下北沢南口商店街に突如として現れる、ビビッド・カラーの看板が目印の下北沢LIVE HAUS。緊急事態宣言によるオープン延期などの困難を乗り越え、2020年8月1日に誕生した。ライブ・ハウス激戦区の下北沢の中でも、特に音響面が強みだというLIVE HAUSのこだわりについて、店長のスガナミ ユウ、PAエンジニアの堀田昌太郎に伺っていこう。
まずは設計のコンセプトについて、スガナミに聞いた。
「LIVE HAUSは、下北沢THREEというライブ・ハウスの店長だった自分と、渋谷のOrgan Barというクラブの店長を務めていた(宮川)大仏君と共同で立ち上げたスペースです。それもあって、ライブ・ハウスとクラブ、その両面を持った場所を作りたかったんですよ。現在、昼間はライブ・ハウスとして、深夜はDJを中心としたクラブとして営業をしています」
LIVE HAUSの音響設計は、下北沢THREEでスガナミと共に働いていた堀田に一任された。堀田に聞く。
「機材選定のポイントは2つあって、1つは音のキャラクターが異なるライブ・ハウスとクラブの営業をシステム面から両立するために、レンジの広さが重要だということ。もう1つは、アーティストが頭の中でイメージしている音がそのまま表現できるような環境にするということです」
堀田がメイン・スピーカーに選んだのは、フルレンジ2ウェイのTURBOSOUND TBV123だ。
「この規模だと、ポイント・ソースのスピーカーを並べるケースが多いですが、スピーカーの境目の位相干渉がどうしても起きてしまう。それでライン・ソースのTBV123を試してみたところ、解消できたんです。スピーカーの境目をほとんど感じることなく、ナチュラルに一個のアレイとして聴こえました。レンジの広さや解像度も申し分なく、コスト・パフォーマンスの良さも決め手の一つですね」
さらに堀田は、Lakeプロセッサーを搭載したパワー・アンプのLAB.GRUPPEN PLM5K44について続ける。
「この規模でLakeを導入しているスペースはなかなか少ないと思います。EQがとにかく優秀で、コントロール&モニタリング・ソフトウェアのLake Controllerは卓よりも扱いやすい。パワーも抜群で安心感のあるアンプです」
堀田のこだわりが結実したナチュラルかつ迫力のある音響について、スガナミに聞いた。
「ありがたいことに、演者側からもお客様側からも“音が良い”と言っていただくことが多いんです。コロナでオープンが延期した際、配信番組を自分たちで作ったのですが、そのときに演者の方々から音響に関するアドバイスをたくさんいただけて、知識が付いたことも大きいと思っています」
最後に、スガナミは今後の展望について語った。
「もうすぐオープンから4年がたちますが、これまで以上にさまざまな人がチャレンジできる場所にしていきたいです。どんな音楽にも対応できるようなシステムを構築してくれた音響チームには、あらためて感謝しかないですね」
EQUIPMENT LIST
- MAIN SPEAKER:TURBOSOUND TBV123、TBV118L
- MAIN CONSOLE:YAMAHA QL5
- POWER AMP:LAB.GRUPPEN PLM5K44
- OTHER:PIONEER DJ DJM-900NXS2、DJM-A9(以上、DJミキサー)、CDJ-2000NXS2(DJプレーヤー)、TECHNICS SL-1200MK7(ターンテーブル)、他
ライブ・スペース情報
〒155-0031 東京都世田谷区北沢2丁目14-2 JOW3ビル地下1階