モノシンセ特有のピッチ技 ~グライドによる滑らかな音高変化

モノシンセ特有のピッチ技 ~グライドによる滑らかな音高変化

ピアノロールの活用術について、アーバンギャルドのキーボーディストで作編曲家の、おおくぼけい氏が解説。今回は、モノシンセならではのピッチ技=グライドを使ったテクニックの紹介です。

ノートを少しだけ重ねる

 ノートを使って音の高さを滑らかに変化させる手法=グライド(ポルタメント)を紹介します。ピッチ・ベンドはカーブで音の高さを調整するため、滑らかにも急激にも変えられるわけですが、グライドはどちらかと言うと滑らか専門。題材曲ではシンセ・ベースやシンセ・リードに使っています。分かりやすい例として、グライドをかけていないシンベ(♪8-1)とかけたシンベ(♪8-2)を聴き比べてみましょう。聴きどころは、ピアノロールでノートが重なっている部分です。ここで、高い音から低い音への滑らかなピッチ変化が起こっています。

シンセ・ベースにグライドをかけたのは、矢印を書き込んだ部分。矢印のようなイメージで、短時間にヌルっと音の高さが変わります。グライドをかけたい部分があれば、AのノートとBのノートの関係のように前に位置するノートのお尻を伸ばし、その次のノートの頭に重ねてください

シンセ・ベースにグライドをかけたのは、矢印を書き込んだ部分。矢印のようなイメージで、短時間にヌルっと音の高さが変わります。グライドをかけたい部分があれば、AのノートとBのノートの関係のように前に位置するノートのお尻を伸ばし、その次のノートの頭に重ねてください

 グライドは、基本的にモノフォニック・シンセ(和音が出ない単音専用のシンセ)でのみ使えます。まずは、シンセの方でグライドの数値を設定しましょう。これは、どのくらいの時間(速さ)で音の高さを変えていくかという値で、短ければ“ヌルっ”と変化し、長ければ“ヌル~ん”と変わっていくイメージです

どのくらいの時間(速さ)で音の高さを変えていくかは、ソフト・シンセで設定します。画面はシンセ・ベースに使ったLogic ProのES2で、“Glide”ノブを動かして設定(赤枠)。題材曲では34msで音の高さが移り変わっていくようにしています

どのくらいの時間(速さ)で音の高さを変えていくかは、ソフト・シンセで設定します。画面はシンセ・ベースに使ったLogic ProのES2で、“Glide”ノブを動かして設定(赤枠)。題材曲では34msで音の高さが移り変わっていくようにしています

 次に、グライドをかけたい部分のノートを少しだけ重ねます。2つあるノートのうち、手前の方のお尻を伸ばして次のノートの頭に重ねてください。やり方は以上。どれくらいの長さを重ねるかでもピッチ変化のニュアンスが変わってくるので、曲に合わせて良い具合を探ってみましょう。

 

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おおくぼけい

おおくぼけい
【Profile】アーバンギャルドのキーボーディストで、作編曲家としても活動。頭脳警察や戸川純、大槻ケンヂらの音楽にも携わり、映画や演劇のための作編曲も手掛ける。アーバンギャルドは、2023年1月25日にユニバーサルから『URBANGARDE CLASICK ~アーバンギャルド15周年オールタイムベスト~』をリリース。3月31日には、中野サンプラザホールにてライブ『15周年記念公演 アーバンギャルドのディストピア2023 SOTSUGYO SHIKI』を行う。

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