笹川真生、jon-YAKITORY、Matt Cab、保本真吾が本気で惚れた音楽制作ツール

笹川真生、jon-YAKITORY、Matt Cab、保本真吾が本気で惚れた音楽制作ツール

2021年も、音楽制作ツールの世界では個性的な機材やソフトが数多く生み出されました。クリエイターやエンジニアたちは、その中から何を選び活用してきたのでしょう? 総勢30組に“本気で惚れたツール”を紹介していただきましたので、第4弾では笹川真生、jon-YAKITORY、Matt Cab、保本真吾のツールを見ていきます。

笹川真生

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【Profile】シンガーソングライター。ボカロPとして音楽キャリアをスタートさせた後、2019年ごろより現在の活動スタイルへシフトし、作品を多数発表。目下最新曲「日本の九月の気層です」をはじめ叙情的なロック・サウンドが持ち味で、理芽などへの楽曲提供も行う

 Recent work 

『日本の九月の気層です』
笹川真生
(笹川真生)

UVI Toy Suite[Software Instrument]

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 “おもちゃ箱をひっくり返したような”といった表現をときたま目にします。そんなエッセンス(?)を作品に取り入れたいと思ったタイミングがありまして、調べてみたところ、まさにおもちゃ箱をひっくり返したようなプラグインがこのToy Suiteでした。アコースティック/エレクトリックのトイ楽器の音が多数、収録されています。

 トイ楽器と聞いて想像し得るものから、かわいらしくも実用的なシンセ、謎の知育玩具、さらにはチップ・シンセまでそろっていて、それらのどれもが“使いたい!”と思わせてくれる、不思議な魅力を持っています。主役に立ててもいいし、裏でうっすら鳴らすだけでもどこか温かく、身近な心地良さを演出してくれます。操作画面も非常に魅力的で、立ち上げるだけで制作のストレスが緩和されます(笑)。

 Toy Suiteは、2020年の3月以降に制作した楽曲のほぼすべてに使用しております。例えば「異邦人」「日本の九月の気層です」という2曲にもたくさん使っていて、この記事が皆さんに読んでもらえた後に出る作品たちでも、大活躍しているはずです。

jon-YAKITORY

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【Profile】多様なジャンルの音楽とVocaloidの融合に挑戦し続けている、次世代を担う音楽プロデューサーの一人。代表作である「シカバネーゼ feat.Ado」はYouTubeで総再生数870万再生を超える。2020年7月にベスト・アルバム『Y』をリリースした

 Recent work 

『ONI』
jon-YAKITORY feat.シユイ
(Sony Music Labels)

MUSICAL SAMPLING Atelier Series Anthem Choir[Software Instrument]

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 レガート・クワイアのサンプルを収めたソフト音源です。Twitterで紹介している人をたまたま見つけて、即買いしました。クワイア音源と言えば、普通はクラシック系やチャーチ系ばかりですが、このAnthem Choirはポップスやロックのコンサートでみんなで歌い上げるようなフレーズの作成に向いていて、かゆいところに手が届く音を出せる数少ない音源だと思います。宅録メインで曲を作る人にとっては、そういったコーラスを実際に録音すること自体、経済的にも環境的にもハードルが高いと思うのでお薦めです。

 細かい設定などはあまりできませんが、その分、操作画面がシンプルで使い方も難しくありませんし、ポップ・ミュージックに適したクワイアを求めている人にはうってつけだと思います。また、オーディエンスのハンド・クラップや足踏み音なども入っており、それらもなかなか良い具合に鳴ってくれます。これから発表する楽曲に活用していて、かなり役立っています。

Matt Cab

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【Profile】サンフランシスコ出身で、現在は日本で活動する音楽プロデューサー/アーティスト。BTS、安室奈美恵、BE:FIRSTなどの楽曲を手掛け、MIYACHIとの「Famima Rap」、BLOOM VASEとの「SCRAMBLE」などのコラボ曲も話題を呼んでいる

 Recent work 

『SCRAMBLE』
Matt Cab & BLOOM VASE
(STANDO)

UNIVERSAL AUDIO UAD-2 Satellite Thunderbolt 3[DSP Accelerator]

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 UNIVERSAL AUDIOのUADプラグインはすごく良いんだけど、駆動に必要なDSPパワーが不足することも多かったので、このDSPアクセラレーターを購入したんです。おかげで使用できるUADプラグインの数が増え、ミックスのクオリティが格段に上がった気がします! 実は新曲のMatt Cab & BLOOM VASE「SCRAMBLE」で大活用しているんですよ。初めてDSPのリミットを感じずに音作りできたし、パーフェクトなミックスを作るのに必要なすべてのプラグインを使えている気がしました。

 もちろんコンピューターのCPUに負荷がかからないこともあり、とても便利です。パワー・アップしたシステムで制作の自由度が上がり、サウンド・デザインとミックスの可能性が広がりました。

保本真吾

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【Profile】SEKAI NO OWARI、ゆず、井上陽水、家入レオ、Official髭男dism、Awesome City Clubなどのアレンジ/プロデュースに携わってきたプロデューサー。新人発掘プロジェクト“Enjoy Music!”の最新コンピ『Enjoy Music! New Wave Generations Vol.2』の3タイトルが配信中

 Recent work 

『Enjoy Music! New Wave Generations Vol.2』
V.A.
(SLIDE SUNSET)
※上は全3タイトルのうちの“Chapter #1”

EMS Synthi A[Analog Synthesizer]

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 EMSのSynthi Aというアナログ・シンセサイザーです。注⽂したのは2年くらい前なのですが、ようやく完成品が届きました。尊敬するブライアン・イーノが愛機として使っていて、ずっとあこがれていたのですが、ビンテージは⾼額なので躊躇(ちゅうちょ)していたところ、今でも製造してるらしいといううわさを聞き、直接EMSのWebサイトから連絡してみると“製造している”ということだったので、すぐにオーダーしました。

 Synthi Aは、まず普通のアナログ・シンセとは使い⽅の解釈が全く違っていて、想像⼒をかなりかき⽴てられます。キーボードを使って通常の鍵盤のようにピッチ・コントロールもできますが、発振させて時間軸に沿って変化させてうねりを作りやすいので、シンセだけど人間的で⽣命を感じるようなサウンドを作り出せるところがとても気に⼊ってます。11⽉に届いたばかりなので、これから本格的に使⽤していく感じです。

【特集】本気で惚れた音楽制作ツール2021

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