バッテリー搭載で最大12時間駆動
フラットでクセの無い豊かなサウンド
8インチ・ウーファーを備えたEon One Compactのサウンドは、出力音圧レベル112dBと十分に迫力があり、37.5Hzという超低音まで再生できます。バッテリー持続時間は最大12時間で、簡単に交換が可能。また拡張性も高く、背面のPASS THRU(スルー・アウト)から別のEon One Compactに接続でき、専用アプリを使って最大4台までコントロールができます。この小さなボディにほぼすべての機能を詰め込んだ、完璧なポータビリティを持つ製品ですね。
第一印象はとにかく軽いということ。片手で楽々と持ち上げられました。バッテリーを搭載しているので、箱から取り出して電源をオンにすればすぐに使い始められます。ボディはスタンダードな形で、縦置きはもちろん、横においてモニター・スピーカーのように角度を付けた設置も可能です。このサイズであれば自転車に乗せて運搬もできますね。別売りでバックパック型ケースが用意されているのもうれしいです。
入力部は、ch1とch2にXLR/フォーン・コンボ端子が用意されています。ch1はファンタム電源供給対応で、コンデンサー・マイクやDIを接続することが可能。ch3はHi-Z入力になっているので、エレキギターやベースなどを直接つないでもOKです。ch4はAUXインになっており、ステレオ・ミニでAPPLE iPodなどのソースを接続できるほか、Bluetoothペアリングを使ったワイアレスでの音楽再生も可能です。
では、まずBluetoothペアリングしてサウンドを聴いてみましょう。低域から高域までフラットでクセのない豊かなサウンドで、迫力があって音圧も十分です。8インチ・ウーファーでの低域の量感も感じられました。ちょっとしたパーティ
DBX製チャンネル/マスターEQを装備
空間系エフェクトも充実
次にアコースティック・ギターをつないで演奏してみます。ファンタム電源が使えるので、DI型のプリアンプを通してみました。Eon One Compact本体のノブ類だけの操作でも音は出せるのですが、ここではAPPLE iPadで専用アプリを使ったリモート・コントロール機能を使い、操作性も含めてチェックしてみます。
専用アプリのJBL Compact ConnectはiOS/Androidデバイスに対応しています。操作は簡単で、アプリ画面の“LINK”を押せばBluetoothペアリングが完了です。音楽を再生する場合のペアリングとは別に、アプリ側からペアリングをする必要があるので、ここは少し注意が必要ですね。アプリ側では各チャンネルのゲインやマイク/ラインの切り替え、ファンタム電源のオン/オフ、リバーブ/ディレイ/コーラスのエフェクト設定に加え、スナップショットの保存もできます。ミキサー設定をそのまま保存できるので、もう一度同じ設定で使いたい場合は、スナップショットを呼び出すだけで簡単に演奏を始められますね。
各チャンネルにEQが備わっており、本体上ではTREBLEとBASSの2バンドのみ調整可能ですが、アプリ側では6バンドのパラメトリックEQとして使えます。これは非常にうれしいポイントですね。それに加え、マスター・アウトにも8バンド・パラメトリックEQを搭載。しかもEQはすべてDBX製です。
では、iPadを操作しながらアコギの音をチェックしていきます。出音は非常にナチュラルなサウンド。余計な低域、高域のクセもなく、ギターそのままの音が再生されていてとても好印象です。音量を上げていくと6kHzあたりがフィードバックしてきましたが、内蔵のパラメトリックEQを使ってピンポイントでカットできるのが助かります。アプリ側ではマスター・ボリュームの操作ができないので、最終的な音量調整は本体側のマスター・ボリューム・ノブで調整してください。
最後に、声を使ってリバーブなどのエフェクトをチェックしてみます。アプリの方が詳細にコントロールできるので、iPadで操作していきました。空間系エフェクトはch1〜3のセンド&リターンで使用でき、リバーブとディレイ、コーラスのかかり具合をチャンネルごとに調整できます。リバーブはSMALL/MEDIUM/LARGEから選択可能で、即戦力となる十分な音質です。またディレイはディレイ・タイムとレベルのノブだけがあり、フィードバック量の調整はできないのですが、非常に使いやすく良い印象でした。
どこにでも簡単に持ち運びできるコンパクトさ、充実した機能を持ち、特に音質には驚かされました。ストリート・ライブや自宅での練習用、またパーティなどでのMCやDJなど、この機動力とサウンドがあれば、さまざまなシーンで重宝するのは間違いないと思います。
取り扱い:サウンドハウス
※ヒビノプロオーディオセールスDiv.でもEon One Compact-Y3として取り扱いあり。
(サウンド&レコーディング・マガジン 2020年3月号より)