MACKIE. DLZ Creator XS レビュー:初心者〜上級者まで幅広く対応したコンパクトな配信用デジタル・ミキサー

MACKIE. DLZ Creator XS レビュー:初心者〜上級者まで幅広く対応したコンパクトな配信用デジタル・ミキサー

 MACKIE.から配信向けの素晴らしいアイテム、DLZ Creator XSが発表されました(6月25日発売予定)。一台あれば、初心者でも簡単に音声配信が行えるデジタル・ミキサーです。以前、上位機種であるDLZ Creatorをレビューさせていただいたのですが、本モデルも全く引けを取りません。コンパクトな見た目からは想像が付かないほど機能満載なDLZ Creator XS。早速、チェックしていきましょう。

上位機種と同じONYX 80マイクプリを搭載 ユーザーの熟練度に合わせた3モードを選択可能

 まず驚いたのは、本体のコンパクトさとシックなデザインです。260(W)×83(H)×204(D)mmのボディに7インチの大きなフルカラー・タッチ・ディスプレイが付いて、重量はわずか1.2kg。机の上のちょっとしたスペースに置くことも可能です。上位機種のDLZ Creatorが2.2kgですから、半分ほどの重さになっています。各ノブやボタンを彩るカラフルなLEDがポップに感じられますが、全体の黒を基調としたマットな質感は頼もしい印象を与えてくれます。

 トップ・パネルを細かく見ていきましょう。ディスプレイ右横の4つのクイック・コントロール・ノブは、音量をはじめとしたさまざまなパラメーターを直感的に調整できます。トップ・パネル下段には、左端にホーム・ボタン、録音ボタン、AUTOMIX(オート・ミックス)ボタンが縦に並び、中央には5つの入力チャンネル・ノブとそれぞれに対応した黄/赤に点灯するソロ/ミュート・ボタンを配置。右端に効果音やエコーなど好きな機能や色をアサインできるサンプル・パッドを備えています。上位機種に搭載されていたフェーダーはノブに変わりましたが、変わらずスムーズな操作感です。

 入力は上位機種と同じくONYX 80マイク・プリアンプを搭載したXLR/TRSフォーン・コンボ入力×2chが備わっています。そのほか、TRSフォーンのライン入力L/Rとステレオ・ミニのライン入力に加え、USB-C端子やBluetoothでのオーディオ入力にも対応しています。ヘッドホン・アウトは2つあるので、2人でのラジオ収録の際などにうれしい仕様です。

リア・パネル。左から、microSDカード・スロット、USBドライブを接続するUSB-A端子、イーサーネット端子、ch5/6入力(ステレオ・ミニ)と、オーディオ・インターフェースとしてコンピューターなどと音声のやり取りをするUSB-C端子、スピーカー出力L/R(TRSフォーン)、ヘッドホン出力(ステレオ・フォーン)×2、ch3/4入力(TRSフォーン)、ch1〜2入力(XLR/TRSフォーン・コンボ)が並ぶ

リア・パネル。左から、microSDカード・スロット、USBドライブを接続するUSB-A端子、イーサーネット端子、ch5/6入力(ステレオ・ミニ)と、オーディオ・インターフェースとしてコンピューターなどと音声のやり取りをするUSB-C端子、スピーカー出力L/R(TRSフォーン)、ヘッドホン出力(ステレオ・フォーン)×2、ch3/4入力(TRSフォーン)、ch1〜2入力(XLR/TRSフォーン・コンボ)が並ぶ

 DLZシリーズで特徴的なMix Agent機能はDLZ Creator XSでも健在。この機能は、Easy、Enhanced、Proの3モードを選択し、ユーザーの熟練度に合わせてシステムを最適化してくれるもの。Easyモードでは、音響の知識がなくてもマイクのゲイン設定を簡単に行えます。内蔵のセットアップ・アシスタンスを利用すると段階を追ったチュートリアルが開始され、画面に表示されたテキストやイラストの通りにヘッドホン/マイクなどを順番に接続し、レベル設定を行うことで誰でも簡単にセットアップが可能です。

