“クジラ”の愛称で知られるダイナミックマイクの名機、SENNHEISER MD 421。現行モデルのMD 421-IIのダイアフラムをそのままに、コンパクトなボディに収めたMD 421 Kompaktがリリースされた。ここではライブサウンド・エンジニアとして長年活躍する小松久明氏に、いち早くその実力を検証していただいた。
e904ともつながりのよいサウンド
−まず、実際にMD 421 Kompaktを手に取った印象は?
小松 今までのMD 421をそのまま小さくした感じでとても“かわいい” です。あと重さが軽くて驚きました。
−今回は実際のライブの現場にMD 421 Kompaktを持ち込んで試していただけたそうですね?
小松 ドラムのフロアタムに使ってみました。クリップが頑丈で扱いやすいです。フロアタムへのマイクアレンジも、狙った位置と角度に簡単にアジャストできます。
−収音されるサウンドはいかがですか?
小松 とても抜けが良くて明るいサウンドです。タムタムにSENNHEISER e904を使っていましたが、それとの音のつながりも良かったです。周波数特性から見ても、抜けが良い理由が読み取れます。今回は、フロアタムでのテストでしたが、タムやスネアにも良いと思います。
万能な“クジラ”がそのままコンパクトに
−ステージではギターアンプにも使用していただいたと聞きました。
小松 はい、エレキギターにも使ってみました。僕が持ち込んだ、ビンテージの“白クジラ”(MD 421)と比較するとサイズのコンパクトが分かると思います。ギターサウンドは、周波数特性通り抜けが良いと感じました。
−今回、MD 421 Kompaktをお使いになって、感じたことは?
小松 MD 421はとても万能なマイクで、ドラムからギター、パーカッション、ボーカルまでも多種多様に使ってきました。それは、ダイアフラム・ユニットがとても良くできたマイクであったからだと思います。MD 421 Kompaktはそのままコンパクトになって、ホルダーも扱いやすくなり、また多くのサウンドエンジニアが手にすることになるでしょうね。個人的には“Kompakt”というより、“Baby”と名付けたいくらい“かわいい”マイクです!
SENNHEISER MD 421 Kompakt
MD 421-IIのカプセルユニットをそのまま小型のボディに組み込んだダイナミックマイク。“クジラ”の愛称でも知られるMD 421(1960年リリース)およびその後継である現行モデルMD 421-IIと同様のパフォーマンスをそのままに、コンパクトなサイズを実現。カーディオイド指向性と卓越したダイナミックレンジを持ち、録音やライブサウンド環境において求められるクリアな音を再現する。
LINEUP(オープンプライス)
- MD 421 Kompakt:市場予想価格63,800円前後
- MD 421 Kompakt + Drum Clamp:市場予想価格66,000円前後
- MZH Drums(ドラム用クリップ単体):市場予想価格4,400円前後
SPECIFICATIONS
- 周波数特性:30Hz〜17kHz
- 指向性:カーディオイド(単一)
- 感度:2mV/Pa(±2.5dB)
- インピーダンス:250Ω
- 最小負荷インピーダンス:1kΩ
- 外形寸法:84(W)×122(L)×49(D)mm
- 重量:159g
小松久明
1985年よりコンサートのミキシング、サウンドプランニングおよびサウンド・デザインを手掛ける。近年はLUNA SEA、いれいす、大黒摩季、手嶌 葵などを担当。洗足学園音楽大学、音響芸術専門学校、国立音楽院で後進の指導にも当たる。K.M.D Sound Design代表