聴き取りやすく、値を小さくするとシンセ音の割合が増します。自分はボーカルが何を言っているのかはっきり伝えたいので、普段からこの2つは最大値まで上げていることが多いです。これで大体の設定は完了。あとは後段のエフェクトでさらにコンプやEQ、リバーブ、コーラスなどお好みでかけるとよいでしょう。子音をはっきり聴かせることがより完成度の高いトークボックス・サウンドを作るポイントですので、これだけは忘れずに!

Talkiboxモジュールの拡張設定画面。オシレーターを2基搭載し、波形も選択できる

Talkboxモジュールの拡張設定画面。オシレーターを2基搭載し、波形も選択できる

 完成したトークボックス・サウンドを聴いてみる 

 

JUVENILE

JUVENILE
【Profile】独自のCity Musicを発信し続けるDJ/アーティスト/音楽プロデューサー/トークボックス奏者。RADIO FISH「PERFECT HUMAN」の作編曲や舞台『ヒプノシスマイク』の楽曲など、多方面で活躍。昨年12月には2枚目となるセッション・アルバム『INTERWEAVE 02』をリリースした。


 連動音源提供アーティスト 

Yun*chi
【Profile】ポップス/アニメ・ソングからクリエイティブ・シーンまでをつなぐ女性シンガー。TVアニメ『ログ・ホライズン』のエンディング曲「Your song*」や、『うーさーのその日暮らし 夢幻編』主題歌「Lucky Girl*」のほか、タカラトミーのリカちゃんテーマ曲「ゆめみるリカちゃんの歌」の歌唱も担当する。

Musician:砂川 信祐(prog)|Producer:Yun*chi|Engineer:あきお|Studio:studio Mcfly

【特集】ボーカル・エフェクト作成術

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