現代の音楽制作に欠かせないツールとなったヘッドホン/イヤホン。「制作の大半をヘッドホンでこなす」と言うクリエイターやエンジニアが増えており、それに呼応するように各メーカーからも魅力的な製品が登場している。ここでは、ヒップホップやR&Bを得意とするベテラン・プロデューサー、DJ WATARAIが登場。彼が長きにわたり愛用しているのが、STAXのイヤー・スピーカー(=オープン・コンデンサー型ヘッドホン)だ。“これは完成形”と、WATARAIが太鼓判を押すモデル、SR-L700 MK2について語ってもらった。
STAX SR-L700 MK2
1979年に登場したSR-Λの系譜を継ぐトップ・モデル。専用のドライバー・ユニット(別売り)とセットで使用する。電圧伝送に適した幅広な着脱可能ケーブルを採用し、イヤー・パッドは通気性に優れた羊革。
【SPECIFICATION】
●型式:オープン・コンデンサー型 ●周波数特性:7Hz~41kHz ●インピーダンス:145kΩ ●ユニット形状:長方形 ●重量:約371g(本体のみ)
現行のサウンドに合わせてきた感じがします
10年くらいSTAXを愛用しています。最初に聴いたときに“本当にヘッドホンなの?”って衝撃を受けてからずっと。そうは言っても慣れというのは怖くて、じきに“ローが足りない”といった不満がでてきて、ほかに浮気しては戻ってきたりしていました。ちょうど1年前にSR-L700 MK2が登場し、サンレコでレビューさせてもらい“これは完成形だ”と、あらためてSTAXにほれ込みました。
近年、ダンス・ミュージックの帯域のバランスは大きく変わりました。特にヒップホップだと、ベースが超低音と中域寄りの低音でレイヤーになっていることもありますが、SR-L700 MK2だと分離して細部まで聴こえます。金物系の音もかなりキツめに出ているけれど、その痛さ加減まで見えやすい。この手の音数が少ないトラックは、倍音が少し乗ったほうが気持ち良くて、真空管アンプSRM-700Tを併用すれば、ひずませ具合もよく分かります。SR-L700 MK2は、現行のサウンドに合わせてきた感じがしますね。
装着感は軽く、アームが改良されて着け心地も良くなりました。しばらくはSR-L700 MK2だけで十分ですね。ハイエンド・スピーカーで聴いたときの癒やされる感じというか……STAXにしかない音楽体験があるんですよ。
DJ WATARAI
DJ/トラックメイカー/プロデューサー。これまでにMUROやNITRO MICROPHONE UNDERGROUND、MISIA、DOUBLE、AIなどへ楽曲提供。渋谷HARLEM『MONSTER』のレギュラーDJとしても活動している。
Recent Work
『Liberation(Deluxe Edition)』※収録曲「JACKPOT」をプロデュース
JUBEE
(Rave Racers / CreativeDrugStore)