USBバス・パワー駆動に対応
パッチ管理ソフトで内蔵DSPを使用
特筆すべきは筐体の小ささ。箱から取り出した瞬間に思わず“小さい!”と口にしてしまいました。重量も90gと驚きの軽さで、まさに手の平サイズ。ZOOMのマルチエフェクターをそのまま小さくしたようなデザインもかわいくて好印象です。
正面から左サイドはヘッドフォン・アウト(ステレオ・ミニ)とボリューム・ダイアル、右サイドにはインプット(フォーン)とAUXイン(ステレオ・ミニ)が装備されています。リア・パネルはUSB端子とDC 5V端子を搭載。USBバス・パワーでの駆動に対応しています。シンプルで分かりやすいですね。正面にはディスプレイやスイッチが見えますが、これらは装飾です。なのでアンプ/エフェクトのエディットは、コンピューター上でGuitar Lab 4.0を介して行います(Mac/Windowsに対応)。
GCE-3をGuitar Lab 4.0と接続してみます。GCE-3をUSBでコンピューターと接続すると、Guitar Lab 4.0と自動で同期されました。続いてインプットにギターを接続。そしてヘッドフォンの音量を調節します。以上、非常に簡単ですね。
Guitar Lab 4.0の画面を詳しく見ていきましょう。EFFECTビューはアンプ/キャビネットやペダル・エフェクトが確認できます。PATCHビューではそれらを使ったパッチ(プリセット)を格納。パッチはEDITORビューで編集可能です。エフェクト処理はGCE-3内蔵のDSPで行うのですが、DSPの使用状況が画面上部に表示されます。細かな点ですが、チューナーが付いているのは便利だと思いました。
バランスに優れたヘッドフォン・アウト
ギターの細かなニュアンスも収音
それではDAWでレコーディングしていきます。今回は制作したトラックにギターを乗せてテスト。モニタリングはヘッドフォン端子にAKG K240 MKIIをつないで行います。DAWの入出力をGCE-3に設定すると、ギターや用意したトラックが無事再生できました。
まずはトラックを聴いてヘッドフォン・アウトの音質からチェック。周波数帯域のバランスが良い印象です。パッドの中域やキックの低域がしっかり見えて、リバーブの残響と減衰も奇麗に聴こえます。肝心なギターは、高域やピッキングのニュアンスも再生されていますね。
次はアンプ/エフェクトをかけて録音してみます。まずはクリーン・トーンを確認するため、パッチはTwin Basicを選択。モデリング元と思われる実機を使う機会が多いのですが、実機特有の奇麗で温かい音がよく再現されています。ギターのパッチをどんどん試していきましょう。リハーサル・スタジオによく置いてあるチューブ・アンプのモデリング“Phased”は、分厚くサイケデリックなサウンドで、ザクザクした質感が気持ち良いです。メタリックなひずみの“MtlMonster”は、ダンス・ミュージックの素材にも使えそう。特殊なリバーブを駆使して幽玄かつシネマティックな音像に仕上げた“ParticleR”もかっこいいですね。アンビエントやドローン・ミュージックなどと相性が良さそうだと思いました。
さらにベースも見ていきます。“AMPG Set”はスタジオで録音したような、存在感のある正統派な太いサウンド。一方でシンセ・ベースのような面白いサウンドの“Larry Jet”などもあります。個人的には“JacoBass”が気に入りました。名手のフレットレス・ベースをほうふつさせる音で、弾いていて楽しいです。ほかにもスラップやオート・ワウなど、多くのプレイ・スタイルに対応したパッチが用意されていました。
先述の通りGuitar Lab 4.0はGCE-3の内蔵DSPで動いているので、音色の編集やレコーディング時に遅延などは一切無く、ストレスを感じず作業に没頭できました。
というわけで、思わず時間を忘れて遊んでしまいました。このサイズなら気軽にラップトップと一緒に持ち運べるので、アイディアをすぐにDAWに記録できます。AUX端子に音楽プレーヤーをつなぎ、曲を流しながら練習するのも良さそうです。さまざまなシーンで活躍してくれることでしょう。
(サウンド&レコーディング・マガジン 2019年6月号より)