「JBL PROFESSIONAL Eon One Compact」製品レビュー:4chミキサーと8インチ低域ドライバー搭載のコンパクトPAシステム

JBL PROFESSIONALEon One Compact
 Eon One Compactは、片手でも楽に持ち運びできるわずか8kgのポータブルなオールインワンPAスピーカー・システム。内蔵バッテリーでの駆動も可能となっています。本体には4chミキサーを搭載し、Bluetoothでのリモート・コントロールや音楽再生にも対応。さらにDBXやLEXICONのプロフェッショナル・クオリティのエフェクトを内蔵しています。

バッテリー搭載で最大12時間駆動
フラットでクセの無い豊かなサウンド

 8インチ・ウーファーを備えたEon One Compactのサウンドは、出力音圧レベル112dBと十分に迫力があり、37.5Hzという超低音まで再生できます。バッテリー持続時間は最大12時間で、簡単に交換が可能。また拡張性も高く、背面のPASS THRU(スルー・アウト)から別のEon One Compactに接続でき、専用アプリを使って最大4台までコントロールができます。この小さなボディにほぼすべての機能を詰め込んだ、完璧なポータビリティを持つ製品ですね。

 第一印象はとにかく軽いということ。片手で楽々と持ち上げられました。バッテリーを搭載しているので、箱から取り出して電源をオンにすればすぐに使い始められます。ボディはスタンダードな形で、縦置きはもちろん、横においてモニター・スピーカーのように角度を付けた設置も可能です。このサイズであれば自転車に乗せて運搬もできますね。別売りでバックパック型ケースが用意されているのもうれしいです。

 入力部は、ch1とch2にXLR/フォーン・コンボ端子が用意されています。ch1はファンタム電源供給対応で、コンデンサー・マイクやDIを接続することが可能。ch3はHi-Z入力になっているので、エレキギターやベースなどを直接つないでもOKです。ch4はAUXインになっており、ステレオ・ミニでAPPLE iPodなどのソースを接続できるほか、Bluetoothペアリングを使ったワイアレスでの音楽再生も可能です。

 では、まずBluetoothペアリングしてサウンドを聴いてみましょう。低域から高域までフラットでクセのない豊かなサウンドで、迫力があって音圧も十分です。8インチ・ウーファーでの低域の量感も感じられました。ちょっとしたパーティ

DBX製チャンネル/マスターEQを装備
空間系エフェクトも充実

 次にアコースティック・ギターをつないで演奏してみます。ファンタム電源が使えるので、DI型のプリアンプを通してみました。Eon One Compact本体のノブ類だけの操作でも音は出せるのですが、ここではAPPLE iPadで専用アプリを使ったリモート・コントロール機能を使い、操作性も含めてチェックしてみます。

▲iOS/Android対応のアプリ、JBL Compact Connect。Bluetoothで接続することにより、Eon One Compactをリモート操作できる。1つのデバイスから最大4台までのEon One Compactをコントロール可能。プリセットやスナップショット機能を使って素早いセットアップも行える ▲iOS/Android対応のアプリ、JBL Compact Connect。Bluetoothで接続することにより、Eon One Compactをリモート操作できる。1つのデバイスから最大4台までのEon One Compactをコントロール可能。プリセットやスナップショット機能を使って素早いセットアップも行える

 専用アプリのJBL Compact ConnectはiOS/Androidデバイスに対応しています。操作は簡単で、アプリ画面の“LINK”を押せばBluetoothペアリングが完了です。音楽を再生する場合のペアリングとは別に、アプリ側からペアリングをする必要があるので、ここは少し注意が必要ですね。アプリ側では各チャンネルのゲインやマイク/ラインの切り替え、ファンタム電源のオン/オフ、リバーブ/ディレイ/コーラスのエフェクト設定に加え、スナップショットの保存もできます。ミキサー設定をそのまま保存できるので、もう一度同じ設定で使いたい場合は、スナップショットを呼び出すだけで簡単に演奏を始められますね。

 各チャンネルにEQが備わっており、本体上ではTREBLEとBASSの2バンドのみ調整可能ですが、アプリ側では6バンドのパラメトリックEQとして使えます。これは非常にうれしいポイントですね。それに加え、マスター・アウトにも8バンド・パラメトリックEQを搭載。しかもEQはすべてDBX製です。

