MACKIE. CR2-X Cube レビュー:USB/アナログ/Bluetooth音声入力に対応の小型パワード・スピーカー

MACKIE. CR2-X Cube レビュー:USB/アナログ/Bluetooth音声入力に対応の小型パワード・スピーカー

 MACKIE. CR2-X Cubeは、一辺が約12〜15cmのキューブ型エンクロージャーを備える、コンパクト・サイズのフルレンジ・パワード・スピーカー。机の上に設置しても邪魔にならず、マットな質感のボディにワンポイントで配色された蛍光グリーンが、MACKIE.らしいデザインのアクセントになっています。では早速、詳しく見ていきましょう。

83mm径のフルレンジ・ユニット

 CR2-X Cubeは、ノブを排したフラットなデザインと、金属製フロント・パネル中央にある83mm径フルレンジ・ユニットがとてもスタイリッシュ。重量は片側あたり約1.5kgで、Lchスピーカーの方が若干軽いです。

Lchスピーカーはパッシブ仕様で、Rchスピーカーからの音声を受けるための入力端子(RCAピン)が背面にある

Lchスピーカーはパッシブ仕様で、Rchスピーカーからの音声を受けるための入力端子(RCAピン)が背面にある

 L/Rchスピーカー共にゴム製インシュレーター兼滑り止めが底面の四隅に付いており、簡単にはブレず安定して設置することが可能。スピーカーは上向きに15°の角度が付いているので、卓上に設置したときユニットが耳の方へ向きます。

スピーカーには上向き15°のアングルが付いている

スピーカーには上向き15°のアングルが付いている

 Rchのスピーカーには、電源スイッチや音声入出力、ボリューム・コントロールなどを集約。音声入力は、コンピューターと接続するためのUSB-C端子、3.5mm径TRSのステレオのAUXイン、Bluetooth 5.0のレシーバーで、現代のオーディオ環境として必要なものをそろえています。

Rchスピーカーの背面。内蔵アンプの音声出力(RCAピン)は、Lchスピーカーと接続するためのものだ。そのほか電源スイッチ、付属ACアダプター用の端子、音声入力のUSB-C端子とAUXイン(3.5mmTRS)、サブウーファー用の出力(3.5mmTRS)が用意されている

Rchスピーカーの背面。内蔵アンプの音声出力(RCAピン)は、Lchスピーカーと接続するためのものだ。そのほか電源スイッチ、付属ACアダプター用の端子、音声入力のUSB-C端子とAUXイン(3.5mmTRS)、サブウーファー用の出力(3.5mmTRS)が用意されている

 USB-C端子を使う場合は、本体内で16ビット/48kHzにてAD/DA。音声出力については、台座部の側面に3.5mmTRSのヘッドフォン端子があり、エンクロージャー背面にはLchのスピーカーとつなぐRCAピンのパワード・アウト、そしてMACKIE.のサブウーファーCR6S-X(オープン・プライス:市場予想価格30,030円前後)に出力する3.5mmのTRS端子(ステレオ)が備わっています。このサブウーファー出力にCR6S-Xを接続すると、CR2-X Cubeは自動的に低音域がロールオフされる仕様です。

タッチ操作で音量やミュートを制御

 電源は付属のACアダプターからの給電で、USBバス・パワーには対応していません。スピーカーの音量やミュートの操作、ヘッドフォン端子の音量調整は、Rchスピーカー下部の静電容量式タッチ・コントロールで行います。

台座部には、出力音量やミュートの操作が行えるタッチ・コントロール(台座中央)、入力ソースの切り替えスイッチ(同右)、ヘッドフォン端子(3.5mmTRS/同左)などをレイアウト

台座部には、出力音量やミュートの操作が行えるタッチ・コントロール(台座中央)、入力ソースの切り替えスイッチ(同右)、ヘッドフォン端子(3.5mmTRS/同左)などをレイアウト

