ソフト音源/プラグインエフェクトは、DAWに付属しているものもありますが、“それだけでは物足りない”“いろいろな音色や効果を試したい”という方は、サードパーティの製品をチェックしてみましょう。また、アンプシミュレーターはギタリストやベーシストは必見! 製品のタイプとしてはハード、ソフトの両方があり、お気に入りのアーティストのアンプシステムやプロのマイキングを再現するといったことも可能です。ここでは、それぞれの選び方のポイントとおすすめ製品を紹介します。
※記載されている製品価格はすべて2023年12月13日時点の税込み価格です。
ソフト音源/プラグインエフェクト
こんな方は要チェック!
✓ 楽曲のクオリティを上げたい
✓ いろいろな音色や効果を試したい
選び方のポイント
1. DAW付属のもので物足りないときに導入する
DAWにはあらかじめソフト音源やプラグインエフェクトが用意されていて、制作のすべてをそれらでまかなうことも可能です。しかし、自分がほしい音色や効果を得られないこともあるでしょう。そんなときに一役買ってくれるのが、外部のソフト音源やプラグインエフェクトです。実機をモデリングしたものや、個性的な面白い効果を生むもの、AIを搭載したものと多岐にわたるので、好みのものをいろいろと探してみると楽しいと思います。
2. フォーマットをチェックする
ソフト音源/プラグインエフェクトには、“フォーマット”があります。主なフォーマットとしてAAX、AU、VSTがあり、DAWによって対応しているもの、していないものがあります。また、DAWなしでも動作させることができる、スタンドアローンに対応したものも存在します。自分の環境できちんと動作するかどうかを事前に調べてから、購入するようにしましょう。
解説:サンレコ編集部
「無料のデモ版が用意されている場合は、一度試してみるのもよいでしょう。購入してしまってから、“意外と自分には合わなかったな……”ということが防げます」
【Profile】音楽制作と音響のすべてを届けるメディア。音楽制作に携わる人々に贈る専門誌『サウンド&レコーディング・マガジン』(毎月25日発売)とWebサイト『サンレコ』を運営中。
ARTURIA Analog Lab Play
ARTURIAの音源コレクションから選ばれた100のプリセットを備える無料ソフトシンセ
Analog Lab Playは、ARTURIAのソフトシンセ集であるV Collectionから選ばれた100種類のプリセットを搭載するソフトシンセだ。無料で提供される。
Analog Lab Playの位置付けを整理しよう。ARTURIAのソフト音源のフラッグシップはV Collectionだ。33種類のビンテージなソフトシンセ/キーボードを備えるバンドルセットで10,000を超えるプリセットを搭載、ライブラリーのサイズは20GBを超える。このV Collectionに収録され、単体でも購入可能なソフトシンセにAnalog Lab Proがある。Analog Lab ProはV Collectionの中から選ばれた2,000超えのプリセットを扱うことができる、いわばV Collectionのいいとこ取りをしたソフトシンセであり、このAnalog Lab Proの無料バージョンがAnalog Lab Playというわけだ。
先述したように、Analog Lab Playのプリセット数は100。スタンドアローンおよびDAWのプラグインとして動作する。プリセットごとに2つのエフェクトも搭載している。V CollectionやAnalog Lab Proでも好評のサウンドカスタマイズ機能、マクロコントロールも備わっている。無料なので、操作してみて自分に合うようならAnalog Lab ProやV Collectionへのアップグレードを検討するといいだろう。
TOONTRACK EZ KEYS 2
EZ KEYS 2は、イタリア製グランドピアノFAZIOLI F212のサウンドを5種類のマルチマイクで収録したピアノ音源。スタンドアローンまたはプラグインで動作し、本格的なサウンドを“イージー”に活用できるのが特徴だ。豊富なプリセットや、さまざまなジャンルに対応するMIDIフレーズが用意されており、ビギナーでもすぐに制作に取り入れられる。オーディオやMIDIをもとにグルーブを提案するBandmateや、AIによるヒューマナイズ機能、コード進行を提案するSuggest Chordsなど、ユニークな機能も搭載している。
アンプシミュレーター
こんな方は要チェック!
✓ ギターやベースを自宅で録音したい
✓ 実機のアンプを録音するのは難しい……
選び方のポイント
1. 実際アンプと比べてどうなの?
