UNIVERSAL AUDIO Apolloシリーズは、多彩なラインナップを取りそろえるオーディオ・インターフェース。数々の名機をエミュレートしたUADプラグインの提供とUNISON機能、システムの拡張性もあり、全世界のクリエイターやエンジニアに愛用されている。彼らは、数多の製品の中からなぜApolloを選ぶのか。今回はシンガー・ソングライター/プロデューサー/DJのMaika Loubté(マイカ・ルブテ)に、Apollo Twin MKⅡの活用法や魅力を尋ねた。
Photo : Hiroki Obara
Apollo Twin MK2
プライベート・スタジオにある最大入出力10イン/6アウトのApollo Twin MKⅡ。4つのDSPを備えるQuadモデルを使用している。「別の場所で作業をすることもあるので、持ち運びができるサイズ感はとても便利です。Apolloとヘッドフォンさえあれば、スタジオの外でもある程度環境を保って制作ができます」とマイカ・ルブテ。
AKG BX 20 Spring Reverb
Maika Loubté 以前はVALHALLA DSP VintageVerbをメインのリバーブとして多用していましたが、AKG BX 20 Spring Reverbの方が空間の情報量が多いのに扱いやすくてよく使っています。ボーカルなどの曲のメインとなる音に薄くかけることが多いです。
自分が作っている音をきちんと把握できるようになった
マイカ・ルブテがApollo Twin MKⅡを使い始めたのは2019年ごろだという。
「当時他社製品を使って2ndアルバム『Closer』のミックスをしていたのですが、思ったような音にならなくて。そろそろオーディオ・インターフェースをグレードアップしないとだめかな……と思って導入しました。コンパクトなものが良かったのと、UADプラグインを使えることが購入の決め手です。当時はアナログ・シミュレーターがすごく進化していたときで、周りの人からもUADプラグインが良いという話を聞いていたのもあり、購入に踏み切りました」
録音にもミックスにもApolloを使用するというマイカ・ルブテ。特にミックスの際に音質の良さを実感するという。
「他社のオーディオ・インターフェースを使って作業していたときは、自分がイメージしている音とモニターしている音にギャップがあったんです。Apolloを購入してから、自分が作っている音をきちんと把握できるようになりました」
ボーカルやシンセの録音にもApolloを使うとのことだが、録り音へどのような印象を持っているのだろうか?
「ボーカルは、UNISON機能を使ってNeve 1073 Preampをかけ録りしています。以前はアナログ回路を搭載したカスタム・メイドのマイクプリを使っていたのですが、調子が悪くなってしまったんです。でも、Apolloを使うことでその音に近づけることができているので、やっぱり購入して良かったなと思っています。また、私は古いシンセの実機をいろいろ使うのですが、Apolloはロー感を捉えてくれて温かみもきちんと残るので、とても重宝しています」
操作性について尋ねると、モニターの切り替えがスピーディにできる点が一番気に入っているポイントだという。
「数種類のスピーカーやヘッドフォンなどを切り替えて聴くのは、最終の仕上げの際に重要だと思います。この切り替えがスイッチ一つでパパッとできるのが良いですね」
Apolloを通すと良い音で音楽と向き合える
UADプラグインは、Neve 1073 Preamp以外にAKG BX 20 Spring Reverbをよく使うそうだ。
「AKG BX 20 Spring ReverbはVALHALLA DSP VintageVerbの1970'sモードに近い方向性のリバーブなのですが、もっと空間の情報量が多い感じがしていて、奥行きがしっかり出るのに質感がしつこくなくてちょうどいいんです。また、いかにも“ビンテージのスプリング・リバーブ”という音になるわけではなく、新しい雰囲気のサウンドにも合うのでとても重宝しています」
最後にApolloの導入を検討している方に向けて、お薦めできるポイントを語ってもらった。
「操作性や音質など、総合的にお薦めできると思います。すごくバランスの良いオーディオ・インターフェースですね。音にもっとこだわりたくなってきたタイミングで導入するのがお勧め。Apolloを通していろいろなアーティストの曲を聴くと、“こんなに良いミックスだったのね!”とか、“こんなに低域が太かったのね!”ということに気づいたりするんです。“良い音”で音楽と向き合うことは大切なので、“良い音”の基準としてApolloを試してみるといいと思います」
Maika Loubté
【Profile】シンガー・ソングライター/プロデューサー/DJ。2016年にソロ名義で活動開始。2020年10月リリースの「Show Me How」がMAZDA MX-30のテレビCMのコラボ曲として大々的にフィーチャーされ、自身もCMに出演。昨年、最新アルバム『Lucid Dreaming』をリリースした。
Recent work
『Hana炎』
LISACHRIS&Maika Loubté
(WATER RECORDS)