マイクやプリアンプ、オーディオI/O、スピーカー、プラグインなど、音楽制作で必要となってくる機材はさまざまです。多くのメーカーがしのぎを削って新たなモデルを開発し、毎年多彩な音楽制作機器/ソフトウェアが登場しています。そのたびにクリエイターたちは物欲と闘い、自身の環境や予算を考慮しながら頭を悩ませるのです。特にステイ・ホームという言葉が定着した現在では、自宅の制作環境を整えようと考えている人も多いことでしょう。この企画では、19名のアーティスト/クリエイター/エンジニアに、今すぐ導入しやすい価格帯で欲しい機材、読者にお薦めしたい機材を聞いてみました。プロはどんな製品に注目してどのようなところに魅力を感じているのでしょうか?
ミヤ(MUCC)
[Profile]1997年にMUCCを結成し、以降ギタリスト兼ソングライターとしてバンドを牽引。6月10日にレコーディングからミキシングまでのエンジニアリングを担当した15thアルバム『惡』をリリースした。
[Recent Work]
SOLOMON MICS LoFreq
オープン・プライス(市場予想価格:22,800円前後)
私がお薦めしたいのは、双指向性ダイナミック・マイクのLoFreq。いわゆるサブキック的な用途で使うことを想定したマイクで、6.5インチ径ドライバーを搭載しています。MUCCの最新作『惡』のレコーディングでも、実際にキックで使いました。現代的な低域/ローエンドをよくキャプチャーしてくれるマイクで、今まで以上に生音のキックで低域をフォローできたのです。こういった製品は、今までありそうでなかったように思います。キックにはもちろん、ベースやギターなどさまざまな用途で使えるポテンシャルを秘めたマイクです。
石毛輝(the telephones/Yap!!!)
[Profile]ディスコ・パンクバンドthe telephonesとエレクトロニック・バンドYap!!!のフロントマン/コンポーザー。the telephonesは今年結成15周年で、ツアー、リリースを行う。Yap!!!はシングル12カ月連続リリース中。
[Recent Work]
SSL Six
オープン・プライス(市場予想価格:164,750円前後)
僕は録音時にソフト音源だけでなくギター、ベース、アナログ/デジタル・シンセやドラム・マシンなどのハードウェアも使うのですが、ミックス・ダウンはだいたいコンピューター内で完結させてきました。ただ、今まで自分の作品を録ったスタジオにはSSLやNEVEのアナログ卓がありましたし、アナログの音の良さを知っているので、アウトボードをそろえたいと思っています。Sixはこうしたアナログ機材初心者の基準になり得ると思うので、これを元に足りないアウトボードをそろえていきたいです。
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NAOTO(ORANGE RANGE)
[Profile]ORANGE RANGEのギタリスト。イアン・ブラウンへの楽曲提供などコンポーザー/プロデューサーとしても活動し、リー“スクラッチ”ペリー、アキル(ジュラシック5)、ホレス・アンディらと共演。国内アーティストのプロデュースや楽曲提供も行う。
[Recent Work]
AKG C414 XL II
オープン・プライス(市場予想価格:110,000円前後)
汎用性が高く、楽器から歌までなんでも録ることができるので、ビギナーからプロまで持っていて損は無いと思います。普段、自宅で本チャンのボーカル・レコーディングをしているのですが、ファースト・チョイスのNEUMANN M149でしっくり来なかった場合はC414 XL IIで録っています。M149よりもダイナミクス、レンジ感は小さくなりますが、ラップや勢いのある歌に使うと、自然とまとまってくれます。アコギ録音の際、無指向で使っても良い結果が得られますし、マイク・ポジション次第では、エア感と輪郭を同時に収めることもできますね。
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大石昌良
[Profile]シンガー・ソングライター/音楽クリエイター。2001年にSound Scheduleのボーカル/ギタリストとしてメジャー・デビュー。現在はソロ活動や、“オーイシマサヨシ”名義でアニソン・シンガーとしての活動も行うほか、アニメ作品やアーティストへの楽曲提供を多数手掛ける。
[Recent Work]
BEHRINGER Poly D
オープン・プライス(市場予想価格:84,800円前後)
これまでの音楽制作環境はソフトウェア音源に頼りっぱなしだったので、ハードウェア・シンセも欲しいなと思っていたところ、とんでもなくコスト・パフォーマンスに優れた製品が出たということでずっと目をつけていました。周りのクリエイターの評価も高く、ぜひ手に入れたい機材です。ソフト音源では獲得できないような“音の肉厚感”と、直接ツマミをいじることができる“インスピレーション”を期待しています。僕のようにハードウェアのシンセを所有していないクリエイターでも1台欲しくなるような代物ですね。
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