「CLASSIC PRO DM16」製品レビュー:マイクプリを12基搭載する遠隔操作仕様の16chデジタル・ミキサー

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 CLASSIC PROから、Webブラウザーを使用して遠隔操作が可能な16chデジタル・ミキサー、DM16が発売されました。早速レビューしてみましょう。

最高24ビット/48kHz対応の
AD/DAコンバーターを内蔵

 DM16は最高24ビット/48kHz対応のAD/DAコンバーターを内蔵し、非常に高水準で優れた音質を確保することができます。寸法は360(W)×70(H)×205(D)mmで、重量は2.65kgとミキサーにしては軽量。リュックに入れて持ち歩けるほどのサイズでしょう。

 

 トップ・パネル左側にあるINPUTセクションには、12chの入力を搭載。そのうちch1〜6はXLR/TRSフォーン・コンボ端子、ch7〜12はXLR端子となっており、これらすべてに60dBのゲイン・レンジを持つ高性能マイクプリが搭載されています。また、ファンタム電源(48V)も使用可能です。この下部には、ch1〜12の入力ゲイン調整ノブが並んでいます。

 

 トップ・パネルの中央上段には、ステレオ・ミニとTRSフォーンのライン・インL/Rを2系統ずつ装備。そのほかメイン出力(XLR)、4系統のAUX出力(TRSフォーン)、ヘッドフォン・アウト(ステレオ・フォーン)とそのボリューム・ノブ、内蔵エフェクトのオン/オフをコントロールする2系統のフット・スイッチ用端子(TRSフォーン)を搭載しています。キーボードやBGM用CDプレーヤーの入力は、LINE INセクションで簡単にセッティングできるので、便利でしょう。

 

 さらに、トップ・パネルの右下にはチャンネル選択ボタンのほか、任意のチャンネルやステレオ・マスターのフェーダー・レベルを表示するLED、電源ボタン、DM16に挿したUSBフラッシュ・ドライブ内の音楽を再生するPLAYボタン、MUTEボタン、各チャンネルの音量などをコントロールするホイールが備えられていて、すっきり見やすい印象です。

 

 電源ボタンの左側には、DM16をワイアレス操作する際のUSB Wi-Fiアダプターや別売りUSBフラッシュ・ドライブ用(ステレオ録音も可能)のUSB Type-A端子を装備しています。

 

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Webブラウザー上に表示されるDM16のコントロール画面。左端にはFXやScenes、AUXなどのサブメニュー・ボタンが並んでいる。また画面右端にはグラフィックEQを搭載したステレオ・マスター・フェーダーを装備する

コントロールにはWebブラウザーを使用
クリアな音質のマイクプリ

 DM16のリモート・コントロールにはWebブラウザーを用います。そのためアプリのインストールは不要で、Wi-Fiに接続できるスマホやタブレット、コンピューターが必要です。つまり、誰もが簡単に操作できるということですね。

 

 今回はDM16とコンピューターを、Wi-Fiで接続してテスト。まずは付属のUSB Wi-Fiアダプターをトップ・パネル、またはリア・パネルにあるUSB Type-A端子に挿し込みましょう。次にコンピューターのWi-Fi設定画面で“DM16”を選択して接続。あとはブラウザーを立ち上げて、画面上部にあるアドレス・バーに“10.10.2.1”を入力するとコントロール画面が表れます(画面①)。とても簡単ですね!

 

 コントロール画面のメイン・チャンネル・ページでは、各チャンネルのレベル、パン、ソロ/ミュートが設定可能。画面左端にはコピー/ペーストや、FXやScenes、AUXなどサブメニュー・ページに移動するためのボタンが並びます。サブメニュー・ページでは、各シーンの編集/保存/消去、DM16に2基ずつ搭載されたリバーブ/ディレイのセッティングなどが可能です。さらに最上段にあるInput Stageタブでは、ファンタム電源や位相反転、タイム・アライメント用ディレイの設定、EQタブでは4バンドEQやハイパス・フィルターなどの処理が、Dynamicsタブではノイズ・ゲートとコンプの調整、SendタブではAUX出力のセンド量やプリ/ポストフェーダーの選択が行えます。それ以外にも4つのDCAやミュート・グループ設定など機能が満載なのです。

 

 マイクとギターをch1/2へ入力してみましょう。ゲインを上げていくと、かなり広めのダイナミック・レンジを持っていることが分かります。安価なマイクプリだと少し触っただけで音質が変わったり、音やせすることがありますが、DM16のマイクプリはそうではありません。クリアな音質で好印象です。

 

 内蔵エフェクトも試してみました。ボーカルにはショート・ディレイとつややかなリバーブを、ギターにはカラッとしたリバーブを施せ、イメージ通りの音像を作ることができました。各エフェクトのパラメーターは少ないながらもポイントを押さえているので、ミキサーの操作に慣れていないミュージシャンやビギナーの方でも簡単に扱えるでしょう。

 

 特筆すべきはトップ・パネルに採用されたホイール。頻繁に使うような各チャンネルの音量やセンド量などを、チャンネル選択ボタンで素早く切り替えてコントロールできます。地味なことかもしれませんが、現場ではこういったところが案外うれしかったりするのものです。

 

 DM16はWebブラウザーによるワイアレス操作を併用することによって、高音質かつ多機能、そしてシンプルな使いやすさを持つ、とてもコスト・パフォーマンスに優れた小型ミキサー。小規模のライブ現場以外にも、店舗の設備、最近増加中の自宅配信用としてもお薦めできるミキサーでしょう!

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リア・パネル。USBフラッシュ・ドライブやUSB Wi-Fiアダプター挿入用のUSB Type-A端子、システム初期化用のUBOOTボタン、DM16とコンピューターを接続する際に使用するイーサーネット端子を備える

 

製品情報

CLASSIC PRO DM16

オープン・プライス(市場予想価格:29,800円前後)

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SPECIFICATIONS
▪マイク入力:6ch(XLR/TRSフォーン・コンボ)+6ch(XLR) ▪ライン入力:2ch(TRSフォーンL/R)、2ch(ステレオ・ミニ) ▪メイン出力:2ch(XLR)+ヘッドフォン・アウト(ステレオ・フォーン) ▪AUX出力:4ch(TRSフォーン) ▪フット・スイッチ:2ch(TRSフォーン) ▪内蔵エフェクト:リバーブ×2、ディレイ×2 ▪シグナル・プロセッシング:最高24ビット/48kHz ▪外形寸法:360(W)×70(H)×205(D)mm(突起部除く) ▪重量:2.65kg ▪付属品:USB Wi-Fiアダプター

撮影:川村容一

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