クボナオキ×8330A〜クリエイターが愛用するGENELECモニター

8330Aは音量の大小で印象が変わらないモニター
施工したスタジオではない環境での作業には助かります

 40年の歴史を誇る、フィンランドのモニター・スピーカー・メーカー、GENELEC。現在のスタジオ・モニターでは主流となったアクティブ式のパイオニアとして知られる同社は、コンパクトなデスクトップ機からスタジオ用ラージ機までを手掛け、世界中のエンジニアやクリエイターから厚い信頼を寄せられている。この連載では、そんなGENELECモニターを愛用するクリエイターに、制作のパートナーとしてのモニターを語ってもらっている。今回は人気ガールズ・バンド、SILENT SIRENのサウンド・プロデューサーとして知られるクボナオキに登場いただく。

部屋を調整した効果もGLMで確認できた

 都内のマンションの一室を仕事場にしているクボ。3年ほど前にここに移ってきてから、DSPによる音場補正技術を搭載したSAM(Smart Active Monitor)コンパクト・シリーズの8330Aを使うようになったという。

 「遮音をしていない部屋なので、昼間は結構大きな音量でモニタリングできるんですが、夜間はある程度音量を絞らないといけません。どうしても深夜に作業することが多いので、音量の大小で印象が変わらないモニターを探していたんです

 そこで紹介を受けたのが8330A。2週間ほど試聴した上で、導入を決めたという。

 「この部屋に来た当初は当然ルーム・チューニングもしていない状態だったので、GLMソフトウェアで測定して、8330Aに補正をかけながら、部屋自体のチューニングをどう作っていくか考えていきました。吸音パネルを置いたり動かしたり、部屋の改善をするたびにあらためてGLMでの測定をして。SAMのおかげで、部屋の調整でどう変わったのかがよく分かりました。8330Aは補正機能が入っている割に、同じサイズのスピーカーと比べても導入しやすい価格だなと思います」

 特にモニター周りの部屋の形状が左右対称ではないため、補正の効果は大きいようだ。こう続ける。

 「僕は完パケのミックスまで自分でしているわけではありませんが、デモの提出であってもミックスが重要視されます。こういう空間の方がスタジオ然とした環境よりもリラックスできるけど、音にはこだわりたい。僕のように施工したスタジオでない環境で作業しているクリエイターにとって、小さい音量でも判断できるのは助かるんですよ

高域の再現度も高く“やる気”にさせてくれる

 これまで連載に登場してくれたクリエイターは、クラブ・ミュージック系が多かった。しかし、ロックを軸にしているクボにとっても、GENELECモニターのサウンドは判断しやすいという。

 「確かにGENELECと言えば、クラブ・ミュージックのキックのイメージが強い印象はありますが、実は高域の再現度も高いんです。僕の手掛けているもので言えば、アコギの音像などもちゃんと見えてくれる。バスドラありきでアレンジを構成するような音楽でなくても、エレキギター、ピアノ、アコギ、メインに歌がいる……というロック/ポップスの音像もうまく組み立てられると思います」

 また、クリエイターとしては、こうした正確さとともにモチベーションを高めてくれるサウンドであることも、GENELECのポイントとなっているようだ。

 「デザインもいいし、曲がかっこ良く鳴ってくれるので、やる気にさせてくれる。音楽を作っていて楽しいモニターだと思います。大きなスタジオを造ってラージ・モニターを入れるなら別ですが、現状では8330Aに満足していますね」

クボナオキ使用モデル

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8330A
オープン・プライス
(ダーク・グレー:市場予想価格100,000円前後/1基、ホワイト:市場予想価格108,000円前後/1基)
使用環境の音場を計測しDSPでピークを補正して最適なモニタリング環境を構築するSAM(Smart Active Monitoring)システム対応モニター。5インチ・ウーファーと0.75インチ・ツィーターを搭載した、クラスDバイアンプ2ウェイ・モデル

Creator of This Month

Genelec_Kubo_015s クボナオキ
作詞/作曲/編曲/プログラミング/サウンドプロデュースを手掛けるギタリスト。SILENT SIRENの全楽曲のサウンド・プロデュースと作編曲を担当。私立恵比寿中学、Palet、Tama(ex. Hysteric Blue)などにも楽曲提供を行っている

■GENELEC製品に関する問合せ:ジェネレックジャパン  https://www.genelec.jp/

2019年1月号サウンド&レコーディング・マガジン2019年1月号より転載