APOGEE ClipMic Digital2 レビュー:複数のiOSデバイス間での同期録音が可能なラベリア・マイク

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 APOGEEから、iOS/Mac/Windows対応のラベリア・マイクClipMic Digital2が発売されました。筆者も以前から気になっていたこの製品を、今回チェックすることができましたので紹介します。と、余談ですが、筆者がClipMic Digital2をたまたま見付け、購入するかとても悩んでいた翌日にまさかのレビュー依頼が来たためとても驚きました。当然、二つ返事で快諾したのは言うまでもありません。

各種デバイス対応のケーブル3種類が付属。録音/再生やゲイン調整を別端末で遠隔操作可能

 まずは仕様ですが、小型ラベリア・マイクに最高96kHz/24ビット対応のAPOGEE製マイクプリ&ADコンバーターが付いたものです。付属のマイク・クリップはマイク・ヘッド部が回転するようになっているので、服の左右どちらに付ける場合でも困りません。端末への接続はUSBケーブルで行い、iOS接続用(Lightning)と、コンピューター接続用(USB Type-A、Type-C)が付属。Web会議などの際に使用することも可能です。

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コンバーターに接続されたマイク本体のほか、ウィンド・スクリーンやマイク・クリップ、USBケーブル×3本(Lightning、USB Type-A、Type-C)、トラベル・ケースが付属

 ただし、このマイクの真価を発揮させるためにはiOSデバイスで使用することが前提となるでしょう。無料のiOSアプリApogee MetaRecorderと連携させると、さまざまな設定や方法での使用が可能になるのです。Apogee MetaRecorderはアプリ単体でも使用可能ですが、特定のAPOGEE製品を接続すると有料機能がアンロックされ、より多くの機能が使用できるような仕組みになっています。加えて、タイムコードの付与機能(370円)と、最大4台のiOSデバイスの同期機能(1,220円)が有料オプションとして用意されており、それがClipMic Digital2の良さをさらに際立てるのです。同期機能への課金はマスターとなるiOSデバイスのみでしておけばよく、ほかの端末は課金をしなくてもサテライトとして使用することが可能です。

 

 今までのiOSデバイス対応マイクは、録音のスタート/ストップやレベル調整、音のモニタリングなどはマイクを接続した機器上で直接操作するしかありませんでした。しかしClipMic Digital2は、Apogee MetaRecorderを使ってiOSデバイスを同期すれば、マスター端末から、サテライト端末での録音/再生やゲイン調整、録音データへのマーキングを遠隔操作することができ、レベル・メーターの確認や、多少遅延はありますが音声のモニタリングも可能。

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Apogee MetaRecorderで複数台のiOSデバイスを同期させた状態。マスターとして設定した端末では、同期中の各端末のゲイン確認や調整、モニタリング端末の選択などが可能になる

 これらの機能により、ある端末だけ録音されていなかった、音がひずんでいたなどというミスを防ぐことも容易になります。当然、連携した各iOSデバイス上で録音されたデータは、同期が取れて頭がそろった状態のファイルとなるので、複数のファイルを編集する際にも役立つのです。また、マーカーを付けておくことによって、OKテイクやNGテイクなどの管理もしやすくなります。

 

 なお、この機能を使用するためには、各iOSデバイスを同一のWi-Fiネットワークに接続していることが必要となります。今までこういった機能を持ったレコーダーやマイクをそろえようとすると、プロ用のとても高価な機器を購入しなければ実現しませんでしたが、iOS機器とApogee MetaRecorder、ClipMic Digital2本体のみで実現してしまうのには、正直驚きました。

明りょう度が高く自然なサウンドを実現。3つのノイズ・リダクションをアプリ内で調整

 肝心の音質も、普段筆者が使用しているSENNHEISER製のプロ用ワイアレス・ラベリア・マイクと遜色(そんしょく)無いもので、この価格帯ではダントツではないでしょうか。マイク自体のSN比が良いので音の明りょう度も高く、なおかつとても自然なサウンドで収音できるため、編集時の調整がしやすい音質です。また、Apogee MetaRecorder上では3つのノイズ・リダクション機能を使用できます。Rumble Reducerはローカット的な働きで不必要な低域のノイズを低減し、Hiss Reducerは高周波のノイズを低減。Overload Eliminatorは過大音量によるひずみなどを防ぐもののようです。この3つの機能をオンにすることで録音後の編集がとてもやりやすくなるでしょう。

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Apogee MetaRecorderには、Rumble Recucer、Hiss Reducer、Overload Eliminatorという3種類のノイズ・リダクション機能を搭載

 APPLE iPhoneでVlogなどを撮影している人や、インタビュー撮影などの音声収録で少しでも音を良くしたいと思っている方には、手持ちのiOSデバイスで簡単に使用できるClipMic Digital2はとてもお薦めです。サイズが小さくとても軽量なので、カバンのすき間に忍ばせて常に持ち歩いていても良いほど。価格も比較的手に入れやすいレンジなので、複数での使用もお財布に優しくてよいですね。筆者も購入は迷うこと無く決まりです。

 

森田良紀
【Profile】studioforestaを拠点として録音からミックス、マスタリング、撮影、配信まで行う。近年は長年の配信経験を生かして大森靖子、清春、ビッケブランカなどの配信を多数手掛けている。

 

APOGEE ClipMic Digital2

24,200円

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SPECIFICATIONS
▪周波数特性:30Hz〜20kHz ▪感度:−46dBfs(80dB SPL、1kHz、最小ゲイン時)、−11dBfs(80dB SPL、1kHz、最大ゲイン時) ▪最大SPL:127dB(最小ゲイン時)、92dB(最大ゲイン時) ▪重量:270g ▪マイク・ケーブル長:1.2m ▪付属品:USB Type-Aケーブル(1m)、Type-Cケーブル(1m)、Lightningケーブル(0.3m)、トラベル・ケース、マイク・クリップ、ウィンド・スクリーン×2

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