現代の音楽制作に無くてはならないソフト音源。オールマイティに使えるものから特定のジャンルを象徴する製品、他者との差別化を図れる斬新な音源までそろい、まさに百花繚乱です。そうした数多くの選択肢の中から、プロの現場でリアルに重宝されているものとは何なのでしょうか? 本特集では、著名クリエイター18名に“マイ定番ソフト音源”を挙げていただき、その活用方法を語ってもらいます。
MK
[MK]フューチャー・ハウス/トランスなどを手掛けるプロデューサー/DJ。オランダの名門Armada Musicからリリースするほか、Jポップやゲーム音楽の楽曲提供なども行う。よりフロア・ユースな曲を手掛けるShadw名義でも活躍
LENNARDIGITAL Sylenth1
LENNARDIGITAL Sylenth1
(139ユーロ)
Sylenth1は、4基のオシレーター、2基のフィルター/アンプ・エンベロープ/モジュレーション・エンベロープ/LFO、そして8種類のエフェクトを備えるソフト・シンセ。オシレーターの波形はサイン波/ノコギリ波/三角波/矩形波など合計8種類、フィルター・カーブは4種類を搭載しています。エフェクトにはアルペジエイターをはじめ、ディストーション/フェイザー/コーラス/EQなどを内蔵し、画面中央のパネル・セクションで設定が可能。最新のソフト・シンセと比べるとシンプルに見えますが、ビギナーにとっては分かりやすいのでお薦めです。音作りが苦手な方は、さまざまなメーカーから発売されているSylenth1のプリセット集をチェックしてみるのもよいでしょう。
シンセサイズが簡単でCPU負荷も軽いため
“楽曲制作の相棒”と呼べるソフト・シンセです
EDMを制作するクリエイターなら知っている人も多いソフト・シンセ、LENNARDIGITAL Sylenth1。レトロビジョンやマイク・ウィリアムスなど、多くのEDMプロデューサーが使用しています。自分はフューチャー・ハウスやトランスなどを主に制作することが多いのですが、音抜けの良いSylenth1は、こういった4つ打ち系のダンス・ミュージックに向いているでしょう。
Sylenth1は“音作りのしやすさ”と“音の太さ”が魅力的で、楽曲のさまざまなシンセ・パートに使っています。画面には、各パラメーターがセクションごとに分かりやすく表示されており、ノブの数もそこまで多くないので、ある程度シンセに慣れた人であれば“パッ”と音作りができるでしょう。FMシンセやウェーブテーブル・シンセのような複雑な音作りはできませんが、シンセサイズが簡単に行え、CPU負荷も軽いことから“楽曲制作の相棒”とでも呼べるようなソフト・シンセです。
また、Sylenth1の音の太さは特別。自分はSylenth1の音を主軸にして、そこにさらにほかのソフト・シンセの音をレイヤーしていくという使い方が多いです。オシレーター1つだけでも非常に厚みのあるサウンドを作り出せるので、シンセ・ベースやリード/パッド/プラックなど、シンセ・パートの“芯”となる音として、Sylenth1は常に活躍しています。アナログ・シンセのような温かみのある音色なので、近年のソフト・シンセに見られる尖ったような高域と干渉することもありません。そのため、両者をレイヤーするのは相性が良いです。まさにSylenth1は、シンセ・サウンドの“屋台骨”とも言えるでしょう。
この曲で活躍!
近年流行しているフューチャー・トランスという音楽ジャンルでリミックスしてみました。ドロップで登場するブラスのようなシンセ・リードにSylenth1を使っています。Sylenth1の持つ太さと音抜けの良さが、十分に発揮されている楽曲でしょう!
製品情報
DAWに立ち上がる“マイ名機”の使い方
これが私の定番ソフト音源!
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