僕は、アンプは“ロマン”だと思っています。憧れたアーティストのすべてがアンプで録音をし、ライブをし、それを聴いて僕は育ったからです。一方アンプシミュレーターは、プロのマイキングが施された“にくい”音色が最初から用意され、そこから音を作り込めるし、ノイズ処理やメンテナンスは不要。極めつきは、シミュレーターかどうかなんて、言わなきゃ分からないレベルに到達していることです。つまり、アンプが“ロマン”であるなら、アンプシミュレーターは“実用”と言えるでしょう。
2. 好きなアーティストが使っているシステムを選んでOK
近年リアルアンプをキャプチャーしたものが主流になってきています。まずは好きなアーティストが使っているシステムを真似してもOK。各社個性的で、どれも良いものです。僕は“好きなアンプがあるか”“ユーザーインターフェースが好みか”程度で選んでいる気がします。強いて言うなら“最新かどうか”というのも。この業界、頭打ちかと思いきや、最新テクノロジーにはワクワクさせられます。
解説:みきとP
「昨今のシミュレーターは、ハード、ソフト共に品質が高いです。ハードは物理的に触っていじれること、ソフトは場所を取らないことがメリット。自分に合ったタイプを選びましょう」
【Profile】ボカロPとして多様な楽曲を発表。2018年の「ロキ」や「少女レイ」などのヒットにとどまらず、本人歌唱のライブやアルバム制作に加え、音楽作家としてアニメの主題歌やミュージカル、アーティストへの楽曲提供など、幅広く活躍中。
IK Multimedia TONEX Pedal
TONEX Pedalは、実在するアンプやキャビネット、ディストーションやオーバードライブといったペダルから“キャプチャー”したTone Modelを読み込み、ツマミやフットスイッチで調整/操作できるデバイスだ。付属のソフトウェアTONEX MAXに収録されている1,000種類に及ぶTone Modelだけでなく、ユーザーが集うToneNETにアップロードされたTone Modelを使うことも可能。TONEX MAXにはTONEX Pedalのプリセットをブラウズ、編集、ロードできるライブラリアンが搭載されており、ドラッグ&ドロップでTONEX Pedalに転送できる。
Softube Amp Room Suite
Softubeのモデリング技術とモジュール概念を統合したギター&ベースプラットフォームAmp Room Suite。Marshall Suite、Metal Suite、Vintage Suite、Bass Suiteから構成され、個別に購入可能。アンプをパソコン上でパラレル接続したりパスをスプリットしたりして音作りを行えるスタジオモードのほか、豊富なプリセットからアンプ、キャビネット、ペダル、エフェクト、EQとカテゴリーごとにグラフィカルなUIでサウンドを探せるスイートモードを搭載している。既存のAmp RoomユーザーはAmp Room Suiteへフリーアップデートが可能だ。
UNIVERSAL AUDIO UAFX Dream / UAFX Ruby / UAFX Woodrow / UAFX Lion / UAFX OX Stomp
アナログモデリングでよみがえる往年の名機が持つビンテージなトーン
UAFXは、モデルごとにテーマを持つ、ビンテージなトーンのストンプボックス。UNIVERSAL AUDIOのアナログモデリング技術を駆使して、リアルで高品質なサウンドを提供している。ここでは5つのモデルを紹介しよう。
UAFX Dream ʼ65 Reverb Amplifierは、1960年代のアーティストやプロデューサーが愛したアメリカンチューブアンプのサウンドを再現。クラシックなスプリングリバーブとビブラートの臨場感あふれるサウンドを楽しめる。UAFX Ruby ʼ63 Top Boost Amplifierは、主にイギリスのアーティストに愛されたブリティッシュバルブアンプのサウンドを提供する。リッチなトーンと、チューブ回路によるビブラートが特徴だ。UAFX Woodrow ʼ55 Instrument Amplifierは、1950年代半ばのアメリカで愛されたチューブアンプのサウンドを再現する。甘くてクリーン、そしてリッチなオーバードライブとグランジーなディストーションが体感できる。UAFX Lion ʼ68 Super Lead Ampは、3つの異なる100Wのプレキシアンプのトーンを忠実に再現。オリジナルが持つゴージャスでクリーン、そしてアグレッシブなサウンドがよみがえる。さらに、UAFX OX Stomp Dynamic Speaker Emulatorを加えれば、キャビの種類やスタジオの空気感をより自在に再現できる。
サンレコ・ビギナーズ|音楽制作に役立つ初心者ガイド
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