MET as MTHA2 〜マッドリブを尊敬し、Sound's DeliのプロデュースやMASS-HOLEなどに楽曲提供するビート・メイカー【特集】TRAP MAKERS LAB

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技術的な部分は後天的な努力でどうにかなるから
これからも“自分の音楽”をやっていく気でいます

トラップ・ミュージックを中心に制作する国内ビート・メイカーたちに、音楽制作を始めたきっかけやこだわりを聞いていく「TRAP BEAT MAKERS」。MET as MTHA2は下北沢にあるTOKYO BANG STUDIOを拠点として活動する音楽プロデューサー/ビート・メイカー/DJ。5人組ユニットSound's DeliのEP『RUMBLE』のフル・プロデュースのほか、MASS-HOLEなどに楽曲提供する。

Instagram@met_mfs

 RECENT WORK 

『Bang Studio』
Kaleido & K-nice
(TOKYO BANG STUDIO)

 ビート・メイキングを始めたきっかけ 

 もともと自分はブレイク・ダンスをやっていて、いつもダンスで使う曲の編集作業をフリー・ソフトで行っていました。その作業がとても楽しくなり、そのうち“もう曲が作れるな”と思ってビート・メイキングを始めることにしたのです。

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下北沢にあるMET as MTHA2のプライベート・スタジオ。コンピューターはAPPLE MacBook Proで、DAWはビート・メイキング用にIMAGE-LINE FL Studioを、レコーディング用にABLETON Liveを使用している。メイン・デスクの左手にはPIONEER DJ CDJ-800MK2、ヘッドフォンのAUDIO-TECHNICA ATH-M40X、MIDIパッドのAKAI PROFESSIONAL MPC Studio、ヘッドフォン・アンプのBEHRINGER HA400 Microamp、ターンテーブルやMIDIキーボードなどが配置されている。モニター・スピーカーはMACKIE. CR4だ

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見た目で引かれて購入したという、ハンディ・オーディオI/OのZOOM U-24

 ビート・メイキングに影響を与えた楽曲 

 ジュエルズ・サンタナ「Time Ticking (feat. デイブ・イースト、ボビー・シュマーダ&ロウディ・レベル)」です。この曲からは、全体的なドラムの打ち込み方や音のバランス、サンプリング・ネタの使い方など、非常にたくさんの影響を受けています。グルーブ的にはトラップの雰囲気が漂っていますが、ドラムの鳴りは完全にニューヨーク・スタイルのヒップホップ。このバランス感や雰囲気は、自分がビート・メイキングをする際に参考にしていますし、自分の大好きな一曲でもあります。

 

 尊敬するビート・メイカー/プロデューサー 

 マッドリブです。プロダクションはもちろんですが、彼の音楽に対する姿勢にも尊敬しています。彼は独自のサウンドを持っていると思うし、それでいて新しくもあるような気がするのです。自分にとってマッドリブのサウンドは既成概念を壊してくれたり、時には肯定もしてくれる存在。彼のLP『シェイズ・オブ・ブルー』は額に入れて飾っています(笑)。

 

 TR-808系キック・ベースのこだわり 

 キック・ベースの音源には、サンプルを用います。大量に所有するサンプル・パックの中から毎回上モノやドラムに応じて選ぶので、“いつも決まってこの音を使う”というものはありませんが、トラップの最重要プロデューサーの一人であるメトロ・ブーミンのサンプル・パックはよく使いますね。ちょっとしたコレクションになりつつあるので、友人とシェアすることも多いです。キック・ベースのエンベロープについては、キックとの兼ね合いでアタックを若干調整することもありますが、そもそも“良いサンプル”を選ぶことが一番大事ですね。

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マイクはBLUE MICROPHONES Baby Bottle SL

 TR-808系キック・ベースに用いるプラグイン 

 特定帯域をひずませることができるFruity Fast Distや、パラメトリックEQのFruity Parametric EQ 2といったIMAGE-LINE FL Studio付属プラグインのほか、サチュレーションのMELDAPRODUCTION MSaturatorなどを用います。曲にもよりますが、ある程度のローエンドをつぶしつつ、倍音を付加していくイメージです。MSaturatorはフリー・プラグインですが、リミッター機能が付いていて便利なのでよく使います。

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リミッター機能が付いているサチュレーション・プラグイン、MELDAPRODUCTION MSaturator

 ビート・メイキングのこだわり 

 とにかく“ノれる”ということを意識しています。例えばラップが完ぺきなら、ドラムはほとんど鳴らないという判断もあり得るでしょう。“ノれる”ことは一種の正解だと信じているので、リズム・プログラミングは非常にこだわっています。例えばハイハットを16分音符で連打しているような場合でも、ベロシティやクオンタイズを細かく調整するなど、誰も気付かないようなところまでしっかり作り込むタイプです。

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シンセサイザーのYAMAHA SY35は譲ってもらったものだそう

 ビート・メイカーとして大切なこと 

 自分の音楽を追求する姿勢だと思います。技術的な部分は後天的な努力でどうにかなるからです。少なくとも、自分はこれからも“自分の音楽”をやっていく気でいます。

 

【特集】TRAP MAKERS LAB