第一線で活躍するエンジニアに毎月お薦めの新作を語ってもらう本コーナー。今本 修氏の今月のセレクトは、オキェレマ・アサンテ『DRUM MESSAGE』、ナサニエル・レイトリフ・アンド・ザ・ナイト・スウェッツ『The Future』です。
トライバルなパーカッションを軸としたダンス作品
サンプリング・ネタとして知る人ぞ知るガーナ出身のパーカッショニスト、オキェレマ・アサンテの1977年作『DRUM MESSAGE』。昨年末に初のストリーミングと、アナログ・レコードがスピリチュアル・ジャズ・レーベルBLACK FIREから再発された。マルチプレイヤーのブライアン・ジャクソンと、オキェレマ自身が在籍したワンネス・オブ・ジュジュのリーダー、ジェイムズ“プランキー”ブランチと共に制作した隠れた名盤だ。アフロ・ジャズやガーナ・ディスコと言われるジャンルにあり、鳴り続けるトライバルなパーカッションを軸として最小限のインストゥルメントや歌が、一風変わった打楽器とエフェクトなどをまといダンサブルに仕上がっている。しゃれた場所のBGMにもマッチするだろう。ここまでパーカッションを主軸にしている作品も少ないので、エンジニア的にもちょっとしたときの参考として重宝する一枚だ。
パンチのある現代的フォーク/カントリー・ロック
2015年に1stアルバムがヒット。現代的なフォーク/カントリー・ロックを聴かせてくれるナサニエル・レイトリフ率いるブラス・セクション入りの大所帯バンド、ザ・ナイト・スウェッツの3rdアルバムは、自分たちのスタジオを新設して初めての作品だ。ベン・ハーパーやフー・ファイターズなど、多くの作品にエンジニアとしてもかかわるブラッドリー・クックが共同プロデュースを務める。屈強な男たちが繰り出すパンチのあるサウンドで、ロックやR&B、モータウン・サウンドまでをも網羅する、良い意味で泥臭さ全開の作品。
今本 修
【Profile】DOGLUS MUSIK主宰。クラブ・ミュージックを熟知した音作りに定評がある一方、ロックの分野でも手腕を発揮するエンジニア