神谷洵平 × AUSTRIAN AUDIO OD5 / OC7 〜ウィーンから新風をもたらすマイク・ブランド【Vol.26】

 AUSTRIAN AUDIOのアクティブ・ダイナミック・マイクOD5とコンデンサー・マイクOC7は、いずれもヘッドに最大220°の回転機構を備え、柔軟なセッティングに対応する。ここでは、OD5、OC7をドラマー/作編曲家の神谷洵平がレビュー。オーバーヘッド用にコンデンサー・マイクCC8とOC818も用意し、自身のスタジオで、AUSTRIAN AUDIOのマイクを駆使したドラム・キットの収音に挑戦してもらった。

撮影:小原啓樹

楽器の音を音楽的に捉えてくれるので、演奏者とエンジニアが求める音の架け橋になると思います

神谷洵平

神谷洵平
【Biography】ドラマー/作編曲家/プロデューサー。東川亜希子とのユニット=赤い靴での活動や劇伴、CM音楽の制作も行う。aiko、ずっと真夜中でいいのに。、大橋トリオ、あいみょん、優河 with 魔法バンド、矢野顕子のライブや作品にも参加。

細かいセッティングを可能にする220°の回転機構

 今回は自分での演奏に加え、僕が録音を担当したバンドGuibaのドラム・レコーディングにも使い、エンジニア的な視点でもチェック。OD5とOC7はそれぞれ、スネアのトップとボトム、タム、ハイハット、キックでテストしました。

 OD5はコンデンサー・マイクのような繊細さもあり、中低域が充実しているので皮鳴りもしっかり録れました。音の質感は、抜けが良くカラッとした印象です。スピード感があり、特にタムは、アタックからサステインまで鋭く捉えられました。音のかぶりが自然で気にならない点も良かったです。

アクティブ・ダイナミック・マイクのOD5(オープン・プライス:MUSIC EcoSystems販売価格48,400円)をタムにセットした様子。取り付けには、別売りのマイク・ホルダーDPH12(オープン・プライス:MUSIC EcoSystems販売価格8,030円)を使用。OD5、OC7、CC8に対応する

アクティブ・ダイナミック・マイクのOD5(オープン・プライス:MUSIC EcoSystems販売価格48,400円)をタムにセットした様子。取り付けには、別売りのマイク・ホルダーDPH12(オープン・プライス:MUSIC EcoSystems販売価格8,030円)を使用。OD5、OC7、CC8に対応する

 OC7は、明るさがありつつもキツくならない自然な高域が印象的でした。かぶりで入ってくる音があまり気にならず、メイン以外の音から拾える空気感にはおいしい部分が多かったです。ブラシを使って小音量で演奏するジャズでのスネアや、ハイハットの収音など、繊細なニュアンスと空気感を収めたい場合にお薦めしたいです

コンデンサー・マイクOC7(オープン・プライス:MUSIC EcoSystems販売価格80,300円)をハイハットにセッティングした様子。神谷は“明るさがありつつもきつくならない高域や、音のかぶりが自然で気にならない点が特に気に入りました。普段使いで導入したいです”と語った

コンデンサー・マイクOC7(オープン・プライス:MUSIC EcoSystems販売価格80,300円)をハイハットにセッティングした様子。神谷は“明るさがありつつもきつくならない高域や、音のかぶりが自然で気にならない点が特に気に入りました。普段使いで導入したいです”と語った

 OD5とOC7に共通した220°の回転機構は、とにかく便利。ヘッドを回転させて容易に角度が調整できるので、ライブではマイク・スタンドの方向に関係なく狙いたい角度に固定できますし、録音時はより細かくセッティングを試すことも可能です。さらに両機種とも収音部分の面積が広く“面”で収音できるので、狙いたいポイントを捉えやすかったです。

しっかり装着して自然な音で演奏できるDPH12

 OC7、OD5に対応するマイク・ホルダーのDPH12も併せてチェックしました。マイク・ホルダーは転換の速さや取り回しの良さが求められるライブ現場ではよく使われますが、リムに装着するため、音の響きが変わってしまうこともあるんです。しかし、DPH12はネジの締め具合を細かく調整できるので自然な音で演奏できました。装着感もしっかりしています。リムの装着部とマイク・クリップのパーツが分かれているため余分な振動をあまり収音しないですし、ブームの長さが調整できてドラムとマイクの距離を細かく設定できるので、録音でも使えそうです。さらに、DPH12を使うとスタンドが不要なので、スタジオをより広く使えましたね。

 このテストでは、オーバーヘッドのCC8×2本とOC818を含め、ドラム・キット全体をAUSTRIAN AUDIO製品だけで録音しました。いずれもEQで削るような不要な周波数成分はなく、ミックス処理を既に行ったような奇麗な録り音でした。ブランドを合わせることで音の統一感も出ますね。総じて楽器の音を音楽的に捉えてくれるので、演奏者とエンジニアが求める音の自然な架け橋になるマイクだと思います。

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