現代の音楽制作に無くてはならないソフト音源。オールマイティに使えるものから特定のジャンルを象徴する製品、他者との差別化を図れる斬新な音源までそろい、まさに百花繚乱です。そうした数多くの選択肢の中から、プロの現場でリアルに重宝されているものとは何なのでしょうか? 本特集では、著名クリエイター18名に“マイ定番ソフト音源”を挙げていただき、その活用方法を語ってもらいます。
松隈ケンタ
[松隈ケンタ] 音楽プロデューサー。バンドBuzz72+を経て、音楽制作集団SCRAMBLESの代表を務める。Jポップにエモーショナルなロック・サウンドを取り入れる手腕に定評があり、BiSHやBiSなどのプロデュースを行う
XLN AUDIO Addictive Drums 2
XLN AUDIO Addictive Drums 2
オープン・プライス(市場予想価格:ダウンロード版/16,645円前後、パッケージ版/28,000円前後)
Addictive Drums 2は、世界中の素晴らしいドラム・サウンドを収録したソフト音源。プロによって演奏されたドラムの音をすぐにDAW上で使用することが可能です。ドラム・キットのFairfax vol.1&2/Black Velvetを標準搭載し、約130ものドラム・キット・プリセットも収録。また、さまざまなドラム・パターンを再現したMIDIフレーズを5,000以上も同梱しています。さらに、拡張キットやパターンも用意されており、任意のものを購入後に選択できるCustomなどのグレードも用意。そのまま使ってもよいですし、さらにそこから自分なりのパターンを展開することも可能です。ソフトの動作も軽く、煩わしい作業に邪魔されることもないので音楽制作に集中することができるでしょう。
ミュージシャン目線で作られた視覚的な操作感で
スピーディな音選び/音作りが行えます
SCRAMBLESの楽曲制作では、基本的にドラムは生音に差し替えます。そのため主にデモ制作で、生ドラムに特化したこの音源を使用することが多いです。これまで同じようなソフトをたくさん使ってきましたが、Addictive Drums 2は音が既に仕上がっており、細かい処理をしなくてもすぐに使えるのがグッド。デモ作りにおいてはスピード感が大切なので、手早くアイディアを形にしたいときにとても重宝するツールです。
ドラム・キットの中にはビンテージ系やソウル/R&Bに特化したようなものもありますが、やはりロック系のキットが一番しっくりくるような気がします。個人的に好きなのは“ADpak United Heavy”。普段の制作では、その中にある “UNITED HEAVY - PCD Pretend Kit”というプリセットを基準に、より細かいパーツの音作りを行います。
Addictive Drums 2は、何と言っても画面が見やすく操作も簡単なので、スピーディな音選び/音作りが魅力です。ドラム・パーツを選ぶ画面では、各パーツの画像がリアルでとてもわくわくします! ロック系のような“バシッ”と硬めの音を出したいときは金属のスネア、Jポップやバラード系は木のスネアを選ぶなど、視覚的に音をイメージしやすいのもポイント。メーカーのロゴも画像内に表示されているので、知っている人はより直感的に音を想像できるでしょう。また、各パーツを好みの音に調整したら、それをサンプルとして書き出すことも可能。自分だけのワンショット素材ができるので、ソフト・サンプラーに入れて使うなど、応用可能な点も気に入っています。
この曲で活躍!
もともとこの曲のドラムは、普段の制作通り生ドラムに差し替える予定でしたが、アレンジがデジタル・ロックのような方向性だったため、ドラムはAddictive Drums 2の方がしっくりハマったんです。最終的に、ドラムは打ち込みで完成させました。
製品情報
XLN AUDIO Addictive Drums 2
DAWに立ち上がる“マイ名機”の使い方
これが私の定番ソフト音源!
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