80'sシンセのチープさを意識したサウンド
BIG FISH AUDIOから発売された『SYNTHWAVE AESTHETIC』ですが、ここ5年くらい非常に流行しているベイパーウェーブを強烈に意識したサウンド感。つまり、VHSやローカル・テレビで流れそうなチープなCGのCMなどを想起させる、1980年代のシンセ・サウンドが中心のコレクションになっています。具体的なアーティストからのインスパイアではなく、今どきの世代の人が何となくイメージして作っているのがミソです。
80〜112BPMで35曲のコンストラクション・キットを収めており、シンセ、ベース、ドラム、FXなどを収録。シンセは各フォルダーに、リード、コード、ブラス、ストリングス、プラック、マレット、ベル、アルペジオ、リバースなどを用意しています。シンセ・ドラムは1980年代のチープさを意識しつつもローがしっかりしていて、なおかつ輪郭がくっきりとした質感となっており、その点ではEDM以降に対応するサウンドです。僕は特にリバービーなFMシンセのノスタルジックな響きが気に入りました。
用途として、テクノ/エレクトロはもちろん、昨今のアイドル・ソングにちょっぴりこのサンプルを混ぜてやるとレトロ・フューチャーでおしゃれなのではないかと思います。筆者はサンプルをグリッチングな感じでチョップしまくるのが好きなので、シンセ/ドラムを切り刻んで跳ねさせて“80'sリバイバル・スタイルの2ステップを作ろうかな”と思っています。
逆にロックやシティ・ポップの人は、間奏で演奏した生ギターに一緒に混ぜたりしても格好良いフックになるかもしれないですね……お薦めです!!
ケンカイヨシ(Loyly Lewis)
【Profile】東京を拠点に活動する音楽プロデューサー/アレンジャー。ぼくのりりっくのぼうよみとの出会いをきっかけにJポップへ活躍の場を広げる。そのほか香取慎吾と草彅剛のユニット=SingTuyoなどの作品を手掛けている。
BIG FISH AUDIO SYNTHWAVE AESTHETIC
12,023円
(2021年5月17日現在。為替レートによる価格の変動あり)
▪メディア:ダウンロード販売 ▪容量:約5.8GB ▪データ・フォーマット:Apple Loops、Rex2、ACID、WAV