 では、iPadを操作しながらアコギの音をチェックしていきます。出音は非常にナチュラルなサウンド。余計な低域、高域のクセもなく、ギターそのままの音が再生されていてとても好印象です。音量を上げていくと6kHzあたりがフィードバックしてきましたが、内蔵のパラメトリックEQを使ってピンポイントでカットできるのが助かります。アプリ側ではマスター・ボリュームの操作ができないので、最終的な音量調整は本体側のマスター・ボリューム・ノブで調整してください。

 最後に、声を使ってリバーブなどのエフェクトをチェックしてみます。アプリの方が詳細にコントロールできるので、iPadで操作していきました。空間系エフェクトはch1〜3のセンド&リターンで使用でき、リバーブとディレイ、コーラスのかかり具合をチャンネルごとに調整できます。リバーブはSMALL/MEDIUM/LARGEから選択可能で、即戦力となる十分な音質です。またディレイはディレイ・タイムとレベルのノブだけがあり、フィードバック量の調整はできないのですが、非常に使いやすく良い印象でした。

 どこにでも簡単に持ち運びできるコンパクトさ、充実した機能を持ち、特に音質には驚かされました。ストリート・ライブや自宅での練習用、またパーティなどでのMCやDJなど、この機動力とサウンドがあれば、さまざまなシーンで重宝するのは間違いないと思います。

▲コントロール部分。写真中央に並ぶボタンは上から、操作モード(CHANNEL MODE/MIX MODE)の切り替え、マイク/ライン入力切り替え、ch1のファンタム電源オン/オフ、ダッキングのオン/オフ、Bluetoothペアリングとなっている。ダッキングは、ch1またはch2に信号が入力された際、ch4のレベルを自動で減衰させる機能だ。写真右上にはマスター・ボリュームがあり、その下の4つのノブはMIX MODE時は各チャンネルのゲインとして、CHANNEL MODE時は選択したチャンネルのゲイン、高域、低域、リバーブの調整ノブとして使用可能 ▲コントロール部分。写真中央に並ぶボタンは上から、操作モード(CHANNEL MODE/MIX MODE)の切り替え、マイク/ライン入力切り替え、ch1のファンタム電源オン/オフ、ダッキングのオン/オフ、Bluetoothペアリングとなっている。ダッキングは、ch1またはch2に信号が入力された際、ch4のレベルを自動で減衰させる機能だ。写真右上にはマスター・ボリュームがあり、その下の4つのノブはMIX MODE時は各チャンネルのゲインとして、CHANNEL MODE時は選択したチャンネルのゲイン、高域、低域、リバーブの調整ノブとして使用可能
▲背面にある入出力部分。上からマイク/ライン・イン×2系統(XLR/フォーン・コンボ)、Hi-Zイン(フォーン)、AUXイン(ステレオ・ミニ)、スルー・アウト(フォーン)、ヘッドフォン・アウト(ステレオ・ミニ)の端子が並ぶ。その下にあるUSBタイプAはスマートフォンなどを充電できるポートで、1Aと2Aの2つを用意している ▲背面にある入出力部分。上からマイク/ライン・イン×2系統(XLR/フォーン・コンボ)、Hi-Zイン(フォーン)、AUXイン(ステレオ・ミニ)、スルー・アウト(フォーン)、ヘッドフォン・アウト(ステレオ・ミニ)の端子が並ぶ。その下にあるUSBタイプAはスマートフォンなどを充電できるポートで、1Aと2Aの2つを用意している

取り扱い:サウンドハウス
※ヒビノプロオーディオセールスDiv.でもEon One Compact-Y3として取り扱いあり。

サウンド&レコーディング・マガジン 2020年3月号より)

JBL PROFESSIONAL
Eon One Compact
オープン・プライス(市場予想価格:54,800円前後)
▪スピーカー構成:8インチ(低域)+1インチ(高域) ▪指向性:100°×60° ▪感度:112dB SPL ▪周波数特性:37.5Hz〜20kHz ▪外形寸法:255(W)×399(H)×291(D)mm ▪重量:8kg