「XSONIC Airstep」製品レビュー:MIDIやHIDメッセージの送信が可能なワイアレス・フット・コントローラー

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 XSONICがあらゆるハードウェア/ソフトウェアに対応するフット・コントローラー、Airstepを発売。メーカーのうたう“スマート・マルチコントローラー”とは一体何なのか? 実際の作業に用いながら、詳しく見ていきましょう。

フット・スイッチのトリガー・アクションは
踏む/放す/長押しの3パターンを採用

 Airstepのトップ・パネルは、5つのフット・スイッチA/B/C/D/Eと各インジケーターのみを搭載するというシンプルな外観。また外形寸法は300(W)×45(H)×70(D)mmで、重量は700gです。

 

 リア・パネルには、5つの内蔵プリセットを切り替えるためのマルチファンクション・ボタンのほか、電源スイッチ、コンピューター/モバイル機器とBluetooth経由でMIDI/HIDメッセージを送信するためのアンテナ、2系統のエクスプレッション・ペダル入力(TRSフォーン)、1系統のMIDI IN、MIDIメッセージの送受信や外部USBデバイスへ電源供給するためのUSB Type-C端子、2系統のフット・スイッチ出力(TRSフォーン)、2系統のMIDI OUTを備えています。

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リア・パネル。左から、内蔵プリセットを切り替えるためのマルチファンクション・ボタン、電源スイッチ、Bluetooth経由でMIDI/HIDメッセージを送信するためのアンテナ、2系統のエクスプレッション・ペダル入力(TRSフォーン)、1系統のMIDI IN、MIDIメッセージの送信や外部デバイスへ電源供給するためのUSB Type-C端子、2系統のフット・スイッチ出力(TRSフォーン)、2系統のMIDI OUTを備えている

 Airstepの動作設定やプリセット編集は、iOS/Android対応の専用アプリをインストールしたスマホやタブレットからBluetooth経由で行えます。

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Airstepの動作設定やプリセット編集を行うための専用アプリ。最下段にはプリセットを最大5つまで登録可能な“AirStep Local Preset”ボタンを備えている

 早速、筆者も自身のスマホに専用アプリをダウンロード。アプリ画面最下部に表示されている“Touch to Connest AIRSTEP”というテキストをクリックすると、自動的にアプリがAirstepを検知して接続してくれます。このアプリには多くのプリセットが用意され、目的に合ったセッティングをすぐに呼び出すことが可能です。まずはAirstepをコンピューターと接続し、DAWコントローラーとして使ってみることにします。接続はBluetooth経由でも可能ですが、今回はUSBケーブルを使ってAirstepとコンピューターをつないでみました。

 

 筆者が便利だなと思った使い方は、ストリングスやブラスに特化したソフト音源によくあるキー・スイッチをAirstepの各フット・スイッチに割り当てること。こうしてしておけば、演奏中にリアルタイムに奏法を切り替えてMIDI入力ができるようになります。

 

 ほかにもHIDメッセージを送信することで、Airstepからコンピューターのキーボード操作をすることが可能です。従って、キーボードから行うDAWの再生/停止などの操作を、フット・スイッチで制御できることになります。宅録では、ギターやピアノなどを自身で演奏しながら録音作業を行うと思いますが、両手がふさがってしまってDAWの操作が不便なときなどにぴったりの使い方だと言えるでしょう。

 

 ちなみに各フット・スイッチは、Bluetooth接続を含むすべての出力端子に最大8つまでのメッセージを同時送信することができます。またフット・スイッチのトリガー・アクションは、踏む/放す/長押しの3パターンが用意されており、アクションごとに異なる出力メッセージを送信可能です。これらを使い分ければ、より複雑なコントロールが行えるでしょう。

 

最大300時間駆動するバッテリーを内蔵
アンプなどのフット・スイッチとしても利用可能

 続いては、筆者がいつも使っているKEMPERのギター・アンプ・シミュレーターをAirstepで制御してみることに。KEMPERとAirstep間の接続はMIDIケーブル経由で行いますが、専用アプリにはKEMPER用のプリセットも用意されているのでとても便利です。実際に各エフェクトのオン/オフや、プリセットの呼び出しなどを5つのフット・スイッチで簡単にコントロールすることができました。使い方によっては、アサインの設定を自由に変えてもよいでしょう。

 

 また、使用頻度の高いプリセットはアプリ最下段にある5つの“AirStep Local Preset”ボタンに登録しておくことが可能です。一度登録してしまえば、次回からはそのボタンを押すだけで瞬時にセッティングが完了します。

 

 しかも、AirstepはTRSフォーン入力を装備したアンプや、ペダル・エフェクターをコントロールするためフット・スイッチとしても利用可能。MIDI入力を持たないアンプのチャンネル切り替えのほか、エフェクトのオン/オフ、シンセやキーボードの拡張フット・ペダルとしても使えます。

 

 ちなみにAirstepは、一般的な9Vの電源アダプターで充電可能なバッテリーを内蔵し、最大300時間の駆動が可能です。ライブにおいてAirstepをアンプのフット・コントローラーとして使用する際、バッテリー駆動だと足周りの配線がすっきりするため重宝します。

 

 さらにAirstepの姉妹機として、Airstep Lite(オープン・プライス:市場予想価格19,800円前後)というモデルもラインナップされています。こちらは物理的な入出力端子を一切備えず、Bluetooth接続のみによってMIDIおよびHIDメッセージを送信できるモデル。主にコンピューターやスマホ/タブレットで使いたい場合は、こちらも検討するとよいでしょう。また、Airstep LiteはAirstepの拡張フット・スイッチとしても使用可能。両者を連携させることで、合計10個のフット・スイッチを同時に使えるようになります。

 

 ここまでざっと駆け足でAirstepの説明をしましたが、いかがでしたでしょうか? とにかくこれが1台あれば、さまざまな音楽機材やソフトを5つのフット・スイッチで簡単に切り替えることができます。デスク周りに散らかったコントローラーたちをAirstepに集約すれば、より快適な作業スペースを構築できるでしょう。とても万能なアイテムなので、筆者の足元にも1台欲しいです!

 

鈴木Daichi秀行
【Profile】幅広い音楽性を生かして活動するサウンド・プロデューサー。家入レオやYUI、miwaらをはじめ、トップ・チャートに輝く楽曲に多く携わる。レーベルStudio Cubic Recordsを運営している。

 

XSONIC Airstep

オープン・プライス

(市場予想価格:27,500円前後)

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SPECIFICATIONS
▪MIDI入力:Bluetooth MIDI、USB HOST(5V電源供給)、USB MIDI、MIDI(5ピン) ▪MIDI出力:Bluetooth MIDI、USB HOST(5V電源供給)、USB MIDI、MIDI(5ピン)×2 ▪HID出力:Bluetooth HID ▪フット・スイッチ・アウト:TRSフォーン×2 ▪Bluetooth通信距離:30m(見通し距離) ▪連続使用:300時間 ▪外形寸法:300(W)×45(H)×70(D)mm ▪重量:700g

REQUIREMENTS
▪iOS:iOS 10以上 ▪Android:Android 4.0以上 ▪Mac:macOS 10.6以上 ▪Windows:Windows 10以上

 

製品情報

 

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