BLACKMAGIC DESIGN Atem Mini / Atem Mini Pro / Blackmagic Pocket Cinema Camera 〜Rock oN Monthly Recommend vol.23

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 注目の製品をピックアップし、Rock oNのショップ・スタッフとその製品を扱うメーカーや輸入代理店が語り合う本連載。今回は、オーストラリアを拠点として映像機器/ソフトウェアを開発しているBLACKMAGIC DESIGNのプロダクトを紹介する。多くのアーティストがライブ・ストリーミングによるパフォーマンスを行い、今や音楽家にとって映像機器の技術も必要な時代になった。しかし、音響機器同様に、映像分野のプロダクトは多種多様。配信のために必要な機器はさまざまあるが、ワンストップでの作業を実現するのがAtem Mini/Atem Mini ProとBlackmagic Pocket Cinema Cameraの組み合わせだ。ブラックマジックデザインの石井陽之氏、メディア・インテグレーションの松本章吾氏の対談を通して、その魅力に迫る。

 

●ライブ配信の需要が高まったことによる影響は感じられますか?

MI松本 新型コロナ・ウィルスの影響が出る前もブロードキャスト向け製品の展示を行っていましたが、そのころは展示自体に興味を持たれる方や、カメラを求めて初めてショップに問い合わせされる方などが主でした。緊急事態宣言後くらいからはレコーディング・スタジオやライブ・ハウスなどからも“配信がしたい”という相談が増えましたね。そういう初めて配信をされる方にはBLACKMAGIC DESIGNの製品はお薦めしやすいんです。お客様のニーズに合う機材を他社製品でそろえるとなるとかなりのコストがかかるところが、BLACKMAGIC DESIGNであればコストをグッと下げることができますからね。
石井 BLACKMAGIC DESIGNの特徴の一つが価格面です。コンシューマー・クオリティの製品を安く売るのではなく、ハイエンドな製品を手に入れやすい価格で提供しています。高い機器を集める必要無く、素晴らしい制作環境を整えられるようにすることが目的です。

 

●今回ピックアップした製品はカメラとスイッチャーです。まずは、配信におけるスイッチャーの役割を教えていただけますか?

石井 複数の映像信号を入力し、それらを切り替えて出力する機器です。音楽のミキサーのようなものですね。例えば音楽のライブ配信であれば、バンド・メンバーそれぞれを抜くカメラを切り替えるとか、引きと寄りの画を用意することなどが可能です。Atem MiniとAtem Mini ProはHDMIで4chの入力が可能で、映像の切り替え時のエフェクトを設定したり、ピクチャー・イン・ピクチャーと呼ばれる映像の合成、テロップの挿入、グリーン・バック合成などにも対応します。

 

Atem Mini(35,980円)

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HDMI×4chを入力できるスイッチャー。映像をリアルタイムに切り替えて配信を行うことができる。コンピューターとはUSB-Cで接続可能。コンピューターにはWebカメラと認識されるので、さまざまなストリーミング・プラットフォームから簡単に配信が可能だ。映像切り替え時のエフェクトや映像同士の合成などはもちろん、付属ソフトのAtem Software Controlを使えばEQやコンプなどのエフェクトを使ってオーディオ・ミキシングもできる。外部音声入力としてステレオ・ミニ×2系統も用意

Atem Mini Pro(67,980円) 

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Atem Miniと同様の機能に加え、配信先に合わせてデータを圧縮/変換するエンコード機能も搭載。外部エンコーダーを経由することなく、イーサーネット端子から直接ライブ配信が可能だ。また、SSDなどの記録ディスクに配信データを保存することもできる

 

●Atem Mini Proでは、ライブ配信に合わせて映像+音データの変換/圧縮をするエンコーダー機能も内蔵しているそうですね

石井 通常のスイッチャーはハードウェアまたはソフトウェアのエンコーダーが必要ですが、Atem Mini Proはイーサーネット接続でそのまま配信ができ、配信データはUSB接続したSSDなどへ収録できます。これ1台で多くのことが可能なので、さまざまな機器を使うよりも安定性が高いと言えるでしょう。Atem MiniもコンピューターにはWebカメラとして認識されるので、簡単に配信が可能です。
MI松本 配信に詳しくない方の中には“スマートフォンだけでできるでしょ?”と言う人もいます。でも音楽を配信する上では、スマートフォンのマイクで音声を拾うのではなく、ラインで出力したいという要望は多いです。それを叶えるためにはスイッチャーやエンコーダーが必要になる。それらが一つになって出てきたのがAtem Mini Proです。今のニーズにとてもマッチした製品だと感じます。

 

●実際に音声入力を行う際はどのようなルーティングとなりますか?

石井 HDMI×4chからの音声入力のほか、ステレオ・ミニのマイク・インが2系統あり、オーディオI/O機能も備えています。とはいえ外部入力が2chですので、バンド演奏などであれば各楽器やボーカルを別途ミキサーでまとめ、その出力をステレオ・ミニに変換してAtem Miniへ入力してもらうなどの必要がありますね。
MI松本 音楽系の人であればオーディオI/Oを持っている方も多いですし、映像信号はAtem Miniで、音声信号はオーディオI/Oでまとめ、最終的に外部エンコーダー内でミックスする、というやり方もあるでしょう。手持ちのオーディオI/Oの方がコントロールもマイクプリの音質も慣れていると思いますし、セッティングはスムーズになるかもしれません。

 

●Atem Mini/Atem Mini Proにはコントロール・ソフトウェア、Atem Software Controlが付属していますが、どういったことが行えるのでしょうか?

