「CLASSIC PRO PA Uno」製品レビュー:4chミキサーや2基のクラスDアンプを備えるコラム型PAシステム

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 マイクやケーブルなど、さまざまな音響機器をリリースするブランドCLASSIC PROより、コラム型スピーカー+サブウーファーを備えるオールインワンのPAシステム=PA Unoが発売されました。高域+中域用と低域用にそれぞれ出力300WのクラスDアンプを搭載したパワード・スピーカーで、4chミキサーを併装しています。

 

12インチのサブウーファーを搭載
EQやディレイなどのDSPを内蔵

 メーカーいわく、PA Unoは1台で350人規模までの使用を目安にしているとのこと。コラム部分の寸法は108(W)×835(H)×98(D)mmで、高さ調整用のコラムを使用すると108(W)×1,620(H)×98(D)mmと約2倍の長さになります。サブウーファーの方は366(W)×675(H)×541(D)mmで、メーカーが唱える“350人”という規模から考えると、割とコンパクトなサイズでしょう。

 

 重量はコラムのみだと3.8kg、サブウーファー単体では23kgです。一見重たく感じてしまうのですが、サブウーファーの上部とベース・プレート部にハンドルが備えられているので、持ち運びやセッティングも楽に行えます。

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サブウーファーの上部とベース・プレート部には、持ち運び用のハンドルが備えられている

 肝心のユニット構成を見てみましょう。コラム・スピーカーには、高域用にネオジム磁石を採用した1インチ・コンプレッション・ドライバーが1基、中域用にもネオジム磁石を採用した3インチ・ドライバーが6基搭載され、サブウーファーには12インチ・ユニットが装備されています。またコラム部分の指向角は120°(水平)×30°(垂直)で、広いカバレージを持つスピーカーだと言えるでしょう。

 

 サブウーファーの上部には、先述した4chミキサーの操作パネルを配置。最上段には、内蔵DSPの設定などに使用するディスプレイと、メイン・ボリュームやDSPをコントロールするためのロータリー・エンコーダー、最下段の右側には、ミックス出力(XLR)とサブウーファーの音量ノブが備えられています。

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サブウーファーの上部に配置された4chミキサーの操作パネル。Hi-Z入力やBluetooth接続にも対応する

 chA/Bにはマイク/ライン切り替えスイッチとゲイン・ノブ、メイン入力(XLR/TRSフォーン・コンボ)、スルー・アウト(XLR)、chCにはゲイン・ノブとギター/ベースなどを直で接続可能なHi-Z対応のライン入力(TRSフォーン)、chDにはBluetooth/ラインに対応するゲイン・ノブ、ライン入力L/R(RCAピン)を搭載。さまざまな入力方式に対応しながらも、操作パネルはシンプルなレイアウトになっています。

 

 内蔵DSPは、HI/MID/LOWの3バンドEQやローカット・フィルター、ディレイなどに使用されます。MID EQの周波数帯域は、70Hz~12kHzの間で調整できて便利。またローカットEQでは、EQポイントを80/100/120/150Hzの4つから選択することができます。

 

 さらに、MUSIC/VOICE/DJという名前の付いた3種類のEQプリセットもスタンバイ。これらはそれぞれ、音源再生/スピーチ/DJ用として使い分けが可能です。EQの調整に自信が無いビギナーでも安心ですね。

 

ナチュラルで明りょうな中高域
Bluetooth接続にも対応

 テストは、筆者が勤務するライブ・スペース水道橋Wordsにて行いました。まずはアコギをHi-Z入力に接続して、演奏してみます。一聴して、ナチュラルで素直な中高域の音質に驚きました。3バンドEQの効きも良く、DSPの優秀さを感じます。このままでも十分使える音だと思いますが、PA Unoに接続する前に空間系エフェクト・ペダルをつないでも、リバーブ成分などを奇麗に表現してくれそうです。弾き語りでPA Unoを用いるのであれば、ギターに加えてマイクを接続するだけでOK。明りょうで音抜けの良いボーカルを聴くことができました。

 

 次は、さまざまな楽曲をPA Unoにライン入力して再生。入力音量を上げていくと若干ひずんでくる感じはあるものの、質感は損なわれずに聴こえます。EQとサブウーファーの音量を調整すれば迫力のある低域も得られ、音楽ジャンルを問わず、自分好みのサウンドにすることも可能です。内蔵DSPで幅広いサウンド・メイクができるのも、魅力の一つでしょう。

 

 PA Unoはリスニング用途としても高音質で試聴できます。個人的には、ゆったりとしたジャズ系の楽曲の高域成分をEQで約3dBカットし、サブウーファーのボリューム・ノブを3時くらいまで回したときに前に出てくる、ウッド・ベースのサウンドが好みでした。喫茶店などの店内BGMも1台で賄うことができそうです。さらに“TWSモード”を使うことで2台のPA UnoとスマートフォンなどとBluetooth接続し、ステレオでの再生が可能です。PA Uno同士の距離が離れているときにも役立つ機能で、ケーブル不要のシステムを構築できます。店内の内装などにも配慮した、スピーカーの自由な配置が可能でしょう。

 

 PA Unoは、chA/Bのスルー・アウトやミックス・アウトのほかこのTWSモードも搭載しているため、店内のBGM再生はもちろん、トーク・イベントや中小規模のライブ/コンサートにおいても幅広く活躍することができます。コスト・パフォーマンスに優れている点も見逃せません。操作も直感的に行えるので、初心者にもお薦めです。簡易的な音響システムが必要であれば、まずはPA Unoを1台から導入してみてはいかがでしょうか。

 

問合せ:サウンドハウス

 

CLASSIC PRO PA Uno

オープン・プライス

(市場予想価格:49,800円前後/1台)

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 コラム▪許容入力:180W(RMS)▪定格インピーダンス:6Ω▪外形寸法:108(W)×835(H)×98(D)mm、108(W)×1,620(H)×98(D)mm(高さ調整用コラム使用時)▪重量:3.8kg、5.6kg(高さ調整用コラム使用時)●サブウーファー▪許容入力:300W(RMS)▪定格インピーダンス:4Ω▪外形寸法:366(W)×675(H)×541(D)mm▪重量:23kg ●共通項目▪スピーカー構成:12インチ径ドライバー×1(低域)+3インチ径フルレンジ・ドライバー×6(中域)+1インチ・コンプレッション・ドライバー×1(高域)▪周波数特性:20Hz~20kHz▪指向角度:120°(水平)、30°(垂直)