 コンピューターとの接続時にタッチ操作してみたところ、調整内容がコンピューターに反映されるまで多少ラグを感じましたが、細かいレベル調整というよりはざっくりとした音量の設定やミュートを素早くできる印象で、音の大きさに比例してタッチ・コントロール上部に並ぶホワイトLEDが点灯するので視認しやすいです。また、その右に配されているボタンで入力ソース(USB-C、AUXイン、Bluetooth)を選択可能。各ソースのアイコンの横にLEDが付いていて、現在接続しているデバイスが一目で確認できます。

定位が良くステレオの様子がよく分かる

 さてそれでは肝心のサウンドを聴いてみましょう。まずはスタジオ・デスクの上に置き、APPLE MacBook ProとUSBケーブルで接続して試聴。普段からリファレンスとして使用している音源、ジャズなどの生音系、電子音のテクスチャーを使ったエレクトロニカなどを中心に聴いていきました。

 最初に感じたのは定位の良さ。ラフなセッティングでも、センターの奥行きや、各パートがステレオ・フィールドのどこで鳴っているのかが確認しやすいと感じました。狭い卓上のように限られたスペースでは、理想のスピーカー・セッティングを行うことは難しいですが、このCR2-X Cubeは音像が破綻せず再生されることに驚きました。あえて音量を大きめにしていくと、さすがに中域〜低域が飽和していくようにも感じましたが、適度な音量感で聴く分には、このサイズのスピーカーだとゴチャついてしまいがちな低域も分離が良く、ウッド・ベースの音が濁ることなく聴こえます。また、電子音のテクスチャーの歯切れも心地良いです。ビンテージ・シンセやドラムのひずみ感をチェックできたり、パッドのステレオ音像の広がり/動きを明瞭に把握することができました。

適度な音量なら低域にも余裕を感じる

 小型デスクトップ・スピーカーの性質上、もっと低域のモコモコ感や濁りが顕著になるかと思っていたのですが、嫌なピーク帯域も無く、想像以上に粘ってくれる印象です。スピーカー本体の上向き角度は固定されているので、必要に応じてデスクの奥に設置したり、底上げをしてセッティングを追い込むことができれば定位もさらに良くなりそうです。出力音量も一般的なワンルーム環境なら申し分なく、LEDの目盛4つ程度で十分に聴こえ、オーディオ・プレーヤーの方でボリュームを調整しながら聴き心地の良い音量感に余裕を持って設定することが可能です。

 次に、手持ちのAPPLE iPhoneをAUXインとBluetoothレシーバーに接続してみました。AUXインに接続したときはUSB接続時の音像に近い印象である一方、Bluetooth接続だと全体的な音像として、一回り額縁が小さくなるような印象を受けました。ですが、どちらもやはり音の定位の良さは相変わらずで、聴いていて心地の良さを感じます。

 このサイズのフルレンジ・スピーカーとは思えないような音質と、コンパクトなボディ。メイン・スピーカーとは別のリファレンスとして導入するのもよさそうです。そして、限られたワーク・スペースでやむなくコンピューター用のスピーカーを使っている人には特にお薦めで、ぜひ一度試してもらいたい製品です。

 

佐藤公俊
【Profile】音楽家/サウンド・デザイナー。環境音と電子音を組み合わせたワークスは、パブリック・スペースやWebコンテンツ、ラジオ番組のサウンド・プロデュース、舞台芸術の劇伴など多岐にわたる。

 

MACKIE. CR2-X Cube

オープン・プライス

(市場予想価格:30,030円前後)

MACKIE. CR2-X Cube

SPECIFICATIONS
▪形式:フルレンジ・パワード ▪スピーカー構成:83mm径BMRドライバー×1(L/Rchの各スピーカーにつき) ▪指向性:180°(水平)×180°(垂直) ▪内蔵アンプ:クラスD、60W(最大出力/ピーク) ▪周波数特性:58Hz〜20kHz(−10dB) ▪最大音圧:103dB SPL(ピーク) ▪ダイナミック・レンジ:90dB以上 ▪外形寸法:119(W)×163(H)×152(D)mm(各スピーカー) ▪重量:2.9kg(L/Rchスピーカーの合計)

製品情報

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