石井 Atem MiniとAtem Mini Proはほとんどの機能を本体上のボタンで操作できますが、一部機能はAtem Software Controlから行います。その一つが、BLACKMAGIC DESIGNが買収したFAIRLIGHTのオーディオ・ミキサー機能です。4chのカメラ音声と2chのステレオ・ミニに対して、6バンドのパラメトリックEQやコンプレッサー、リミッター、エキスパンダー、ノイズ・ゲートといったエフェクトを使用できます。また、カメラにBlackmagic Pocket Cinema Cameraを使っている場合は、HDMI経由でカメラのリモート操作が可能です。ホワイト・バランスやISO、カラー・コレクション、対応したレンズであればズームやフォーカスなどの操作ができます。ワンマン・オペレートでは重宝するでしょう。カメラ・コントロールは放送業界では普通にあるものですが、大規模な機材を使い、専用のケーブルを用意するなどセッティングも大変です。HDMIケーブル1本でコントロールが可能になるのは魅力だと思います。

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Atem Software Controlに内蔵されたオーディオ・ミキサー機能。同社が買収したFAIRLIGHTの技術が使われている。HDMI×4ch+ステレオ・ミニ×2chに対して、6バンドEQやコンプ、リミッター、エキスパンダー、ノイズ・ゲートを使用可能

 

●そのBlackmagic Pocket Cinema Cameraはどのようなカメラなのですか?

石井 プロ向けの動画撮影カメラの中では、非常に小型で高機能なモデルです。プロ仕様と言える理由の一つはデータの記録コーデック。Blackmagic Pocket Cinema CameraはBlackmagic RAWというコーデックで保存されます。撮影した動画を圧縮して記録するカメラもありますが、圧縮されたデータはカラーを調整する際にノイズが出てしまうという場合もあります。しかし、今までのRAWデータは高解像度/高フレームレートを保ってエディットできますが、情報量が多いためファイル・サイズも大きく、処理負荷も高くなるために扱いが難しいです。オリジナルのコーデックであるBlackmagic RAWは今までのRAWと同程度のクオリティながらファイル・サイズが小さくなり、ラップトップなどでもある程度編集できるようになっています。

 

Blackmagic Pocket Cinema Camera(6Kモデル:226,800円、4Kモデル:147,800円/レンズは別途用意する必要あり)

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写真左が6Kモデル、同右が4Kモデル。6KモデルはEFマウント、4Kモデルはマイクロフォーサーズをレンズ規格として採用する。A tem Mini/Atem Mini ProとはHDMIで接続可能。Atem Softw are Controlを使えば、カメラ設定のリモート操作ができる。本体には48Vファンタム電源対応のミニXLR端子も装備し、マイクを入力することも可能だ

 

●4Kモデルと6Kモデルがありますが、Rock oN Companyではお客様に対してどんな提案を行いますか?

MI松本 4Kモデルと6Kモデルではセンサー・サイズが違います。マイクのダイアフラムのようなものですね。センサー・サイズが大きいと背景がボケやすいため、そういった画を撮りたいのかどうかで提案が変わります。また、6Kで撮れば後から画の一部を抜き出してクロップすることも行いやすいです。レンズの規格も4Kモデルがマイクロフォーサーズ、6KモデルはEFマウントと違っています。マイクロフォーサーズの方が安価なレンズが多いため、コスト面では4Kモデルがお薦めしやすくなっていますね。

 

●Blackmagic Pocket Cinema Cameraにはポストプロダクション・ソフト、DaVinci Resolveのフル・バージョンが付属しているのも魅力ですね。

石井 記録した映像の編集を行うソフトです。映像のカラーを変えたり、合成するなどの編集はもちろん、3D合成機能や音声編集機能もしっかりと備えています。FAIRLIGHTのDAW機能が備わっており、搭載プラグインによるエディットが可能です。VSTやAUプラグインにも対応しているので、WAVESやIZOTOPEなどのプラグインを使ったミックスもできます。また、Auro 3DやDolby Atmosにも対応し、マルチチャンネルのMAも行えるんです。

 

●充実した機能群で、音楽ライブの配信や収録をしたことがない方でも安心してスタートできますね。松本さんは、BLACKMAGIC DESIGNの製品に期待したいポイントなどはありますか?

MI松本 やはり音楽を高音質で配信する上では、XLRやフォーンで音声入力できるスイッチャーがあると便利ですね。また、Atem Miniが出てきたことでライブ配信の入門もしやすくなったと思いますが、初心者の方にはまだまだハードルが高く感じられるようです。スマートフォンに対応した機器など、よりコンシューマー目線に立ったプロダクトがあれば、音楽フィールドの方々にもご提案しやすいラインナップになると思いますね。

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ブラックマジックデザインの石井陽之氏(写真左)、メディア・インテグレーションの松本章吾氏(同右)

 

■製品問合せ

www.blackmagicdesign.com

 

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Rock oN Shibuya(営業時間12:00〜19:00)
☎︎03-3477-1756

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