TENDRE × ROSWELL PRO AUDIO Colares 〜Microphones for Creator【第4回】

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あらゆる倍音を気持ちよくとらえるクリアな音質
一つ一つの発音やブレスの再現度の高さも魅力です

北カリフォルニアに拠点を置くROSWELL PRO AUDIO。数々のマイク・データベースを閲覧できるWebサイト=Recording Hacksを主宰するマット・マクグリン氏が創業したマイク・メーカーだ。“現代のワークフローに適したビンテージ・トーン”をコンセプトに、高品質でリーズナブルなコンデンサー・マイクを開発している。そんなROSWELL PRO AUDIOのマイクの魅力について、プロのクリエイターに話を聞くこの連載。今回は、ソロ・プロジェクトTENDRE名義で活動する河原太朗にColaresを1週間ほど試用してもらい、その使用感を詳しく聞いた。

Photo:Chika Suzuki

 

ROSWELL PRO AUDIO Colares

オープン・プライス(市場予想価格:156,000円前後)

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Colares。出力端子はXLRで、48Vファンタム電源で動作する
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同梱のショック・マウントはフロント側が開いたデザイン(写真左)。Colaresとショック・マウントを収納するための専用キャリング・ケースも付属している

SPECIFICATIONS
▪指向性:カーディオイド ▪カプセル:34mmラージ・ダイアフラム ▪周波数特性:20Hz〜16kHz ▪入力感度:35mV/Pa ▪SN比:82dBA ▪インピーダンス:200Ω ▪セルフ・ノイズ:12dBA ▪外形寸法:208(H)×60(φ)mm ▪重量:約850g(マイク本体のみ) ▪付属品:キャリング・ケース、ショック・マウント

 

フラットで全帯域をバランス良く録音できる

 ROSWELL PRO AUDIO Colaresは単一指向性で、周波数特性20Hz〜16kHzのコンデンサー・マイク。TENDRE=河原太朗は「マイクはレコーディングにおいて歌いやすさを左右する存在」とした上で、Colaresの第一印象は「圧迫感を感じずに伸び伸びと歌える」と続けた。

 

 「マイクとの距離は15cmぐらいかそれより近めで、入力レベルを10dBカットするPADスイッチをオンにして使いました。Colaresは、どこかの帯域が際立って聴こえることはなく、全体的にフラットでバランスが良いのが魅力です。音質はとてもクリアで、高域は比較的マイルドな印象。エッジ・ボイスなどで増幅するようなザラついた倍音なども気持ちよくとらえてくれます。僕の声にある、ローミッドの強めな芯や多めの倍音もきちんと収めてくれました。その上、一つ一つの発音やブレス、ウィスパー的な要素の再現度の高さも魅力です。ボーカルは鳴っている瞬間ごとに“印象的に聴こえてくるニュアンス”を自分でしっかり把握できていることが大事で、僕は普段からレコーディング段階で声の細かいニュアンスを録り切ることを意識しています。Colaresはその点においても信用できるなと思いました」

 

 真空管ビンテージ・マイクのTELEFUNKEN Ela M 251にインスパイアされたというColaresだが、増幅回路にはJFETを採用することでメインテナンス面など使い勝手にも考慮した設計になっている。

 

 「元の声のうま味にさらなる深みを加えたような、適度にビンテージライクな音像です。録音したものを聴くと、人間らしい声の温度がひしひしと伝わってきます。パスタで例えると、アルデンテのような感じ。表面は温かく柔らかなニュアンスで、その奥に聴き応えのある音の芯が感じられます。味付けはペペロンチーノのごとく、Colaresのキャラクターを生かした薄味にするのがお勧めです。EQして、うっすらとエフェクトをかける程度が一番良いと思います」

 

 またColaresはTENDREの音楽性や自身の目指すボーカルともマッチする部分があったそうだ。

 

 「僕が書く歌詞は日本語が多いので言葉の響きを重視していて、歌い方やマイクとの距離をその都度変えています。Colaresはささやくような小声で歌ったときにも、言葉のニュアンスがしっかりと伝わってくる。今回は自宅で試しましたが、スタジオ・レコーディングでも採用してみたいです」

 

ノイズを低減させると同時に空気感も収音する

 Colaresで録音した素材を聴いて「自宅での使い勝手の良さも際立っている」と河原は言う。

 

 「宅録をしていると、録りたくない雑音にも当然直面することになります。でもColaresで録ると、欲しい音がすべて録れる上に不要なノイズが低減されているように感じました」

 

 さらに、河原は「カバサという南米のパーカッションの録音にも使用してみた」と続ける。

 

 「民族楽器は鳴っている場所の空気を録音することも大事。カバサは一般的なシェイカーよりもボリュームが小さい楽器ですが、Colaresで録ると楽器の音と空気感がちょうど良いバランスで録れました。ノイズが少ない上に、楽器録音で欲しい空気感も適度に収めてくれるのが優秀です。このときに、ほかのさまざまな楽器でもオールマイティに活躍してくれるんじゃないかという確信が持てました。今度はアコースティック・ギターやガット・ギターなど、少し枯れたサウンドを録音する際にも試してみたいです」

 

 クリアさとウォームさのどちらも併せ持つColaresは、グルーブを重要視する音楽で活躍が期待できるという。

 

 「ネオソウルなど重心が下がったバンド・サウンドには、ボーカル楽器問わずそれぞれに絶妙においしいポイントが潜んでいると思うんです。Colaresはそういったポイントをしっかりと収音して、メロウなグルーブを全体的に生み出すのは得意そうだと思いました。そういった音楽を制作する方には特にお薦めしたいマイクです」

 

TENDRE

河原太朗のソロ・プロジェクト。2017年にデビューEP『Red Focus』を発表し、2020年9月には2ndアルバム『LIFE LESS LONELY』をリリース。豪スポーツ・サンダル・ブランドTevaとコラボ、国内主要フェス出演、Chara+YUKI「楽しい蹴伸び」のサウンド・プロデュースなどでも活躍する

Life Less Lonely

Life Less Lonely

  • TENDRE
  • R&B/ソウル
  • ¥1833

 

ROSWELL PRO AUDIO Colares 製品情報

otaritec.co.jp

 

ROSWELL PRO AUDIO Colares

オープン・プライス

(市場予想価格:156,000円前後)

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