第一線で活躍するエンジニアに毎月お薦めの新作を語ってもらう本コーナー。今本 修氏の今月のセレクトは、ディスクロージャー『エナジー』、ザ・フレーミング・リップス『American Head』です。
ハウス/ガラージ界を背負う
彼らのエナジーを注入してほしい
5カ月前に新型コロナに感染しつつも“自信作が出来上がった”と語ったガイ・ローレンスと実の弟ハワード・ローレンスによる兄弟ユニットのディスクロージャーのアルバム。この10年でUKハウス・シーンをけん引し、世界のフェスでもヘッドライナーを務めるほど大きく成長した。
今作はハウスに限らずほかのジャンルも積極的に取り入れ、ケリスやジ・インターネットのシド・ザ・キッド、コモンといったアーティストをフィーチャーしている。アフリカンや懐かしの2ステップも取り入れており、重鎮MJコールもリミックスで参加。ディスクロージャーは外部に頼むリミックスでも大きな評価を得ているので、ぜひアルバムを手にしてハウス/ガラージ界を背負う彼らのエナジーを注入してほしい。
ロックの名盤になるであろう
英国の古き良き匂いもプンプンするサウンド
アメリカのサイケ・ロック、ザ・フレーミング・リップスの21作目となるアルバムはロックの名盤になるであろう。英国の古き良き匂いもプンプンするサウンドで、ザクザクしたギターや歌のピッチが緩いのがまた良い。
それをカバーするように、とても深いリバーブやタイム感が速いディレイなど“え? これ歌にかけちゃうんだ?”みたいな音を聴かせてくれる。セッティングが難しいタムの胴鳴りもすごいが、それにかかるリバーブが深いこと深いこと……。ストリングスもシンセもパート関係無くリバーブをかけており、それらがすべての演出につながっていて素晴らしいと感じた。学ぶべきエフェクトの世界にようこそ!
今本 修
【Profile】DOGLUS MUSIK主宰。クラブ・ミュージックを熟知した音作りに定評がある一方、ロックの分野でも手腕を発揮するエンジニア
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