Easyモードのマイク設定チュートリアルの様子

Easyモードのマイク設定チュートリアルの様子

 Enhancedモードではディエッサーやノイズ・ゲート、コンプレッサーに加えEQやエフェクトなどが設定可能になり、Proモードでは各機能の数値をより具体的に調整することができるようになります。

Enhancedモードのチャンネル・コントロール画面

Enhancedモードのチャンネル・コントロール画面

3バンドEQとハイパス・フィルターを備えたProモードで使用できるチャンネルEQ。プリセットには同社のダイナミック・マイクEM-99B向けの設定などが用意されており、好みの設定を保存することも可能だ

3バンドEQとハイパス・フィルターを備えたProモードで使用できるチャンネルEQ。プリセットには同社のダイナミック・マイクEM-99B向けの設定などが用意されており、好みの設定を保存することも可能だ

 初心者の方でもストレスや障壁がなく操作でき、経験を積んで理解が深まれば、より詳細にコントロールできる次のモードへと、段階的にステップ・アップできるのが良いですね。

2本のマイク音量を自動でそろえるAUTOMIX あらゆる機能をアサインできる6つのサンプル・パッド

 ポッドキャストの録音時などに便利なのが、2本のマイク入力音量を自動でそろえてくれるAutoMix機能。優先するチャンネルの設定もできるので、ハキハキした方とおとなしい方がしゃべる際などに、ノブをその都度動かしたり、細かくコンプレッサーを設定するといったストレスがなくなります。

 それでは実際に使用してチェックしていきます。まずうれしかったのが、付属のバレル電源コネクターに本体と固定できるリングが付いていること。しっかり締めておけば使用中に電源が抜けることがないため頼もしいですね。

本体と固定できるリングを備えたバレル電源コネクター

本体と固定できるリングを備えたバレル電源コネクター

 自身のマイク音声を本機で収録してそのままサンプル・パッドで流せるのも楽しいです。サンプル・パッドはこのほかにも効果音やエフェクトのオン/オフ、指定した複数チャンネルのミュート機能、しゃべっているときにBGMの音量が15dB下がるオート・ダッキング機能など、さまざまな機能をアサインすることが可能です。さらに、コンピューターとUSB-C接続すればオーディオ・インターフェースとして使用できるので、YouTubeやDiscordにTwitchなどといった主要配信サービスに使用する際も便利でしょう。

 上位機種との主な違いは、本体の大きさとフェーダーの有無、XLR/TRSフォーン・コンボ入力とヘッドホン・アウトの数が4chから2chへ変更されたことくらいで、音質や機能面は上位機種と遜色ないように感じました。1〜2人でのトーク配信/ラジオ収録をしてみたい方にはこのDLZ Creator XSがうってつけです。興味や情熱とちょっとしたスペースさえあれば、誰でも素晴らしい音質で手軽に音声コンテンツを作ることができるようになると思いますよ。

 

いけだゆうた
【Profile】5人組オルタナティブ・ファンクバンドBREIMENのキーボード&コーラス担当。楽器のみならずラジオ/動画/ジングル/SE/BGMや録音編集などを自身で手掛けるマルチプレイヤー。

 

 

 

MACKIE. DLZ Creator XS

オープン・プライス

(市場予想価格:75,460円前後)

MACKIE. DLZ Creator XS

SPECIFICATIONS
▪ビット/サンプリング・レート:24ビット/48kHz ▪入力:モノラル×2ch、ステレオ×2ch ▪電源仕様:18V、1.5A ▪外形寸法:260(W)×83(H)×204(D)mm ▪重量:1.2kg ▪内蔵USBオーディオ・インターフェース:Mac/Windowsに対応(Windowsは要ドライバー)

製品情報

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